この記事の対象:特定技能外国人を雇う企業の人事・労務担当者

通勤災害とは:就業に関する移動を、合理的な経路と方法で行っている間の災害

労災保険法第7条第2項は、通勤を、労働者が就業に関して行う住居と就業の場所との間の往復などの移動を、合理的な経路及び方法により行うことと定めています。

対象になる移動は、住居と就業の場所との間の往復、就業の場所から他の就業の場所への移動、往復に先行または後続する住居間の移動の3つです。3つ目は、転任に伴う単身赴任先と帰省先の移動などで、一定の要件があります。

業務の性質を持つ移動は通勤から除かれます。東京労働局の案内は、事業主が提供する専用の交通機関で出退勤する場合などは、通勤災害ではなく業務災害になるとしています。

厚生労働省の外国人向けガイドブックは、労災保険は国籍を問わず日本で労働者として働く外国人にも適用されるとしています。

出典:e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法」(確認日:2026年10月13日)、東京労働局「通勤災害について」(確認日:2026年10月13日)、厚生労働省「日本で働く外国人向け 労災保険請求のためのガイドブック 第二編 労災保険給付の概要」(確認日:2026年10月13日)

認定の要件:就業に関し、住居から、合理的な経路と方法で

東京労働局の案内は、通勤災害と認められる前提として、その移動が通勤の要件を満たしている必要があるとして、要件を項目ごとに整理しています。

「就業に関し」は、被災した日に就業することになっていたこと、または実際に就業していたことが必要です。遅刻や混雑を避けた早出などで、通常の出勤時刻と時間的に前後があっても、就業との関連は認められます。

「住居」は、労働者が居住して日常生活に使っていて、就業のための拠点になる場所です。就業のため家族と別にアパートを借りている場合は、そのアパートが住居になります。

「合理的な経路」は、一般に労働者が用いる経路で、通常使う経路が複数あれば、どれも合理的な経路です。交通事情による迂回も含まれます。合理的な理由なく著しく遠回りする経路は、合理的な経路になりません。

「合理的な方法」は、鉄道・バス、自動車、自転車、徒歩など通常の交通方法で、平常使っているかどうかは問われません。

通勤災害の要件(東京労働局の案内)
要件内容
就業に関しその日に就業することになっていた、または実際に就業していた。出勤時刻と多少前後してもよい
住居実際に居住して日常生活に使い、就業の拠点になっている場所
合理的な経路通常使う経路(複数でもよい)、交通事情による迂回。理由のない著しい遠回りは除く
合理的な方法鉄道・バス・自動車・自転車・徒歩など通常の交通方法
業務の性質を有しない事業主の専用交通機関での出退勤などは業務災害になる

出典:東京労働局「通勤災害について」(確認日:2026年10月13日)、e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法」(確認日:2026年10月13日)

逸脱・中断:寄り道をすると、その間とその後は原則として通勤でなくなる

労災保険法第7条第3項は、移動の経路を逸脱し、または移動を中断した場合、その間とその後の移動は通勤としないと定めています。

ただし、日常生活上必要な行為で厚生労働省令で定めるものを、やむを得ない事由により行うための最小限度の逸脱・中断であれば、その間を除き、合理的な経路に戻った後は再び通勤になります。

東京労働局の案内によると、経路近くの公衆便所の使用や、経路上の店でのたばこ・ジュースの購入などささいな行為は、逸脱・中断になりません。

逸脱・中断の例外になる行為(労災保険法施行規則第8条)
号行為
1日用品の購入その他これに準ずる行為
2職業訓練、学校教育法第1条の学校で行う教育など、職業能力の開発向上に資する教育訓練を受ける行為
3選挙権の行使その他これに準ずる行為
4病院または診療所で診察または治療を受けることその他これに準ずる行為
5要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、配偶者の父母の介護(継続的または反復して行うものに限る)

出典:e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法」(確認日:2026年10月13日)、e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法施行規則」(確認日:2026年10月13日)、東京労働局「通勤災害について」(確認日:2026年10月13日)

給付:療養給付と休業給付があり、療養給付には一部負担金200円がかかる

通勤災害の保険給付には、療養給付(第22条)と休業給付(第22条の2)などがあり、業務災害の療養補償給付・休業補償給付に対応します。

休業給付は、休業の第4日目から、給付基礎日額の100分の60が支給されます(第22条の2が第14条を準用)。業務災害の休業補償給付と同じ水準です。

療養給付を受けるときは、第31条第2項により、200円を超えない範囲で厚生労働省令が定める額の一部負担金が徴収されます。施行規則第44条の2は、額を200円(日雇特例被保険者は100円。実際の療養費がそれに満たないときはその額)と定め、第三者の行為による事故の場合などは対象外としています。

一部負担金は、休業給付から差し引かれる扱いで、最初に支給事由が生じた日の分が減額されます(労災保険法第22条の2第3項、施行規則第44条の2第3項)。

健康保険と労災保険のどちらを使うか、休業中の取扱いは別のガイドで確認できます。このガイドは一般的な制度の説明で、個別の事故が通勤災害に当たるかの判断ではありません。最終的な認定は労働基準監督署が行うため、事故が起きたら所轄の労働基準監督署に相談します。

  • 通勤経路(通常の経路と、事故当日の経路)を本人に確認している
  • 事故が就業日の出退勤の途中だったかを確認している
  • 寄り道をした場合、その場所と目的を聞き取っている
  • 休業が続くときは、休業給付の請求の手続を労働基準監督署に確認している
  • 外国人本人にも、通勤中の事故が労災の対象になりうることを母語や平易な日本語で伝えている

出典:e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法」(確認日:2026年10月13日)、e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法施行規則」(確認日:2026年10月13日)、厚生労働省「日本で働く外国人向け 労災保険請求のためのガイドブック 第二編 労災保険給付の概要」(確認日:2026年10月13日)

よくある質問

通勤中のけがは労災保険の対象になりますか?

労災保険法第7条の通勤の要件を満たせば、通勤災害として保険給付の対象です。就業に関する移動を、合理的な経路と方法で行っていることが必要です。

帰りにコンビニで買い物をした場合はどうなりますか?

東京労働局の案内では、経路上の店でたばこやジュースを買う程度のささいな行為は、逸脱・中断になりません。日用品の購入は、最小限度であれば施行規則第8条の例外にもなります。

外国人も通勤災害の対象になりますか?

厚生労働省のガイドブックは、労災保険は国籍を問わず日本で労働者として働く外国人にも適用されるとしています。

通勤災害でも休業中の給付はありますか?

休業給付があり、休業の第4日目から給付基礎日額の100分の60が支給されます(労災保険法第22条の2・第14条)。

療養給付の一部負担金とは何ですか?

通勤災害で療養給付を受けるときに負担する200円(実際の療養費が200円未満ならその額)です。第三者の行為による事故などは対象外で、休業給付から差し引かれる扱いです(施行規則第44条の2)。

参照した公的一次資料

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次に確認すること

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