この記事の対象:特定技能人材に、本来の業務以外の作業や別の事業所での勤務を頼みたい受入れ企業の担当者
特定技能外国人にさせてよい仕事の範囲を、関連業務への付随的な従事、複数の特定産業分野の指定、複数の企業で働く副業の可否、転職中の就労の4点で整理します。出入国在留管理庁のQ&Aと運用要領(令和8年8月版)にもとづきます。 金額が未確認の項目は0円とせず、公式資料または個別見積で確認する前提で整理します。
従事できる業務は、指定された受入れ機関と分野の業務に限られる
特定技能の許可では、働ける受入れ機関と特定産業分野が指定書に書かれ、その範囲の業務に従事します。
運用要領(令和8年8月版)は、1号特定技能外国人の許可にあたり、在留カードとともに指定書が交付されると説明しています。指定書には、活動できる本邦の機関の名称と住所、特定産業分野が書かれます。
1号の活動は、特定産業分野に属する業務で、相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務です。分野ごとの業務の中身は、分野別運用方針と運用要領の分野別の別冊で決まります。受入れ企業は、本来の業務と、頼みたい作業が合うかを、採用前に照らします。
出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日)、出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』」(確認日:2026年8月1日)、出入国在留管理庁「分野別情報」(確認日:2026年10月3日)
関連業務への付随的な従事:割合の決まりはない
Q&Aは、付随的な業務に従事してよい具体的な割合は、個々に異なると答えています。1日あたり何割までという一律の基準は示されていません。
Q&Aによると、特定技能外国人が従事する業務と同等の業務に従事する日本人が、通常あわせて行う業務は、本来業務と関連性があると考えられます。そのため、それに従事することは差し支えないとされています。ただし、許容される具体的な割合は個々に異なります。
農業分野の例が挙がっています。農業分野の運用要領は、日本人が通常従事する関連業務(農畜産物の製造・加工、運搬、販売の作業、冬場の除雪作業など)に付随的に従事することは差し支えないとしています。Q&Aは、冬場の除雪作業や農具小屋の修繕等の作業も、農業分野の業務に従事する日本人が通常行う関連業務として付随的なものであれば行えると答えています。
宿泊分野のQ&Aは、逆の面を示しています。1号の活動は、基本的に、特定の一業務にのみ従事するのではなく、フロント、企画・広報、接客、レストランサービスなどに幅広く従事する活動を行う必要があると考えられる、という説明です。分野によって、業務を絞ることと広げることのどちらが求められるかが違うため、自社の分野の運用要領で確認します。
- 頼みたい作業が、本来業務に従事する日本人が通常あわせて行う作業かを確認した
- その作業が付随的な範囲にとどまるかを、分野別の運用要領で確認した
- 割合の一律の基準はないため、迷うときは出入国在留管理庁や分野の所管省庁に確認する
出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(確認日:2026年7月26日)
複数の特定産業分野の業務:技能・日本語・企業の基準をそれぞれ満たすとき
複数の特定産業分野の業務をさせるには、本人が各分野の技能水準と日本語能力水準を満たし、受入れ機関も各分野の基準に適合している必要があります。
運用要領は、特定技能外国人が複数の特定産業分野の技能水準と日本語能力水準を満たしたうえで、特定技能所属機関が、対応する複数の分野の業務を行わせるための各基準に適合するときは、法務大臣が複数の分野の業務を指定することで、複数分野の業務に従事する活動が可能になると定めています。
在留諸申請の申請書の「従事すべき業務の内容」欄は3つ設けられています。複数の分野の業務に従事させる場合は、主に従事する分野の業務を最上段に書き、それ以外の分野の活動を2段目以降に書きます。指定書にも、複数の特定産業分野が並べて書かれます。
分野を足したい場合の試験や要件は分野ごとに違います。自社でどの分野の業務が重なるかは、分野別のガイドで確認してください。
出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日)、出入国在留管理庁「分野別情報」(確認日:2026年10月3日)
副業・兼業:複数の企業での就労はできない
Q&Aは、特定技能外国人にはフルタイムでの従事が求められるため、一人が複数の企業と雇用契約を結んで就労することはできないと答えています。
Q&Aの説明は、特定技能外国人はフルタイムで業務に従事することが求められる、というものです。そのうえで、一人の特定技能外国人が複数の企業で就労することはできないとしています。別の企業と雇用契約を結んで働かせる形は、この点で認められません。他社の仕事の手伝いなど、雇用契約の形によらない働き方は個別の判断になるため、出入国在留管理庁に確認します。
例外に見えるのは、派遣の形態です。Q&A(令和7年12月1日時点)は、派遣の雇用形態が認められるのは、農業分野と漁業分野の2分野だけとしています。この2分野では、派遣元との雇用契約のもとで、派遣先で働く形が認められます。派遣先の条件は、別のガイドで整理しています。
個別の勤務の組み立てが、制度に合うかどうかは、出入国在留管理庁が個別に判断します。企業が可否を保証する説明はできません。
出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(確認日:2026年7月26日)
転職や分野を変えるときと、申請中の就労
指定書に書かれた受入れ機関や分野を変える場合は、在留資格変更許可を受ける必要があり、申請中は変更予定の就労先での就労が認められません。
運用要領の留意事項は、転職によって指定書に書かれた特定技能所属機関を変更する場合、または特定産業分野を変更する場合に、在留資格変更許可を受けなければならないとしています。許可の申請中は、変更予定の就労先での就労活動が認められないとも書かれています。
同じ特定産業分野の範囲内で従事する業務を変える場合は、Q&Aによると、特定技能雇用契約の変更に係る届出が必要です。従前と異なる分野の業務に変える場合は、改めて在留資格変更許可申請が必要です。
変更許可の申請中は、変更予定の就労先での就労活動が認められません。転職の手続の流れと必要書類は、別のガイドで確認できます。
出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日)、出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(確認日:2026年7月26日)
よくある質問
付随的な業務は、1日あたり何割までですか?
出入国在留管理庁のQ&Aは、付随的な業務に従事してよい具体的な割合は個々に異なるとしています。一律の割合は示されていません。
農業分野の外国人に、冬場の除雪作業をさせてもよいですか?
Q&Aは、農業分野の業務に従事する日本人が通常従事する関連業務として付随的なものであれば行えると答えています。農具小屋の修繕等の作業も同様です。
特定技能外国人に、副業や別の企業での勤務をさせてもよいですか?
Q&Aは、フルタイムでの業務従事が求められるため、一人の特定技能外国人が複数の企業で就労することはできないとしています。派遣が認められるのは、農業分野と漁業分野の2分野です。
転職先が決まったら、許可が出る前から働いてもらえますか?
運用要領は、在留資格変更許可の申請中は、変更予定の就労先での就労活動は認められないとしています。
参照した公的一次資料
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(確認日:2026年7月26日、次回確認:2026年10月26日)
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日、次回確認:2026年12月3日)
- 出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』」(確認日:2026年8月1日、次回確認:2026年11月1日)
- 出入国在留管理庁「分野別情報」(確認日:2026年10月3日、次回確認:2026年10月10日)
次に確認すること
個別の申請可否や審査結果を保証するものではありません。申請時点の最新資料と関係機関の案内を優先してください。