この記事の対象:特定技能の雇用条件を設計する受入れ企業の人事・総務担当者、雇用条件書や報酬に関する説明書の作成に関わる登録支援機関の担当者
特定技能外国人の報酬を「日本人と同等以上」にする基準を運用要領とQ&Aから整理。比較のしかた、報酬に含まれない手当、技能実習修了者の経験年数、報酬に関する説明書、フルタイムの基準を確認できます。 金額が未確認の項目は0円とせず、公式資料または個別見積で確認する前提で整理します。
報酬の基準:日本人と同等以上、外国人を理由とする差別の禁止
特定技能外国人の報酬は、同じ業務に従事する日本人の報酬と同等以上でなければならず、外国人であることを理由に不当に低くしてはなりません。
特定技能基準省令は、外国人に対する報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること、外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用などの待遇について差別的な取扱いをしていないことを求めています。出入国在留管理庁のQ&A(Q26)も、報酬額は日本人が同等の業務に従事する場合の報酬額と同等以上であることが求められる、と案内しています。
運用要領は、外国人労働者と比べて日本人労働者に不当に安い賃金を支払う結果とならないよう留意することも求めています。福利厚生施設には、社員住宅、診療施設、保養所、体育館などが例に挙がっています。
ここでいう「報酬」は、一定の役務の給付の対価として与えられる反対給付をいいます。運用要領は、通勤手当、扶養手当、住宅手当等の実費弁償の性格を有するもの(課税対象となるものは除く)は、一般的に含まれないとしています。
出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(確認日:2026年8月11日)、出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(確認日:2026年7月26日)、出入国在留管理庁「雇用における注意点」(確認日:2026年8月2日)
同等性の比べ方:賃金規定・比較対象の日本人がいない場合
比較の方法は、賃金規定があるか、同じ業務の日本人がいるかによって分かれます。
運用要領は、同程度の技能等を持つ日本人労働者がいる場合、本人が任される職務内容と職務に対する責任の程度がその日本人と同等であることを説明したうえで、その日本人の報酬と同等以上であることを説明する必要があるとしています。
同程度の技能等を持つ日本人労働者がいない場合は、賃金規定があるときは規定に照らした個々の企業の報酬体系の観点から、賃金規定がないときは、職務内容と責任の程度が最も近い職務を担う日本人労働者と比べてどう異なるかという観点から、説明します。
Q&A(Q30)は、同じ業務の日本人がおらず賃金規定もない場合について、雇用契約書記載の報酬額と、出入国在留管理庁が保有する近隣の同業他社における同等業務・同等程度の経験を持つ特定技能外国人の報酬額を比較する、と答えています。
| 状況 | 判断の方法 |
|---|---|
| 賃金規定がある | 賃金規定に基づいて判断する |
| 賃金規定がなく、同等の業務に従事する日本人がいる | その日本人労働者と比較して報酬の同等性を判断する |
| 賃金規定がなく、同等の業務の日本人はいないが、近い業務を担う日本人がいる | 役職や責任の程度を踏まえ、報酬差が合理的に説明されているか、年齢と経験年数を比較しても妥当かを検討する |
| 賃金規定も比較対象の日本人もいない | 雇用契約書記載の報酬額を、出入国在留管理庁が保有する近隣同業他社の同等業務・同等程度の経験を持つ特定技能外国人の報酬額と比較する |
出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(確認日:2026年8月11日)、出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(確認日:2026年7月26日)
技能実習修了者を雇う場合の経験年数の扱い
技能実習を修了して特定技能に移る人は、経験者として扱って報酬を設定する必要があります。
運用要領は、技能実習2号修了者はおおむね3年間、3号修了者はおおむね5年間、日本で技能実習を修了した者なので、従事する業務について、おおむね3年程度または5年程度の経験者として取り扱う必要があるとしています。
技能実習生として受け入れたことのある人を特定技能外国人として雇う場合は、技能実習2号修了時の報酬額を上回ることはもとより、実際に3年程度または5年程度の経験を積んだ日本人の技能者に支払っている報酬額とも比較して、適切に設定する必要があります。Q&A(Q46)も、特定技能1号は技能実習2号修了者と同程度の技能水準であることから、少なくとも技能実習2号の給与水準を上回ることが想定される、としています。
留学生等であった人や、他の受入れ機関で受け入れられていた技能実習生を新たに雇う場合は、雇う受入れ機関の就業規則等に従って賃金を適切に設定する必要があります。
出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(確認日:2026年8月11日)、出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(確認日:2026年7月26日)
所定労働時間とフルタイムの基準、複数企業での就労
報酬と並んで、所定労働時間が受入れ機関の通常の労働者と同等であることも基準です。
特定技能基準省令は、外国人の所定労働時間が、受入れ機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であることを求めています。所定労働時間は、雇用契約や就業規則で定められた労働時間(休憩時間を含まない)をいいます。
運用要領は、「通常の労働者」をいわゆるフルタイムで雇用される一般の労働者とし、アルバイトやパートタイム労働者は含まないとしています。この制度でのフルタイムは、原則として、労働日数が週5日以上かつ年217日以上であって、週の労働時間が30時間以上であることをいいます。
特定技能外国人はフルタイムでの従事が求められるため、複数の企業が同じ特定技能外国人を雇用することはできません(Q&A Q33)。変形労働時間制で雇用する場合は、外国人が十分に理解できる言語を併記した年間のカレンダーの写しと、1年単位の変形労働時間制では労働基準監督署へ届け出た協定書の写しが、確認の対象書類です。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 労働日数 | 原則、週5日以上かつ年217日以上 |
| 週の労働時間 | 30時間以上 |
| 対象外 | アルバイト・パートタイム労働者は「通常の労働者」に含まれない |
出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(確認日:2026年8月11日)、出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(確認日:2026年7月26日)
報酬に関する説明書と雇用条件書
同等性は、報酬に関する説明書と雇用条件書で示します。
運用要領が報酬等の確認対象に挙げる書類は、特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4号)と、雇用条件書の写し(参考様式第1-6号)です。様式は出入国在留管理庁の様式のページから入手できます。
報酬に関する説明書(参考様式第1-4号)は、運用要領が受入れ機関の「適格性書類」の1つに挙げている書類です。令和7年4月1日以降、同日以前から受入れを続けている機関では、適格性書類は原則として在留諸申請ではなく、年1回の定期届出(特定技能外国人の受入れ・活動・支援実施状況に係る届出)の添付書類になりました。令和7年4月1日以降に新たに受入れを始める場合は、従前どおり在留諸申請時に提出が必要です。
定期届出では、過去3年間に指導勧告書の交付を受けていないこと、オンライン申請と電子届出を行っていること、運用要領が挙げる一定の区分(上場企業など)に当たることなどの条件を満たす機関は、適格性書類の提出を省略できます。省略した場合も、地方出入国在留管理局から求められたときは提出が必要です。詳細は運用要領と出入国在留管理庁のページで確認してください。
雇用条件書は、申請人が十分に理解できる言語で作成し、申請人が内容を十分に理解したうえで署名している必要があります。
個別の報酬額が基準を満たすかどうかは、審査する地方出入国在留管理局が判断します。不明な点は、管轄の出入国在留管理局へ確認してください。
- 同じ業務の日本人の報酬、または賃金規定を整理する
- 任せる職務内容と責任の程度を、比較する日本人と並べて説明できるようにする
- 技能実習修了者は、技能実習2号修了時の報酬額と、経験年数が近い日本人の報酬額を確認する
- 所定労働時間がフルタイムの基準に合うか確認する
- 報酬に含まれない手当(実費弁償の性格のもの)を分けて整理する
- 雇用条件書を本人が理解できる言語で作り、署名を受ける
出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(確認日:2026年8月11日)、出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」(確認日:2026年8月1日)
よくある質問
特定技能外国人の最低賃金や給与額は決まっていますか?
出入国在留管理庁のQ&A(Q26)は、報酬額は日本人が同等の業務に従事する場合の報酬額と同等以上であることが求められる、と案内しています。金額そのものを定めた基準ではなく、日本人との比較で判断されます。
同じ業務をする日本人がいない場合、どう証明しますか?
Q&A(Q30)によると、賃金規定があれば規定に基づいて判断し、規定がなく近い業務の日本人がいれば役職や責任の程度を踏まえて報酬差が合理的か検討します。どちらもない場合は、雇用契約書記載の報酬額を、出入国在留管理庁が保有する近隣同業他社の特定技能外国人の報酬額と比較するとされています。
技能実習生と同じ給与にすれば、同等報酬の基準を満たしますか?
Q&A(Q46)は、特定技能1号は技能実習2号修了者と同程度の技能水準であることから、少なくとも技能実習2号の給与水準を上回ることが想定される、としています。運用要領は、技能実習生として受け入れたことのある人を特定技能外国人として雇う場合に、技能実習2号修了時の報酬額を上回ることを求めています。
通勤手当や住宅手当は、報酬に含めて比較しますか?
運用要領は、通勤手当、扶養手当、住宅手当等の実費弁償の性格を有するもの(課税対象となるものは除く)は、一般的に報酬に含まれないとしています。個別の手当の扱いは、管轄の出入国在留管理局へ確認してください。
特定技能外国人が、複数の会社を掛け持ちして働くことはできますか?
Q&A(Q33)は、特定技能外国人はフルタイムでの従事が求められるため、一人が複数の企業で就労することはできないとしています。
参照した公的一次資料
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(確認日:2026年8月11日、次回確認:2026年11月11日)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(確認日:2026年7月26日、次回確認:2026年10月26日)
- 出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」(確認日:2026年8月1日、次回確認:2026年11月1日)
- 出入国在留管理庁「雇用における注意点」(確認日:2026年8月2日、次回確認:2026年11月2日)
次に確認すること
続けて確認する場合は、雇用契約・雇用条件書の確認項目を見るで条件と確認範囲をつなげられます。
続けて確認する場合は、技能実習から特定技能へ移るときの条件を確認するで条件と確認範囲をつなげられます。
続けて確認する場合は、給与から控除する食費・居住費の上限と書面を確認するで条件と確認範囲をつなげられます。
続けて確認する場合は、受入れ機関の基準全体を確認するで条件と確認範囲をつなげられます。
続けて確認する場合は、受入れ費用の内訳を確認するで条件と確認範囲をつなげられます。
個別の申請可否や審査結果を保証するものではありません。申請時点の最新資料と関係機関の案内を優先してください。