この記事の対象:特定技能外国人を期間の定めのある契約で雇う企業の人事・労務担当者、雇用条件の設計や相談対応に関わる登録支援機関の担当者

契約に期間の定めがあれば、特定技能外国人も有期雇用労働者

パートタイム・有期雇用労働法は、有期雇用労働者を「事業主と期間の定めのある労働契約を締結している労働者」と定義しており、国籍や在留資格は定義の条件に入っていません。

期間の定めのある契約で特定技能外国人を雇うときは、この法律の対象になります。比べる相手は、自社の「通常の労働者」、つまりいわゆる正社員です。厚生労働省のリーフレットは、無期雇用のフルタイム労働者を同法が適用される対象ではないとしつつ、労働契約は均衡を考慮して結ぶべきもので、その考慮にはガイドラインの趣旨を踏まえるよう求めています。

特定技能の基準には別に、報酬を日本人が従事する場合の額と同等以上にすることと、外国人であることを理由に待遇で差別しないことが定められています。こちらは同じ業務の日本人との比較です。同一労働同一賃金は、自社の正社員との比較で、両方を満たす必要があります。

同じ業務の日本人との同等性の比べ方は、報酬の同等性のガイドで確認できます。

不合理な待遇差の禁止(第8条)と、差別的取扱いの禁止(第9条)

同法第8条は、短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、通常の労働者の待遇との間に不合理と認められる相違を設けることを禁じています。

不合理かどうかは、業務の内容とそれに伴う責任の程度(職務の内容)、職務の内容と配置の変更の範囲、その他の事情のうち、その待遇の性質と目的に照らして適切と認められるものを考慮して判断します。待遇ごとに見るため、賃金の総額が似ていても、手当や休暇を一つずつ点検する必要があります。

第9条はさらに厳しく、職務の内容が通常の労働者と同一で、雇用関係が終わるまでの全期間にわたって職務の内容と配置の変更の範囲も同一と見込まれる有期雇用労働者について、有期雇用であることを理由とした差別的取扱いを、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれで禁じています。

令和8年の改正では、厚生労働省の概要資料によると、ガイドラインの第8条の「その他の事情」に、職務の成果、能力、経験、合理的な労使慣行などの例が書き込まれました。事業主が有期雇用労働者の意向を十分に考慮せず待遇を一方的に決めた場合も、待遇差が不合理と認められる事情として考慮されうると明確にされています。

2026年10月1日に改正されたガイドラインが挙げる手当・休暇の例

同一労働同一賃金ガイドライン(短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針)の改正は、令和8年4月28日に公布され、10月1日に施行・適用されました。

厚生労働省のリーフレットが「新たに追加された内容」として挙げるのは、次の表の項目です。表の内容は考え方の例で、個別の待遇が不合理かどうかは、職務の内容などの事情を踏まえて判断されます。

共通の留意事項もあります。待遇差を解消するときは、正社員の労働条件を不利益に変更するのではなく、有期雇用労働者の条件の改善を図ることが求められます。

「正社員人材の確保や定着を図る」という目的があるだけで、待遇差が直ちに不合理でないと当然に認められるものではありません。定年後に継続雇用された有期雇用労働者であることだけでも、直ちに不合理でないとは認められません。

ガイドラインの改正で追加・充実した主な項目(厚生労働省リーフレット、令和8年改正の概要)
項目ガイドラインの考え方
賞与・退職手当目的には労務の対価の後払い、功労報償などがある。その目的が当てはまるのに、職務の内容などの違いに応じた均衡のとれた内容を支給しないと、不合理と認められる可能性がある
無事故手当正社員と業務の内容が同一の有期雇用労働者には、正社員と同一の無事故手当を支給する
家族手当契約の更新を繰り返すなど、相応に継続的な勤務が見込まれる有期雇用労働者には、正社員と同一の家族手当を支給する
住宅手当転居を伴う配置の変更の有無に応じて支給するものは、正社員と同一の転居を伴う配置の変更がある有期雇用労働者に、同一の住宅手当を支給する
福利厚生施設料金や割引率などの利用条件で、不合理と認められる待遇差を設けない
病気休職正社員に病気休職(療養への専念を目的とした休暇を含む)の期間の給与の保障をする場合、相応に継続的な勤務が見込まれる有期雇用労働者にも同一の保障をする
夏季冬季休暇有期雇用労働者にも、正社員と同一の夏季冬季休暇を付与する
褒賞一定期間の勤続に付与するものは、同じ期間勤続した有期雇用労働者にも同一の褒賞を付与する

待遇の違いの説明:雇入れ時と、求められたとき(第14条)

同法第14条は、有期雇用労働者を雇い入れたときは速やかに、講じている措置の内容を説明することを事業主に義務づけています。本人から求めがあったときは、通常の労働者との待遇の相違の内容と理由も説明しなければなりません。

求められたときに説明するのは、待遇の相違の内容と理由、そして措置を決めるときに考慮した事項です。説明を求めたことを理由に、解雇その他の不利益な取扱いをしてはなりません(同条第3項)。

説明の方法について、改正後の雇用管理指針は、資料を活用して口頭で説明するか、説明すべき事項をすべて書いた分かりやすい資料を交付する方法のどちらかによるとしています。口頭で説明した場合は、使った資料を交付することが望ましいとされます。個人情報の漏えい防止などの理由で交付が難しくても、あとで求められたときは資料を閲覧させるなどの工夫をするよう努めることになっています。

本人から求めがなくても、契約の更新の際などに、待遇の相違の内容と理由が分かる資料を交付したり、説明を求められることを知らせたりすることが望ましいとされています。令和8年10月1日からは、雇入れ時の労働条件の明示事項に「説明を求めることができる旨」が加わり、違反には10万円以下の過料が定められています。明示の書き方は別のガイドで整理しています。

通知書の書き方と明示事項の全体は、労働条件通知書のガイドで確認できます。

行政の関与と、点検の進め方

同法第18条は、厚生労働大臣が事業主に報告を求め、助言、指導、勧告をできると定め、第6条第1項、第9条、第14条などに違反して勧告に従わない事業主は、その旨を公表されることがあります。

リーフレットは、事業主向けの点検の観点として、自社の賞与・退職手当・各種手当・福利厚生の目的を確認し、その目的が有期雇用労働者にも当てはまるときに、支給要件が正社員との働き方や役割の違いに応じた釣り合いのとれたものになっているかを見直すよう勧めています。

相談先として、リーフレットは、中小企業・小規模事業者向けに、社会保険労務士などの専門家が無料で相談に応じる働き方改革推進支援センターを案内しています。個別の待遇差が不合理かどうかは、窓口や専門家に確認してください。当サイトは個別の事案の判定や労務の助言をしません。

  • 有期契約で雇う特定技能外国人について、比べる正社員の範囲を決めたか
  • 賞与・退職手当・各種手当・休暇ごとに、目的を書き出したか
  • 目的が当てはまる待遇は、支給要件が働き方や役割の違いに応じたものか確認したか
  • 説明を求められたときの窓口と、資料を決めたか
  • 契約の更新時に、説明を求められることを知らせる方法を決めたか

よくある質問

特定技能外国人にも、同一労働同一賃金の規定は適用されますか?

期間の定めのある労働契約で雇う場合は、有期雇用労働者として適用されます。パートタイム・有期雇用労働法の有期雇用労働者の定義は、契約期間の定めの有無で決まり、国籍や在留資格を条件にしていません。

日本人との同等以上の報酬を満たしていれば、同一労働同一賃金は気にしなくてよいですか?

気にする必要があります。特定技能の基準は同じ業務の日本人との比較、同一労働同一賃金は自社の正社員など通常の労働者との比較で、物差しが別です。両方を満たす必要があります。

本人から待遇の違いの説明を求められたら、何を説明しますか?

通常の労働者との待遇の相違の内容と理由、そして措置を決めるときに考慮した事項です。資料を活用して口頭で説明するか、説明事項をすべて書いた資料を交付します。求めたことを理由とする不利益な取扱いは禁止されています。

2026年10月の改正で、雇入れ時に何が増えましたか?

労働条件の明示事項に、待遇の相違の内容や理由などについて説明を求めることができる旨が加わりました。違反には10万円以下の過料が定められています。あわせてガイドラインに、手当や休暇の例が追加されました。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

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