この記事の対象:特定技能外国人を雇用する事業者の人事・労務担当者で、外国人雇用管理指針の改正で自社の手順をいつ何を見直すか知りたい人

改正は3つの適用日に分かれる

令和8年5月29日の厚生労働省告示第227号は、外国人雇用管理指針の一部を3段階で改正しています。

外国人雇用管理指針(平成19年厚生労働省告示第276号)は、外国人労働者を雇う事業主が講ずべき措置を定めたものです。厚生労働省の事業主向けページは、指針全文を令和8年6月14日改正、令和8年10月1日改正、令和9年4月1日改正の3つの版で掲載しています。

告示の附則は、原則として令和9年4月1日(育成就労制度を設ける法律改正の施行日)から適用すると定めています。そのうえで、第一条の改正は令和8年6月14日から、第二条の改正は同年10月1日から適用するとしています。

指針の対象は外国人労働者全般です。特別永住者と、在留資格が「外交」「公用」の人は含まれません。特定技能外国人だけが対象の改正ではないため、自社の他の在留資格の従業員にも関わります。

告示第227号の適用日と主な変更(告示の条ごと)
適用日告示の条主な変更
令和8年6月14日第一条共生社会に向けた基本的な考え方の追記、日本語学習の支援、日本語能力に配慮した教育訓練、雇用状況の届出をしない場合の罰則への留意、在留カード等読取アプリでの照合
令和8年10月1日第二条短時間・有期雇用の外国人や派遣労働者に、待遇の説明を求められる旨の明示。届出の罰則の条番号の改め
令和9年4月1日第三条育成就労外国人の帰国旅費、育成就労に関する事項の追加、雇用状況の届出で指定書の提示を求める方法の削除

令和8年6月14日から:届出の罰則と読取アプリ

第一条の改正は、基本的な考え方、日本語学習の支援、雇用状況の届出の3か所が中心です。

基本的な考え方には、事業主が雇用管理の改善に努め、離職時の再就職の援助に努める責務を負うことが加わりました。日本人労働者が共生社会の実現を理解し協力すること、外国人労働者が共生の理念を理解し責任ある行動をとれるよう、事業主が適切に雇用管理を行うことも重要だと書かれています。不法就労をさせた場合には、出入国管理及び難民認定法第73条の2の罰則が適用され得るという認識の下で措置を講ずることも明記されました。

生活支援では、日本語教育の推進に関する法律(令和元年法律第48号)の基本理念にのっとり、国や地方公共団体の施策に協力することが加わりました。雇用する外国人労働者とその家族に、日本語学習の機会の提供などの支援をするよう努めることも定めています。教育訓練では、日本語能力に配慮した教育訓練の実施が加わりました。

雇用状況の届出では、届出をしない場合や虚偽の届出をした場合に罰則が適用され得ることに留意する旨が加わりました。e-Gov法令検索で確認した労働施策総合推進法第50条は、第28条第1項(外国人雇用状況の届出)に違反して届出をしない、または虚偽の届出をした者を30万円以下の罰金に処すると定めています。令和8年6月14日改正の指針本文は「法第四十条の罰則」と書いていますが、10月1日の改正で指針の記載も第五十条に改められます。

在留カードで確認する場合は、本人の同意を得て、出入国在留管理庁の在留カード等読取アプリケーションでICチップの情報を取得し、券面の記載と照合させることが適切だと書かれました。指針上の表現は「適切である」で、アプリの使用を義務づける書き方ではありません。

届出の期限と様式は、外国人雇用状況の届出のガイドで確認できます。

令和8年10月1日から:待遇の説明を求められる旨の明示

第二条の改正は、短時間・有期雇用の外国人と派遣労働者への明示が中心です。

指針は従来から、短時間・有期雇用または派遣の外国人労働者から求めがあったときは、通常の労働者との待遇の相違の内容と理由を説明するよう定めています。その際、母国語等を用いるなど理解できる方法で説明するよう努めることとされています。

10月1日からは、これらの外国人労働者を雇い入れた事業主は、その説明を求めることができる旨を、文書の交付等により明示しなければならないとされます。雇い入れた事業主が文書の交付等で明示する点が新しくなりました。

この日の改正では、雇用状況の届出の罰則への言及が「法第四十条」から「法第五十条」に改められています。条番号の改めであり、前項のe-Gov法令検索の条文と同じ第50条です。

待遇差の説明義務の考え方は、同一労働同一賃金のガイドで確認できます。

令和9年4月1日から:育成就労と届出の確認方法

第三条の改正は、育成就労制度の開始に合わせた変更と、雇用状況の届出の確認方法の見直しです。

外国人労働者の定義から、技能実習生も含まれるという記載が削られます。帰国旅費では、従来の技能実習生の定めが育成就労外国人に置き換わります。帰国事由が自己都合による場合も含め、監理支援機関(単独型育成就労の場合は事業主)が帰国に要する旅費を負担し、契約終了後の出国が円滑になされるよう必要な措置を講ずることに留意するよう書かれています。

雇用状況の届出では、確認の方法のうち、特定技能の人について在留カードと特定産業分野を記載した指定書の提示を求める方法と、特定活動の人について在留カード等と指定書の提示を求める方法が削除されます。これに合わせて、届出で確認する事項から、特定産業分野や法務大臣が特に指定する活動に関する記載も除かれます。

在留資格に応じた措置の章には、育成就労外国人に関する事項が加わります。育成就労の適正な実施と保護に取り組み、とくに目標とする技能と日本語の能力を修得できるようにすること、送出機関が二国間取決めの相手国の公的機関から推薦を受けている機関に限られること、送出機関に支払う費用が不当に高額とならないこと、転籍制限について説明することなどを徹底するよう定めています。

経過措置として、従前の例によることとされた技能実習の技能実習生については、帰国の援助と在留資格に応じた措置の定めはなお従前の例によるとされています。

指針の項目の全体像は、外国人雇用管理指針の項目のガイドで確認できます。

社内で見直す箇所の確認表

適用日の前に、社内の手順書や様式が指針の文言とずれていないかを見ておきます。

確認のしかたは自社の手順書や様式によって異なります。ここでは、告示で変わる箇所と、見直しの対象になりやすい社内の手順を対応させました。

本ガイドは告示の概要です。個別の雇用管理や労務の判断はできません。迷う場合は、管轄のハローワーク(公共職業安定所)や都道府県労働局に確認してください。

  • 雇用状況の届出の手順書に、罰則への留意と届出期限が載っているか
  • 在留カードの確認で、読取アプリを使う場合の本人の同意の取り方を決めたか
  • 短時間・有期雇用や派遣の外国人を雇い入れるときの書面に、待遇の説明を求められる旨を入れる準備をしたか(令和8年10月1日)
  • 日本語学習の支援や、日本語能力に配慮した教育訓練の内容を確認したか
  • 育成就労の受入れを予定する場合、帰国旅費の負担者と転籍制限の説明の手順を確認したか(令和9年4月1日)
  • 特定技能の届出で、指定書の提示を求める手順の記載が令和9年4月1日以降どうなるかを把握したか

よくある質問

外国人雇用管理指針の改正は、いつから適用されますか?

告示第227号の附則では、第一条の改正が令和8年6月14日、第二条の改正が同年10月1日、それ以外が令和9年4月1日から適用されます。

雇用状況の届出をしないと、どうなりますか?

指針は、届出をしない場合や虚偽の届出をした場合に罰則が適用され得ることに留意するよう求めています。e-Gov法令検索の労働施策総合推進法第50条は、30万円以下の罰金と定めています。

在留カード等読取アプリの使用は義務ですか?

指針の文言は、本人の同意を得たうえで読取アプリの情報と券面の記載を照合させることが「適切である」というものです。義務と書かれてはいません。

特定技能の届出で、指定書の提示は不要になりますか?

令和9年4月1日の改正で、特定技能と特定活動の人について指定書の提示を求める確認方法の記載が削除されます。告示の新旧対照では、削除後は在留カード(所持しない場合は旅券または在留資格証明書)の提示を求める方法の記載が残ります。実際の届出の様式や手順は、厚生労働省やハローワークの案内で確認してください。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

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