この記事の対象:特定技能外国人を雇う企業の人事・労務担当者

退職証明書:請求があれば遅滞なく交付する

労働基準法第22条第1項は、退職する労働者から証明書を請求されたとき、使用者は遅滞なく交付しなければならないと定めています。

証明書に書く事項は、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金、退職の事由の5つです。解雇の場合は、退職の事由に解雇の理由も含まれます。厚生労働省のQ&Aは、これらの事項は労働者から請求があれば必ず記載しなければならないとしています。

労働者が請求しない事項は、書いてはなりません(同条第3項)。厚生労働省のQ&Aは、記載を希望しない事項は請求せず、希望する事項だけの証明書を受け取ることもできると案内しています。

離職票は公共職業安定所に出す書類のため、退職時の証明書の代わりにはなりません。離職票を渡していても、労働者は別に証明書を請求できます。

退職証明書に記載する事項(労働基準法第22条第1項)
事項記載の扱い
使用期間労働者が請求した場合に記載する
業務の種類労働者が請求した場合に記載する
その事業における地位労働者が請求した場合に記載する
賃金労働者が請求した場合に記載する
退職の事由労働者が請求した場合に記載する。解雇の場合はその理由を含む

出典:e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日)、厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A「自己都合の退職の際、退職勤務証明書を請求できますか?方法は?」(確認日:2026年10月13日)、栃木労働局「退職時の証明(第22条)」(確認日:2026年10月13日)

解雇理由証明書:予告された日から退職の日までに請求できる

解雇を予告された労働者は、予告の日から退職の日までの間に、解雇の理由の証明書を請求でき、使用者は遅滞なく交付します(第22条第2項)。

厚生労働省のQ&Aによると、解雇の理由は具体的に示す必要があります。就業規則の条項に該当する事実を理由とする解雇では、その条項の内容と、該当するに至った事実関係を記入します。

労働者が解雇の事実だけを請求したときは、理由を書いてはならず、解雇の事実だけを書く義務があります。証明書が交付されないまま予告の期間が過ぎても、交付義務は残り、労働者が改めて請求する必要はないとされています。

解雇の予告の日以後に、労働者が解雇以外の事由で退職したときは、使用者は、その退職の日以後に解雇理由の証明書を交付する必要はありません(同項ただし書)。

第22条第1項の証明書と第2項の解雇理由証明書の違い
項目第1項の退職証明書第2項の解雇理由証明書
請求できる時期退職の場合解雇の予告がされた日から退職の日までの間
記載する内容使用期間、業務の種類、地位、賃金、退職の事由のうち請求した事項解雇の理由
使用者の義務遅滞なく交付する遅滞なく交付する

出典:e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日)、厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A「会社から解雇予告を受けました。解雇理由の証明書を請求できますか?」(確認日:2026年10月13日)

金品の返還:請求から7日以内に賃金を支払い、権利に属する金品を返す

労働基準法第23条は、労働者の死亡または退職の場合に、権利者から請求があれば、使用者は7日以内に賃金を支払い、労働者の権利に属する金品を返還しなければならないと定めています。

返還の対象は、積立金、保証金、貯蓄金その他、名称を問わず労働者の権利に属する金品です。賃金や金品に争いがある場合でも、使用者は、異議のない部分を7日の期間中に支払い、または返還します(同条第2項)。

違約金や保証金に関する定めは、別のガイドで確認できます。個別の精算の判断は、所轄の労働基準監督署に確認してください。

出典:e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日)

請求の時効、回数、記載してはならないこと、違反したとき

退職時の証明の請求権の時効は、労働基準法第115条により、退職時から2年です。賃金の請求権の時効は、この2年とは別に定められています。

厚生労働省のQ&Aは、請求は退職と同時である必要はなく、請求の回数にも制限がないとしています。ただし、退職時から2年を過ぎてから請求すると、交付を受けられないことがあると注意しています。

使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分や労働組合運動に関する通信をしたり、証明書に秘密の記号を記入したりしてはなりません(第22条第4項)。

第22条第1項から第3項まで、第23条に違反した者は、30万円以下の罰金に処せられます(第120条第1号)。請求したのに交付されない場合は、労働基準監督署に相談するよう、厚生労働省のQ&Aは案内しています。

  • 退職や解雇の予告の申出があったとき、証明書の請求を受け付ける担当者を決めておく
  • 証明書には、労働者が請求した事項だけを書く
  • 解雇の理由は、就業規則の条項と事実関係を具体的に書く
  • 権利者から請求を受けたら7日以内に、賃金の支払いと、労働者の権利に属する金品の返還を済ませる
  • 離職票の交付と、退職証明書の交付を別の手続きとして管理する

出典:e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日)、厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A「自己都合の退職の際、退職勤務証明書を請求できますか?方法は?」(確認日:2026年10月13日)

よくある質問

退職証明書は、請求がなくても出す必要がありますか?

労働者から請求があったときに、遅滞なく交付する義務があります(労働基準法第22条第1項)。請求のない事項は書いてはなりません。

離職票を渡せば、退職証明書は出さなくてよいですか?

出さなくてよいことにはなりません。厚生労働省のQ&Aは、離職票は公共職業安定所に出す書類で、退職時の証明書に代えることはできないとしています。

解雇理由証明書は、いつまで請求できますか?

解雇の予告がされた日から退職の日までの間です(第22条第2項)。退職の日を過ぎた後は、第1項の退職証明書として、解雇の理由を含めて請求できます。

退職した人の賃金は、いつまでに支払いますか?

権利者から請求があった場合、7日以内に賃金を支払い、労働者の権利に属する金品を返還します(第23条第1項)。

退職証明書の請求は、いつまでできますか?

請求権の時効は退職時から2年です(第115条)。厚生労働省のQ&Aは、2年を経過すると交付を受けられないこともあると案内しています。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

この記事の条件を引き継いで、未確認費目を整理する(金額は概算で、見積の代わりではありません)