この記事の対象:騒音のある工場や工事現場などで特定技能外国人を働かせる企業の安全衛生担当者

対象は60種類の作業場:測定義務の8種類に52種類を加えた範囲

厚生労働省は2023年(令和5年)4月に騒音障害防止のためのガイドラインを改訂しました。対象は、作業環境測定が義務づけられている8作業場と、騒音が生じる可能性の高い52作業場です。

厚生労働省のパンフレットでは、作業環境測定が義務づけられている8作業場を別表第一、騒音が生じる可能性の高い52作業場を別表第二としています。別表第二には、手持動力工具を取り扱う作業場、ハンマーで金属の打撃を行う作業場、車両系建設機械で掘削を行う坑内作業場などが含まれます。

対象の作業場でなくても、騒音レベルが高いと思われる業務を行うときは、ガイドラインと同様の対策を講じるよう、パンフレットは求めています。

規則の条文には、強烈な騒音を発する屋内作業場であることを見やすい箇所に標識で明示する措置(労働安全衛生規則第583条の2)と、隔壁などで騒音の伝ぱを防ぐ措置(第584条)があります。ガイドラインはこれらに加えて、測定、保護具、健康診断、教育までをまとめて示しています。

測定は6か月ごと:A測定の平均とB測定で3つの管理区分に分ける

ガイドラインは、対象の作業場で6か月以内ごとに1回、等価騒音レベルを測定するよう求め、結果で第I・第II・第III管理区分を判定します。

条文では、労働安全衛生規則第590条第1項が、第588条に規定する著しい騒音を発する屋内作業場について、6か月以内ごとに1回、定期に等価騒音レベルを測定するよう定め、記録は3年間保存します(同条第2項)。パンフレットのガイドラインは、法令の義務とは別に、対象の60作業場で事業者が適切な措置を講じるよう求める指針で、施設、設備、作業工程、作業方法を変更したときもその都度測定するとしています。別表第二の作業場では、第I管理区分や85dB未満が継続している場所の測定を省略できます。

作業環境測定では、縦横6メートル以下の等間隔の線の交点で高さ1.2〜1.5メートルを測り、1測定点につき10分間以上続けます。音源に近い場所で作業するときは、定点で測るB測定も併せて行います。

2023年の改訂で、個人ばく露測定と、屋外作業場での等価騒音レベルの推計が加わりました。個人ばく露測定は、別表第二の屋内作業場や坑内作業場で騒音源が移動する場合などに、作業環境測定に代えて行います。

同種の業務に1台以上の測定器を付け、原則として終日または半日測ります。推計は、屋外で地面の上に騒音源があり、周辺に建物や壁がない場所に限られます。

管理区分の判定(A測定の平均値とB測定の組み合わせ、厚生労働省パンフレット)
A測定の平均値B測定が85dB未満B測定が85dB以上90dB未満B測定が90dB以上
85dB未満第I管理区分第II管理区分第III管理区分
85dB以上90dB未満第II管理区分第II管理区分第III管理区分
90dB以上第III管理区分第III管理区分第III管理区分

区分別の措置と聴覚保護具:第IIは明示、第IIIは着用の掲示

第I管理区分は作業環境の維持に努めます。第IIと第IIIは、改善措置と標識による明示が加わり、聴覚保護具は第IIでは必要に応じて、第IIIでは使わせます。

パンフレットでは、第II管理区分(85dB以上90dB未満)は、改善措置を講じ、必要に応じて聴覚保護具を使わせ、標識で区分を明示します。手持動力工具を取り扱う業務は、継続して第I管理区分か85dB未満の場合を除き、必ず聴覚保護具を使わせます。

第III管理区分(90dB以上)は、改善措置を講じて同じ方法で再測定し、聴覚保護具を使わせ、管理者に使用を確認させます。着用の必要性を見やすい場所に掲示し、標識で区分を明示します。

聴覚保護具は、JIS T8161-1の試験方法で測った遮音値を目安に、必要かつ十分なものを選びます。周囲の音や会話が必要な作業では、遮音値が必要以上に大きいものを避けます。管理者は使い方を指導し、正しく使えているかを目視などで確認します。

規則では、強烈な騒音を発する場所の業務に、耳栓その他の保護具を備える義務があります。使用を命じたときは、着用が必要な旨を見やすい場所に掲示します(第595条第1項・第3項)。請負人に業務の一部を請け負わせるときは、保護具を使えるようにする必要がある旨を周知します(同条第2項)。

聴力検査は雇入れ・配置替え時と6か月ごと:結果は5年保存

騒音作業に常時従事する労働者には、雇入れ・配置替え時の健康診断と、6か月以内ごとの定期の健康診断を医師が行います。

雇入れまたは配置替えの際の検査項目は、既往歴・業務歴の調査、自覚症状と他覚症状の検査、オージオメータによる気導純音聴力検査です。パンフレットでは、気導純音聴力検査の周波数は250、500、1,000、2,000、4,000、6,000、8,000Hzとされています。

定期の健康診断は6か月以内ごとに1回行い、選別聴力検査を1,000Hzと4,000Hzで行います。音圧は、1,000Hzが30dB、4,000Hzが25dBと30dBです。30dBの音圧での検査で異常が認められる者などには、医師による二次検査を行います。

いずれの結果も記録し、5年間保存します。定期の健康診断の結果は、遅滞なく所轄の労働基準監督署に報告します。第I管理区分、または85dB未満が継続している場所の労働者は、定期の健康診断を省略できます。

特殊健康診断を行うべき有害な業務を挙げる労働安全衛生法施行令第22条の条文には、騒音という語は出てきません。騒音作業の聴力検査は、パンフレットが示す健康診断として実施します。

管理者と労働者への教育もパンフレットに定めがあります。管理者教育は、騒音の人体への影響30分、作業環境の確保と維持管理80分、聴覚保護具の使用と作業方法の改善40分、関係法令30分の計180分です。労働者教育は、影響の種類、聴力障害、聴覚保護具の種類と性能、使用方法と管理方法について行います。

  • 自社の作業場が60種類のどれに当たるかをパンフレットの別表で確かめる
  • 6か月ごとの測定日と、設備変更時の再測定の担当を決める
  • 管理区分の標識と、保護具の着用を求める掲示を見やすい場所に出す
  • 雇入れ・配置替え時と6か月ごとの聴力検査の予定を作る
  • 測定記録は3年、健康診断の記録は5年保存する

よくある質問

騒音は何デシベルから対策が必要ですか?

厚生労働省のガイドラインのパンフレットでは、A測定の平均値とB測定の結果で管理区分を判定します。85dB以上90dB未満が第II管理区分で、改善措置と標識による明示を求めています。90dB以上が第III管理区分で、聴覚保護具の使用と着用の掲示が加わります。これらはガイドラインの定めで、条文上の義務は第588条の作業場の測定や第595条の保護具などに限られます。

騒音の測定は何か月ごとに行いますか?

労働安全衛生規則第590条第1項は、第588条に規定する著しい騒音を発する屋内作業場について、6か月以内ごとに1回、等価騒音レベルを測定するよう定めています。記録は3年間保存します。厚生労働省のガイドラインは、対象の作業場での6か月ごとの測定を求めています。

騒音作業の聴力検査の記録は何年保存しますか?

厚生労働省のパンフレットでは、雇入れ・配置替え時と定期の健康診断の結果をどちらも5年間保存します。定期の健康診断の結果は、遅滞なく所轄の労働基準監督署に報告します。

参照した公的一次資料

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