この記事の対象:特定技能外国人が在職中に亡くなった受入れ企業の人事・労務担当者、遺族への対応や届出を相談される登録支援機関の担当者
入管庁への届出と在留カード:届出は企業、返納は親族または同居者
入管庁の手続案内は、特定技能外国人の死亡により引き続き受け入れることが困難となった特定技能所属機関を、「受入れ困難に係る届出」の対象としています。届出期間は、事由が発生した日から14日以内です。
手続の根拠は、出入国管理及び難民認定法第19条の18第1項第4号と同法施行規則第19条の17第6項第1号です。届出書に添える説明書は事由で様式が変わり、行方不明や1か月以上の活動未実施でない場合は「受入れ困難となるに至った経緯に係る説明書」(参考様式第5-11号)を使います。
入管庁の案内は、この届出を、特定技能雇用契約を終了する前に行い、雇用契約の終了に係る届出はその後に行うとしています。届出の期限や様式の詳しい整理は、別のガイドにまとめています。
在留カードは、持ち主が死亡したときに失効します。入管庁の案内では、返納するのは死亡した人の親族または同居者で、期限は死亡の日(死亡後にカードを発見したときは発見の日)から14日以内です。返納理由を証する文書(死亡証明書、戸籍謄本など)を添え、期限内に返納しないと罰金に処せられることがあります。
届出の期限と様式の全体は受入れ困難に係る届出のガイドで確認できます。
| 手続 | 誰が | 期限 |
|---|---|---|
| 受入れ困難に係る届出 | 特定技能所属機関 | 事由が発生した日から14日以内 |
| 在留カードの返納 | 死亡した人の親族または同居者 | 死亡の日から14日以内(死亡後に発見したときは発見の日から) |
賃金と金品:権利者から請求があれば7日以内に支払う
労働基準法第23条第1項は、労働者の死亡または退職の場合に、権利者の請求があれば、使用者は7日以内に賃金を支払い、労働者の権利に属する金品を返還しなければならないと定めています。金品には、積立金、保証金、貯蓄金その他が含まれます。
賃金や金品に争いがある場合は、同条第2項により、異議のない部分を同じ期間内に支払い、または返還します。
条文は、積立金、保証金、貯蓄金など名称を問わず、労働者の権利に属する金品を返還の対象としています。預かっている金銭がある場合は、名称にかかわらず対象になるかを確認します。
権利者がだれになるかは、賃金や退職金の種類、就業規則、相続の関係で変わります。企業が判断に迷うときは、労働基準監督署や弁護士などの専門家に確認する必要があります。
退職の場合の請求と7日の期限は退職時の証明書のガイドで確認できます。
| 項目 | 決まり |
|---|---|
| 支払いの時期 | 権利者の請求から7日以内 |
| 対象 | 賃金、積立金、保証金、貯蓄金など労働者の権利に属する金品 |
| 争いがある場合 | 異議のない部分を同じ期間内に支払い、返還する |
業務上の死亡:使用者の遺族補償と労災保険の葬祭料
業務が原因で亡くなった場合、労働基準法は、使用者が遺族に平均賃金の1,000日分の遺族補償を行い(第79条)、葬祭を行う者に平均賃金の60日分の葬祭料を支払う(第80条)と定めています。
ただし第84条第1項により、労働者災害補償保険法による相当の給付が行われるべき場合は、使用者は補償の責を免れます。厚生労働省のガイドブックは、労災保険は外国人でも日本国内で働いている限り適用されるとしています。
ガイドブックによると、葬祭料(葬祭給付)の額は31万5,000円に給付基礎日額の30日分を加えた額で、給付基礎日額の60日分に満たないときは60日分です。葬祭を行う遺族がおらず、社葬として会社が葬祭を行った場合は、会社に支給されます。請求先は所轄の労働基準監督署長です。
同じガイドブックは、受給要件などの詳細は労働基準監督署に尋ねるよう案内し、本国へ帰国すると受けることができない給付もあると注意しています。遺族が海外にいる場合の扱いはガイドブックに記載がないため、労働基準監督署に確認します。
平均賃金の計算は平均賃金のガイドで確認できます。
| 給付 | 内容 | 請求先・根拠 |
|---|---|---|
| 遺族補償 | 平均賃金の1,000日分(労災保険から相当の給付が行われる場合は使用者は責を免れる) | 労働基準法第79条・第84条 |
| 葬祭料 | 31万5,000円+給付基礎日額の30日分(60日分が下限) | 所轄の労働基準監督署長 |
社会保険:資格喪失届は5日以内、業務外の死亡では埋葬料が出る
日本年金機構によると、健康保険・厚生年金保険の被保険者が死亡したときは、事業主が資格喪失届を事実発生から5日以内に提出します。死亡による資格喪失日は、死亡日の翌日です。
協会けんぽの案内では、被保険者が業務外の事由で亡くなった場合に埋葬料(費)が支給されます。被保険者に生計を維持されていた人が申請すると埋葬料5万円で、その人がいない場合は、埋葬を行った人に5万円の範囲内で埋葬費が支給されます。
協会けんぽの案内は業務外の死亡を対象とし、前の節のガイドブックは業務上または通勤による死亡を労災保険の葬祭料の対象としています。どちらに当たるかは労働基準監督署または加入先に確認します。健康保険組合に加入している場合の扱いも、加入先に確認します。
雇用保険の資格喪失の手続は、別のガイドで確認できます。
雇用保険の資格喪失の手続は雇用保険の資格取得・喪失のガイドで確認できます。
| 手続 | 内容 | 期限・金額 |
|---|---|---|
| 健康保険・厚生年金保険の資格喪失届 | 事業主が日本年金機構へ提出する。資格喪失日は死亡日の翌日 | 事実発生から5日以内 |
| 埋葬料(協会けんぽ) | 業務外の死亡で、生計を維持されていた人が申請する | 5万円 |
| 埋葬費(協会けんぽ) | 埋葬料を申請できる人がいないとき、埋葬を行った人が申請する | 5万円の範囲内の実費 |
- 死亡した日(事由が発生した日)と、受入れ困難に係る届出の14日の期限を記録した
- 在留カードの返納を、親族または同居者が行えるよう案内した
- 未払いの賃金や預かり金を確認し、請求に備えて計算した
- 業務上の死亡か業務外かを確認し、労災の請求先を確認した
- 健康保険・厚生年金保険の資格喪失届を5日以内に出す段取りをした
よくある質問
特定技能外国人が亡くなったとき、入管庁への届出は必要ですか?
入管庁の手続案内は、外国人の死亡により引き続き受け入れることが困難となった特定技能所属機関を、受入れ困難に係る届出の対象としています。届出期間は事由が発生した日から14日以内です。
在留カードはだれが返納しますか?
入管庁の案内では、死亡した人の親族または同居者が、死亡の日から14日以内に返納します。企業は返納の義務者としては挙げられていないため、親族や同居者が返納できるよう案内します。
未払いの賃金は、いつまでに支払いますか?
労働基準法第23条第1項により、権利者の請求があれば7日以内に賃金を支払い、労働者の権利に属する金品を返還します。
業務中に亡くなった場合、労災保険の対象になりますか?
厚生労働省のガイドブックは、労災保険は外国人でも日本国内で働いている限り適用されるとしています。遺族の範囲や請求の可否は事案ごとに異なるため、所轄の労働基準監督署に確認します。
参照した公的一次資料
- 出入国在留管理庁「特定技能所属機関による受入れ困難に係る届出」(確認日:2026年10月17日、次回確認:2027年1月17日)
- 出入国在留管理庁「在留カード等の返納」(確認日:2026年10月23日、次回確認:2027年1月17日)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日、次回確認:2027年1月8日)
- 厚生労働省「日本で働く外国人向け 労災保険請求のためのガイドブック 第二編 労災保険給付の概要」(確認日:2026年10月13日、次回確認:2027年1月13日)
- 日本年金機構「従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き」(確認日:2026年10月14日、次回確認:2027年1月14日)
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「埋葬料・埋葬費」(確認日:2026年10月17日、次回確認:2027年2月7日)