この記事の対象:特定技能外国人を雇う企業で、業務上のけがや病気、死亡があった場合の使用者の責任を確認する労務担当者

労基法は、業務上の負傷・疾病・死亡について、使用者に5種類の補償を求めている

労働基準法第75条から第80条は、労働者が業務上負傷し、病気にかかり、または死亡した場合の使用者の補償責任を定めています。

療養補償は、必要な療養を使用者の費用で行うか、必要な療養の費用を負担するものです。休業補償は、療養のため労働できず賃金を受けない場合に、療養中、平均賃金の100分の60を支払うものです。

障害補償は、治った後に身体に障害が残る場合に、障害の程度に応じて平均賃金に別表第二の日数を乗じた額を支払います。遺族補償は平均賃金の1000日分、葬祭料は平均賃金の60日分です。

平均賃金の計算は、平均賃金の計算で確認できます。

労基法の災害補償(第75〜80条)
条補償内容
第75条療養補償必要な療養を使用者の費用で行うか、必要な療養の費用を負担する
第76条休業補償療養のため労働できず賃金を受けない間、平均賃金の100分の60
第77条障害補償治った後に障害が残る場合、平均賃金に別表第二の日数を乗じた額
第79条遺族補償業務上死亡した場合、遺族に平均賃金の1000日分
第80条葬祭料業務上死亡した場合、葬祭を行う人に平均賃金の60日分

労災保険から給付が行われる場合、使用者は補償の責任を免れる(第84条)

第84条第1項は、労基法の災害補償の事由について、労働者災害補償保険法などに基づいて相当する給付が行われるべき場合は、使用者は補償の責を免れると定めています。

第2項は、使用者が労基法による補償を行った場合、同じ事由については、その価額の限度で民法による損害賠償の責を免れると定めています。

労災保険に加入していても、保険から給付が行われるべき範囲に限って補償の責を免れる、という条文の構造です。給付の種類と待期期間の扱いは、別のガイドで確認できます。

労災保険の給付の種類は、労災保険の給付の種類で確認できます。

例外:重大な過失の認定、打切補償、分割補償

第78条、第81条、第82条は、補償を行わなくてよい場合や、補償の方法を変える場合を定めています。

第78条は、労働者が重大な過失によって業務上負傷し、または病気にかかり、使用者がその過失について行政官庁の認定を受けた場合は、休業補償と障害補償を行わなくてもよいと定めています。認定を受けることが条件です。

第81条は、療養補償を受ける労働者が、療養開始後3年を経過しても治らない場合、使用者が平均賃金の1200日分の打切補償を行えば、その後は労基法による補償を行わなくてもよいと定めています。第82条は、使用者が支払能力のあることを証明し、補償を受ける人の同意を得た場合、障害補償または遺族補償に替えて、別表第三の日数分を6年にわたり毎年補償する方法を認めています。

労災で休業中の解雇制限は、労災で休業中の解雇制限で確認できます。

補償を行わなくてよい場合・方法を変える場合
条場面内容
第78条労働者の重大な過失使用者が行政官庁の認定を受けた場合、休業補償・障害補償を行わなくてもよい
第81条療養開始後3年を経過しても治らない平均賃金の1200日分の打切補償を行えば、その後の補償を行わなくてもよい
第82条支払能力の証明と補償を受ける人の同意障害補償・遺族補償に替えて、別表第三の日数分を6年にわたり毎年補償する

補償を受ける権利は、退職しても変わらず、譲渡や差押えもできない

第83条第1項は、補償を受ける権利は労働者の退職によって変更されることはないと定めています。

第2項は、補償を受ける権利を譲渡し、または差し押えてはならないと定めています。

第85条は、業務上の負傷・疾病・死亡の認定、療養の方法、補償金額の決定などに異議がある人が、行政官庁に審査または事件の仲裁を申し立てられると定めています。この申立ては、時効の完成猶予と更新については裁判上の請求とみなされます。同じ事件で民事訴訟が提起されたときは、行政官庁は審査や仲裁をしません。

数次の請負の事業では、元請負人が災害補償の使用者とみなされる

第87条第1項は、厚生労働省令で定める事業が数次の請負によって行われる場合、災害補償については元請負人を使用者とみなすと定めています。

第2項は、元請負人が書面による契約で下請負人に補償を引き受けさせた場合、その下請負人も使用者とすると定めています。ただし、2以上の下請負人に同一の事業で重複して補償を引き受けさせてはなりません。

第3項は、元請負人が補償の請求を受けたとき、補償を引き受けた下請負人にまず催告するよう請求できると定めています。下請負人が破産手続開始の決定を受けた場合や行方が知れない場合は、この限りではありません。どの事業が省令の対象かは、このガイドが読んだ条文からは確かめていないため、所轄の労働基準監督署に確認してください。

元請の安全衛生上の義務は、元方事業者の安全衛生管理で確認できます。

罰則:6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金

第119条第1号は、第75条から第77条まで、第79条、第80条などの違反を、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象としています。

業務上の事故があったときは、補償のほかに、労働者死傷病報告などの手続きも別に必要です。報告の期限と罰則は別のガイドで確認できます。

この整理は条文との照らし合わせにとどまります。個別の事案で補償が必要か、いくら支払うかは、所轄の労働基準監督署に確認してください。

事故の報告の期限は、労働者死傷病報告の提出期限と労災かくしで確認できます。

  • 労災保険に加入し、給付が行われるべき場合を把握している
  • 平均賃金の算定方法を確認した
  • 請負で働かせる場合の元請・下請の補償の取り決めを書面で確認した
  • 個別の事案は所轄の労働基準監督署に確認する

よくある質問

労災保険に入っていれば、労基法の補償はしなくてよいですか?

労働基準法第84条第1項により、労災保険法などに基づいて相当する給付が行われるべき場合、使用者は補償の責を免れます。免れるのは給付が行われるべき範囲です。

休業補償はいくらですか?

労働基準法第76条により、療養のため労働できず賃金を受けない間、平均賃金の100分の60です。

療養が3年を超えたらどうなりますか?

第81条により、使用者が平均賃金の1200日分の打切補償を行えば、その後は労基法による補償を行わなくてもよいとされています。

退職したら補償は受けられませんか?

第83条第1項により、補償を受ける権利は労働者の退職によって変更されません。

下請で働く人のけがは、元請が補償しますか?

第87条により、厚生労働省令で定める事業が数次の請負で行われる場合、災害補償については元請負人が使用者とみなされます。対象の事業は所轄の労働基準監督署に確認します。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

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