この記事の対象:特定技能外国人の労災の手続や相談に対応する企業の人事・労務担当者、登録支援機関の担当者
給付は8種類あり、療養と休業のほかは条件が限られる
厚生労働省の「労災保険給付の概要」によると、労災保険の給付は、療養、休業、障害、遺族、葬祭、傷病、介護の各給付と、二次健康診断等給付です。
労災保険は、業務災害、複数業務要因災害、通勤災害のいずれかによる傷病で療養するときに、療養(補償)等給付を出します。内容は、労災病院や労災保険指定医療機関で受ける「必要な療養の給付」と、それ以外の医療機関にかかったときの「必要な療養の費用の支給」の2つです。
このガイドの給付の日数や金額は、同パンフレットの令和8年7月1日現在の内容です。金額は見直されることがあるため、請求の前に最新のパンフレットで確認してください。事故の報告や通勤災害の考え方は、別のガイドにまとめています。
| 給付 | 支給の場面 | 給付の形 |
|---|---|---|
| 療養(補償)等給付 | 業務災害・通勤災害などの傷病で療養するとき | 現物給付(療養の給付)または費用の支給 |
| 休業(補償)等給付 | 療養のため働けず、賃金を受けないとき | 休業4日目から1日ごとに支給 |
| 障害(補償)等給付 | 傷病が治ったあと、障害等級に当たる障害が残ったとき | 1〜7級は年金、8〜14級は一時金 |
| 傷病(補償)等年金 | 療養開始後1年6か月たっても治らず、傷病等級に当たるとき | 年金(第1〜3級) |
| 遺族(補償)等給付 | 被災した労働者が亡くなったとき | 遺族の数に応じた年金、または一時金 |
| 葬祭料等 | 葬祭を行ったとき | 一時金 |
| 介護(補償)等給付 | 障害・傷病の年金を受ける人が、現に介護を受けているとき | 月ごとの介護費用の支給 |
| 二次健康診断等給付 | 直近の定期健康診断で、血圧・血中脂質・血糖・腹囲またはBMIの全てに異常の所見があるとき | 二次健康診断と特定保健指導 |
休業の給付は4日目から、給付基礎日額の60%に20%が上乗せされる
休業(補償)等給付は、休業4日目から1日につき給付基礎日額の60%が出て、休業特別支給金として同じく20%が加わるため、合計は80%です。
支給の要件は3つで、業務上または通勤による負傷や疾病の療養であること、労働できないこと、賃金を受けていないことを、全て満たす必要があります。
休業の初日から3日目までは、労災保険からの支給がありません。この待期の3日間について、厚生労働省の資料は、業務災害の場合は事業主が平均賃金の60%の休業補償を行うとしています。労働基準法第76条も、業務上の療養で労働できず賃金を受けない労働者に、平均賃金の100分の60の休業補償を使用者が行うよう定めています。
複数業務要因災害と通勤災害では、事業主の休業補償の責任を定めた規定は、法令上はありません。
- 療養のため労働できない状態か
- 賃金を受けていない日か
- 休業の4日目以降か(初日から3日目は待期)
- 待期の3日間の休業補償(業務災害は平均賃金の60%)を事業主が行ったか
障害・傷病・遺族の給付は、等級や遺族の数で日数が決まる
障害(補償)等給付は、障害等級の第1〜7級が年金で給付基礎日額の313日分から131日分、第8〜14級が一時金で503日分から56日分です。
障害特別支給金は、年金に当たる第1〜7級が342万円から159万円、一時金に当たる第8〜14級が65万円から8万円で、いずれも一時金です。
傷病(補償)等年金は、療養開始後1年6か月がたった日かその後に、傷病が治っておらず、障害の程度が傷病等級に当たるときに支給されます。年金額は、第1級が313日分、第2級が277日分、第3級が245日分で、傷病特別支給金は114万円から100万円の一時金です。
遺族(補償)等年金は、遺族の数が1人なら153日分(その遺族が55歳以上の妻、または一定の障害状態にある妻の場合は175日分)、2人なら201日分、3人なら223日分、4人以上なら245日分です。遺族特別支給金は一律300万円です。
年金を受けられる遺族がいないときなどは、給付基礎日額の1000日分の遺族一時金が出ます。葬祭料は、33万円に給付基礎日額の30日分を足した額で、その額が60日分に満たないときは60日分です。
| 給付 | 区分 | 日数・額 |
|---|---|---|
| 障害(補償)等年金 | 第1級〜第7級 | 313日分〜131日分 |
| 障害(補償)等一時金 | 第8級〜第14級 | 503日分〜56日分 |
| 傷病(補償)等年金 | 第1級〜第3級 | 313日分、277日分、245日分 |
| 遺族(補償)等年金 | 遺族1人〜4人以上 | 153日分、201日分、223日分、245日分(1人で55歳以上の妻などは175日分) |
| 遺族(補償)等一時金 | 年金を受ける遺族がいないときなど | 1000日分 |
| 葬祭料等 | — | 33万円+30日分(60日分が下限) |
介護の給付と二次健康診断の給付は、対象が限られる
介護(補償)等給付の対象は、障害(補償)等年金か傷病(補償)等年金を受ける人のうち、第1級の人、または第2級の精神・神経の障害と胸腹部臓器の障害の人で、現に介護を受けている人です。
病院や診療所に入院している間は対象外です。特別養護老人ホームなどの施設に入所している間も対象外です。
令和8年7月1日現在の月額の上限は、常時介護が186,050円、随時介護が92,980円です。親族などの介護で費用を支出していない場合や、支出が一定額に満たない場合には、常時介護で90,790円、随時介護で45,400円が支給されます。
二次健康診断等給付は、直近の定期健康診断などで、血圧検査、血中脂質検査、血糖検査、腹囲またはBMIの測定の全てに異常の所見があり、脳血管疾患や心臓疾患の症状がないと認められるときに受けられます。給付の内容は、二次健康診断と特定保健指導です。船員法の適用を受ける船員と特別加入者は対象外です。
請求には2年か5年の時効があり、金額は給付基礎日額で決まる
請求の時効は給付ごとに異なり、療養の費用、休業、葬祭料、介護、二次健康診断は2年、障害と遺族(年金・一時金)は5年です。
起算点も給付ごとに違います。療養の費用は費用の支出が確定した日の翌日、休業は賃金を受けない日の翌日、障害は傷病が治った日の翌日、遺族と葬祭料は亡くなった日の翌日、介護は介護を受けた月の翌月の1日、二次健康診断は一次健康診断の結果を了知し得る日の翌日です。
遺族年金の前払一時金は、亡くなった日の翌日から2年です。傷病(補償)等年金は、請求ではなく職権で支給が決まります。
給付基礎日額は、原則として労働基準法の平均賃金に相当する額です。事故の発生日(疾病は医師の診断で確定した日)の直前、賃金締切日があるときはその直前の締切日から、さかのぼった3か月間に支払われた賃金の総額を、その期間の暦日数で割って出します。ボーナスなど臨時の賃金は含みません(特別年金などは、ボーナスを基にした算定基礎日額で別に計算されます)。
療養・介護・二次健康診断等給付以外の給付額は、この給付基礎日額で算出します。賃金水準に応じたスライドや、年齢階層別の最低・最高の限度額が適用されることがあるため、実際の額は上の割合や日数と一致しない場合があります。
実際の請求の手続や、支給の可否の判断は、管轄の労働基準監督署が行います(二次健康診断等給付の請求先は都道府県労働局です)。当サイトは個別の事案の判定や労務の助言をしません。迷うときは労働基準監督署に相談してください。
交通事故など第三者の行為で労災になった場合の届出と、示談の前の確認は、第三者行為災害の届出と示談|交通事故での労災と自賠責の選び方で確認できます。
よくある質問
休業の最初の3日間は、労災保険から出ますか?
出ません。休業の初日から3日目までは待期の期間で、労災保険からの支給は4日目からです。厚生労働省の資料は、業務災害の場合は、この間に事業主が平均賃金の60%の休業補償を行うとしています。
休業の給付はいくらになりますか?
休業4日目から1日につき、給付基礎日額の60%の休業補償給付と、20%の休業特別支給金が出ます。合計で給付基礎日額の80%です。
給付基礎日額は、どうやって決まりますか?
原則として労働基準法の平均賃金に相当する額です。事故が発生した日の直前、賃金締切日があるときはその直前の締切日から、さかのぼった3か月間に支払われた賃金の総額を、その期間の暦日数で割って出します。ボーナスなど臨時の賃金は含みません。
障害が残ったときは、年金と一時金のどちらですか?
障害等級が第1〜7級なら年金、第8〜14級なら一時金です。年金は給付基礎日額の313日分から131日分、一時金は503日分から56日分で、別に障害特別支給金が出ます。
労災保険の請求に期限はありますか?
あります。療養の費用、休業、葬祭料、介護、二次健康診断は2年、障害と遺族は5年の時効があります。起算点は給付ごとに異なるため、厚生労働省のパンフレットで確認してください。
参照した公的一次資料
- 厚生労働省「労災保険給付の概要」パンフレット(令和8年7月1日現在)(確認日:2026年10月18日、次回確認:2027年1月18日)
- 厚生労働省「請求(申請)のできる保険給付等」(Q&A)(確認日:2026年10月18日、次回確認:2027年1月18日)
- 厚生労働省「介護(補償)等給付の請求手続」パンフレット(確認日:2026年10月18日、次回確認:2027年1月18日)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日、次回確認:2027年1月8日)