この記事の対象:特定技能外国人を雇う企業の人事・労務担当者、登録支援機関の担当者
取消し事由は10種類:特定技能に関係するのは主に5つの場面
入管法第22条の4第1項は、別表第一の在留資格で在留する外国人について、10種類の事実のいずれかが判明したときに、法務大臣が在留資格を取り消すことができると定めています。特定技能は、出入国在留管理庁の案内が別表第一の在留資格として挙げているものの1つです。
10種類のうち、日本人の配偶者等と永住者の配偶者等の在留資格に限った事由(第7号)は、特定技能には関係しません。残りを、場面ごとに整理したのが下の表です。
取消しは、事由に当たれば必ず行われるものではありません。出入国在留管理庁の案内は、事由に当たるかどうかは個々の事案の具体的な状況で判断され、当たる場合でも実際に取り消すかどうかは、その経緯や後の在留状況を踏まえて判断されると説明しています。
| 場面 | 号 | 内容(出入国在留管理庁の案内) |
|---|---|---|
| 不正な手段による許可 | 第1号〜第4号 | 偽りその他不正の手段で上陸許可の証印等を受けた場合(経歴を偽った場合など)。第3号は虚偽の書類を提出して許可を受けた場合で、不正の手段であることも故意も要件になりません |
| 本来の活動をせず、他の活動をしている | 第5号 | 在留資格に係る活動を行っておらず、他の活動を行い、または行おうとして在留している場合(正当な理由がある場合を除く) |
| 本来の活動を3か月以上していない | 第6号 | 在留資格に係る活動を継続して3か月以上行っていない場合(行わないことに正当な理由がある場合を除く) |
| 住居地の届出をしない | 第8号・第9号 | 新たに中長期在留者となってから90日以内、または届け出た住居地から退去した日から90日以内に、住居地を届け出ない場合(正当な理由がある場合を除く) |
| 虚偽の住居地の届出 | 第10号 | 中長期在留者が虚偽の住居地を届け出た場合 |
出典:e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(第19条の18 届出・第19条の19〜21 指導助言・報告徴収・改善命令・第19条の26 登録の拒否・第19条の31〜34 登録支援機関への指導・取消し・第71条の3・第71条の4 罰則)(確認日:2026年10月1日)、出入国在留管理庁「在留資格の取消し(入管法第22条の4)」(確認日:2026年10月14日)
3か月以上活動していない場合:条文に「正当な理由」の定めがある
第6号は、在留資格に係る活動を継続して3か月以上行わないで在留していることを事由としています。行わないことに正当な理由がある場合は、事由から除かれます。
条文の要件は、活動を行っていない期間が継続して3か月以上あることです。活動を行わなくなった原因が本人にあるか、受入れ機関の事情にあるかは、条文に書かれていません。正当な理由があるかどうかは、出入国在留管理庁が個別の事案で判断します。
このガイドは、どのような事情が正当な理由に当たるかを断定しません。受入れ機関として、雇用契約の終了や就労の中断が見込まれるときは、契約終了の届出や転職の手続を所定の期限で行ったうえで、個別の扱いは出入国在留管理庁の相談窓口や地方出入国在留管理局に確認してください。
第5号は、在留資格に係る活動を行わず、他の活動を行っている場合を事由としています。就労できる業務の範囲は、副業・兼業のガイドで確認できます。
出典:e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(第19条の18 届出・第19条の19〜21 指導助言・報告徴収・改善命令・第19条の26 登録の拒否・第19条の31〜34 登録支援機関への指導・取消し・第71条の3・第71条の4 罰則)(確認日:2026年10月1日)、出入国在留管理庁「在留資格の取消し(入管法第22条の4)」(確認日:2026年10月14日)
手続の流れ:意見聴取、取消通知書の送達、出国猶予期間の指定
法務大臣は、在留資格を取り消そうとするときは、指定する入国審査官に、その外国人の意見を聴取させなければなりません(第22条の4第2項)。
意見聴取の前に、法務大臣は、聴取の期日と場所、取消しの原因となる事実を記載した意見聴取通知書を本人に送達します(同条第3項)。急速を要するときは、口頭で通知することもできます。
本人またはその代理人は、期日に出頭して意見を述べ、証拠を提出できます(同条第4項)。出入国在留管理庁の案内は、資料の閲覧を求めることもできるとしています。正当な理由なく意見聴取に応じないときは、意見聴取をしないで取り消すことができます(同条第5項)。
取消しは、法務大臣が在留資格取消通知書を送達して行います(同条第6項)。第3号から第10号による取消しでは、法務大臣は30日を超えない範囲で、出国するために必要な期間を指定します(同条第7項)。この期間は通知書に記載されます(同条第9項)。
第1号または第2号に当たる取消しでは、出国猶予期間は指定されず、出入国在留管理庁の案内によれば直ちに退去強制の対象となります。第5号による取消しでも、逃亡すると疑うに足りる相当の理由があるときは、同じ扱いです。指定された期間内に出国しなかった場合は、退去強制の対象となるほか、刑事罰の対象にもなると案内されています。
出典:e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(第19条の18 届出・第19条の19〜21 指導助言・報告徴収・改善命令・第19条の26 登録の拒否・第19条の31〜34 登録支援機関への指導・取消し・第71条の3・第71条の4 罰則)(確認日:2026年10月1日)、出入国在留管理庁「在留資格の取消し(入管法第22条の4)」(確認日:2026年10月14日)
意見聴取の当日:代理人の資格証明、資料の閲覧、取り消さない場合の通知
意見聴取の細かな手続は、入管法施行規則第25条の2〜第25条の14に定められています。
意見聴取に代理人を出頭させたい人は、代理人資格証明書を地方出入国在留管理局に提出します(施行規則第25条の4)。本人に代わって代理人を出頭させたい旨の申出があり、相当な理由があると認めるときは、法務大臣が許可できます(第25条の8第2項)。
本人と代理人は、意見聴取通知書が届いた時から意見聴取が終わるまでの間、法務大臣に調査結果に係る資料の閲覧を求められます(第25条の12)。閲覧は申請書を提出して求め、期日での進行に応じて必要になった資料は口頭で求めれば足ります。
意見聴取通知書を送達したあとで、在留資格を取り消さないことにしたときは、法務大臣は本人にその旨を通知します(第25条の14)。意見聴取通知書が届いたことは、取消しが決まったという意味ではありません。
出典:e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法施行規則」(第19条の21 支援体制が整備されていない者)(確認日:2026年10月1日)、出入国在留管理庁「在留資格の取消し(入管法第22条の4)」(確認日:2026年10月14日)
住居地の届出:新住居地に移った日から14日以内、取消し事由は90日
中長期在留者が住居地を変更したときの届出期間は、新住居地に移転した日から14日以内です(入管法第19条の9第1項)。取消し事由になるのは、退去した日から90日以内に届け出ない場合です。
出入国在留管理庁の案内は、在留カードを市区町村の窓口に持参して住民基本台帳法の転入・転居の届出を行えば、入管法上の住居地の変更届出を行ったものとみなされ、住居地届出書の提出は不要としています。
届出の期間と取消し事由の期間は別です。14日の届出期間を過ぎても、90日以内に正当な理由なく届け出ないときに、第9号の事由になります。引っ越しのあとに市区町村の手続が済んでいるかは、本人と確認してください。
- 在留カードの住居地が、現在の住居と一致していることを、本人と確認している
- 住居地を変えたとき、新住居地に移った日から14日以内に市区町村へ届け出ることを、本人に伝えている
- 就労の中断が3か月に近づいていないか、契約終了や休業の状況を把握している
- 意見聴取通知書や取消通知書が本人に届いたときの連絡先を、本人と共有している
- 取消しへの対応が必要になったときは、出入国在留管理庁の相談窓口や地方出入国在留管理局へ確認する
出典:出入国在留管理庁「住居地の変更届出(中長期在留者)」(確認日:2026年8月22日)、e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(第19条の18 届出・第19条の19〜21 指導助言・報告徴収・改善命令・第19条の26 登録の拒否・第19条の31〜34 登録支援機関への指導・取消し・第71条の3・第71条の4 罰則)(確認日:2026年10月1日)
よくある質問
特定技能の在留資格が取り消されるのは、どんな場合ですか?
入管法第22条の4第1項が定める10種類の事由に当たるときです。特定技能に関係するのは、不正な手段による許可(第1号〜第4号)、本来の活動をせず他の活動をしている場合(第5号)、本来の活動を3か月以上行っていない場合(第6号)、住居地の届出に関する場合(第8号〜第10号)です。
3か月以上働いていないと、必ず取り消されますか?
必ずではありません。第6号は、行わないことに正当な理由がある場合を除いています。正当な理由があるかどうかは個別の事案ごとに判断されるため、出入国在留管理庁に確認してください。
取消しの前に、本人が意見を言う機会はありますか?
あります。入国審査官が本人の意見を聴取し、本人またはその代理人は、意見を述べ、証拠を提出できます(第22条の4第2項・第4項)。ただし、正当な理由なく応じないときは、聴取をしないで取り消されることがあります。
取り消されたら、すぐに出国しなければなりませんか?
第3号から第10号による取消しでは、30日を超えない範囲で出国に必要な期間が指定され、その期間内に自主的に出国します。第1号・第2号に当たる場合は、直ちに退去強制の対象となります。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(第19条の18 届出・第19条の19〜21 指導助言・報告徴収・改善命令・第19条の26 登録の拒否・第19条の31〜34 登録支援機関への指導・取消し・第71条の3・第71条の4 罰則)(確認日:2026年10月1日、次回確認:2026年12月1日)
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法施行規則」(第19条の21 支援体制が整備されていない者)(確認日:2026年10月1日、次回確認:2026年12月1日)
- 出入国在留管理庁「在留資格の取消し(入管法第22条の4)」(確認日:2026年10月14日、次回確認:2027年1月14日)
- 出入国在留管理庁「住居地の変更届出(中長期在留者)」(確認日:2026年8月22日、次回確認:2026年11月22日)
次に確認すること
この記事の条件を引き継いで、未確認費目を整理する(金額は概算で、見積の代わりではありません)