この記事の対象:特定技能外国人を雇う企業の人事・労務担当者

どちらの給付になるかは、休む原因が業務上か業務外かで分かれる

協会けんぽは、傷病手当金の対象を業務外の事由による病気やけがの療養のための休業と定め、業務上・通勤災害によるもの(労災保険の給付対象)は支給対象外としています。

業務上のけがや病気で働けないときは、労災保険の休業補償給付が基本になります。業務外の病気やけがで休むときは、健康保険の傷病手当金が基本になります。

協会けんぽの案内は、労災保険給付の対象とならない場合は健康保険の給付対象となるとしています。どちらに当たるかの判断は、労働基準監督署や加入先の保険者が行うため、受入れ機関が自己判断で決めず、窓口に確認します。

労災の休業補償給付と健康保険の傷病手当金の比較
項目労災保険の休業補償給付健康保険の傷病手当金
対象の原因業務上の負傷・疾病による療養(労災保険法第14条)業務外の病気やけがの療養(協会けんぽ)
支給が始まる日休業4日目から。最初の3日間は事業主が労働基準法第76条の休業補償を行う連続3日間の待期の後、4日目以降の仕事に就けなかった日
金額1日につき給付基礎日額の60%。これに休業特別支給金20%が加わり80%支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均の30分の1の3分の2(健康保険法第99条)
期間療養のため労働できず賃金を受けない日支給開始日から通算1年6か月

出典:全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」(確認日:2026年10月13日)、e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法」(確認日:2026年10月13日)、e-Gov法令検索「健康保険法」(確認日:2026年10月13日)、厚生労働省「労災保険に関するQ&A 3-4 1日でも会社を休んだら休業(補償)等給付をもらえるのですか」(確認日:2026年10月13日)

労災の休業補償:最初の3日間は事業主、4日目から労災保険

厚生労働省のQ&Aは、休業初日から3日までを待期期間といい、業務災害の場合は事業主に休業補償を行う義務があり、労災保険としては休業第4日目から支給するとしています。

待期期間の3日間は、労働基準法第76条に基づき、使用者が療養中の労働者に平均賃金の100分の60の休業補償を行わなければなりません。この3日分は労災保険ではもらえないため、厚生労働省のQ&Aは事業主に請求するよう案内しています。

労災保険法第14条は、休業補償給付を、業務上の負傷または疾病による療養のため労働できず賃金を受けない日の第4日目から支給し、額を1日につき給付基礎日額の100分の60と定めています。

厚生労働省のQ&Aによると、休業1日につき給付基礎日額の80%(休業補償給付60%と休業特別支給金20%)が支給されます。給付基礎日額は、原則として労働基準法の平均賃金に相当する額で、事故発生日の直前3か月間に支払われた賃金の総額をその期間の歴日数で割って求めます。賞与など3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は含まれません。

所定労働時間の一部だけ働いた日は、その日の給付基礎日額から実際に働いた分の賃金を引いた額の80%が支給されます。

出典:厚生労働省「労災保険に関するQ&A 3-4 1日でも会社を休んだら休業(補償)等給付をもらえるのですか」(確認日:2026年10月13日)、厚生労働省「労災保険に関するQ&A 3-5 休業(補償)等給付の計算方法を教えてください」(確認日:2026年10月13日)、e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法」(確認日:2026年10月13日)、e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日)

傷病手当金:連続3日間の待期の後、4日目から通算1年6か月

協会けんぽは、傷病手当金の給付対象を、業務外の事由による療養であること、仕事に就けないこと、連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと、休業した期間に給与の支払いがないことの4要件を満たす場合だけとしています。

待期の3日間には、有給休暇や土日・祝日などの公休日も含まれるため、給与の支払いがあったかどうかは関係ありません。連続して2日間休んだ後、3日目に仕事をした場合は、待期は成立しません。

給与が支払われている間は支給されませんが、給与が傷病手当金の額より少ないときは、その差額が支給されます。任意継続被保険者である期間中に発生した病気やけがには、傷病手当金は支給されません。

1日あたりの額は、健康保険法第99条第2項により、支給開始日以前の直近12か月の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1の3分の2です。協会けんぽの例では、12か月の平均が17万円のとき、17万円÷30で5,670円(10円未満四捨五入)、その3分の2で3,780円になります。

支給期間は、同一の病気やけがについて、支給を始めた日から通算して1年6か月です(法第99条第4項)。申請書は、加入する協会けんぽの支部に出します。

出典:全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」(確認日:2026年10月13日)、e-Gov法令検索「健康保険法」(確認日:2026年10月13日)

受入れ機関の負担と確認先:待期の3日間と、休業中の解雇制限

業務上のけがや病気では、待期の3日間の休業補償(平均賃金の60%)が受入れ機関の直接の負担になります。

労災保険の休業補償給付と休業特別支給金、健康保険の傷病手当金は、それぞれ労災保険・健康保険から本人に支払われる給付です。受入れ機関は、保険料の負担と、待期の3日間の休業補償を見積もりに入れます。

業務上のけがや病気で療養のため休業する期間とその後30日間は、労働基準法第19条により解雇できません(打切補償を支払う場合などの例外は同条に定めがあります)。休業中の扱いは、労働基準監督署に確認します。

給付の可否、金額、労災に当たるかどうかは、労働基準監督署や協会けんぽの支部などの窓口が判断します。このガイドは一般的な制度の説明で、個別の事案の労務や申請の助言ではありません。

  • けがや病気の原因が業務上か業務外かを、事実関係から整理している
  • 業務上の場合、最初の3日間の休業補償(平均賃金の60%)の支払いを見積もりに入れている
  • 業務外の場合、傷病手当金の申請先(加入する協会けんぽの支部など)を本人に案内できる
  • 業務上の療養中とその後30日間は解雇できない点を押さえている
  • 給付の可否は労働基準監督署・保険者の窓口で確認している

出典:厚生労働省「労災保険に関するQ&A 3-4 1日でも会社を休んだら休業(補償)等給付をもらえるのですか」(確認日:2026年10月13日)、e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日)、全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」(確認日:2026年10月13日)

よくある質問

業務中のけがで休むとき、最初の3日間はどうなりますか?

厚生労働省のQ&Aは、休業初日から3日までは待期期間で、業務災害の場合は事業主に休業補償を行う義務があるとしています。労働基準法第76条により、平均賃金の100分の60です。

労災の休業補償は、どのくらい支給されますか?

厚生労働省のQ&Aによると、休業1日につき給付基礎日額の80%(休業補償給付60%と休業特別支給金20%)が、休業4日目から支給されます。

業務外の病気で休むと、傷病手当金は何日目から出ますか?

協会けんぽによると、連続する3日間の待期の後、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給されます。待期には有給休暇や公休日も含まれます。

傷病手当金は何か月もらえますか?

協会けんぽによると、支給を開始した日から通算して1年6か月です。

傷病手当金の申請書はどこに出しますか?

協会けんぽの案内では、加入している協会けんぽの支部に提出します。健康保険組合など他の保険者に加入している場合は、その保険者の窓口に確認してください。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

この記事の条件を引き継いで、未確認費目を整理する(金額は概算で、見積の代わりではありません)