この記事の対象:複数の分野で特定技能人材の受入れを検討する企業の総務・人事担当者、分野をまたいで支援を行う登録支援機関の担当者
17分野で共通する条件と、分野ごとに違う条件
入管庁の分野別ページには、受入れ機関に対して特に課す条件が分野ごとに書かれています。
条件の欄で共通して多いのは、分野別の協議会(国の担当省庁が設ける、業界団体や関係機関の集まり)への加入と協力です。「構成員になること」と書かれているのは、介護、ビルクリーニング、リネンサプライ、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業の15分野です。
残る2分野のうち、工業製品製造業の欄は、協議会で協議が調った措置を講じることを求める書き方です。建設の欄は、受入事業実施法人または建設業者団体への所属と、建設特定技能受入計画の認定が中心です。
協議会への加入以外の条件は、分野ごとにかなり違います。このガイドでは、雇用形態、事業者に求める許可・認定、風営法に関する就労制限、登録支援機関への委託制限、実務経験の証明書面の順に、17分野を横に並べます。分野ごとの詳しい内容は、各分野のガイドで確認できます。
協議会そのものの違いは分野別協議会の比較のガイドで確認できます。
雇用形態:直接雇用のみが15分野、派遣も認められるのは農業と漁業
分野別ページの「雇用形態」の欄は、17分野のうち農業と漁業だけが「直接及び派遣」です。
ほかの15分野の欄は「直接」です。入管庁のページでは、農業と漁業の派遣形態に追加の条件が付いています。
農業の派遣形態では、派遣元の労働者派遣事業者が農業現場の実情を把握し、受入れを適正に行う能力を持つこと、派遣先の事業者が、労働者を一定期間以上雇用した経験のある人か、派遣先責任者講習を受けた人を派遣先責任者にすることが求められます。漁業の派遣形態では、派遣元の事業者は、地方公共団体、または漁業協同組合などの漁業に関連する業務を行う者が関与するものに限られます。
派遣形態の考え方は農業分野のガイドで整理しています。
| 雇用形態の欄 | 分野 |
|---|---|
| 直接及び派遣 | 農業、漁業 |
| 直接 | 介護、ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業 |
事業者に求める許可・認定・事業内容は分野ごとに違う
条件の欄には、受入れ機関の事業の許可や認定、営業所の要件を書いた分野があります。
ビルクリーニングは、都道府県知事から建築物清掃業または建築物環境衛生総合管理業の登録を受けた営業所で受け入れることが条件です。リネンサプライは、業界団体が定めた衛生基準の認定を受けた施設で受け入れることが条件です。建設は、建設業法第3条の許可を受けていることなど、多くの項目が並びます。
宿泊は旅館業法の旅館・ホテル営業の許可を、自動車整備は認証工場であることを求めます。航空、自動車運送業、鉄道は、それぞれの事業を営む事業者であることを求める書き方です。自動車運送業は、このほか運転者職場環境良好度認証か安全性優良事業所を持つことを求めます。
介護は、事業所ごとに受け入れられる1号の人数の上限を、日本人等の常勤介護職員の総数とします。工業製品製造業と飲食料品製造業は、事業所が日本標準産業分類の定める産業を行っていることを求めます。造船・舶用工業、林業、木材産業の条件の欄には、協議会関係以外の事業者要件は書かれていません。
建設の受入計画の認定は建設特定技能受入計画のガイドで確認できます。
| 分野 | 条件の要旨 |
|---|---|
| 介護 | 事業所単位で、1号の受入れ人数の上限を日本人等の常勤介護職員の総数とする |
| ビルクリーニング | 建築物清掃業または建築物環境衛生総合管理業の登録を受けた営業所で受け入れる |
| リネンサプライ | 業界団体が定めた衛生基準の認定を受けた施設で受け入れる |
| 工業製品製造業 | 生産性向上と国内の人材確保の取組を行う。特定技能外国人受入事業実施法人に所属する。事業所が告示の定める産業を行う |
| 建設 | 建設業法第3条の許可。国内人材確保の取組。同等以上の報酬と昇給の契約。建設キャリアアップシステムへの登録。受入事業実施法人の登録を受けた法人または建設業者団体への所属。受入れ人数は常勤職員の総数以内。建設特定技能受入計画の認定 |
| 自動車整備 | 認証工場であること |
| 航空 | 空港の営業承認を受けた事業者、航空運送事業者、航空法の認定を受けた整備事業場を有する事業者、またはその業務の委託先であること |
| 宿泊 | 旅館業法の旅館・ホテル営業の許可を受けている。風営法の施設に該当しない。接待を行わせない |
| 自動車運送業 | 道路運送法の自動車運送事業を経営する。運転者職場環境良好度認証または安全性優良事業所を有する。タクシー・バスは新任運転者研修を実施する |
| 鉄道 | 鉄道事業者、軌道経営者、または鉄道・軌道の施設・車両の整備、車両製造、駅・車両清掃の事業を営む者であること |
| 飲食料品製造業 | 事業所が日本標準産業分類の定める産業を行う。キャリアアッププランのイメージを契約前に書面で説明する |
| 外食業 | キャリアアッププランのイメージを契約前に書面で説明する(風営法に関する条件は次の節) |
| 農業・漁業 | 雇用形態の節で整理した直接雇用・派遣の条件 |
| 造船・舶用工業、林業、木材産業 | 協議会関係以外の事業者要件は条件の欄にない(造船・舶用工業は、必要に応じた訓練・研修の実施を求める) |
風営法に関する就労制限があるのは外食業と宿泊の2分野
風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)に関する条件が条件の欄にあるのは、外食業と宿泊です。
外食業は、風営法に定める風俗営業と性風俗関連特殊営業を営む営業所では、特定技能外国人を就労させないこと、そして同法の「接待」を行わせないことを求めます。
宿泊は、旅館・ホテル営業の許可を受けたうえで、風営法の施設に該当しないこと、「接待」を行わせないことを求めます。ほかの15分野の条件の欄には、風営法の記載はありません。
ただし、記載がないことは、ほかの分野で風営法が問題にならないという意味ではありません。個別の営業の形態は、管轄の出入国在留管理局や担当省庁に確認してください。
外食業の受入れの全体像は外食業分野のガイドで確認できます。
登録支援機関への委託を制限する分野が12ある
1号特定技能外国人支援計画の実施を登録支援機関に委託する場合に、委託先の条件を付けている分野があります。
条件の欄で委託先を制限しているのは、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業の12分野です。介護、ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、建設の欄には、この記載はありません。
制限の内容は、おおむね「協議会の構成員になっている」「担当省庁や協議会に必要な協力をする」登録支援機関に限る、というものです。自動車整備は、これに加えて自動車整備士1級・2級の資格を持つ人、または整備士養成施設で5年以上指導した経験のある人を置くことを求めます。漁業は、漁業分野に固有の基準に適合している登録支援機関に限るとしています。
登録支援機関への委託の基本は登録支援機関の登録のガイドで整理しています。
| 分野 | 委託先に求める条件の要旨 |
|---|---|
| 造船・舶用工業 | 協議会の構成員で、協議会と担当省庁の調査・指導に協力する登録支援機関 |
| 自動車整備 | 上記に加え、整備士1級・2級の資格を持つ人、または養成施設で5年以上指導した経験のある人を置く |
| 航空 | 協議会の構成員で、協議会と担当省庁の調査・指導に協力する登録支援機関 |
| 宿泊 | 協議会の構成員で、協議会と担当省庁の調査・指導に協力する登録支援機関 |
| 自動車運送業 | 協議会の構成員で、国土交通省と協議会に必要な協力をする登録支援機関 |
| 鉄道 | 協議会の構成員で、協議会で協議が調った措置を講じ、協議会と国土交通省の調査・指導に協力する登録支援機関 |
| 農業 | 協議会に必要な協力をする登録支援機関 |
| 漁業 | 漁業分野に固有の基準に適合している登録支援機関 |
| 飲食料品製造業・外食業 | 協議会の構成員で、農林水産省と協議会に必要な協力をする登録支援機関 |
| 林業 | 協議会と農林水産省に必要な協力をする登録支援機関 |
| 木材産業 | 農林水産省と協議会に必要な協力をする登録支援機関 |
実務経験の証明書面を交付する条件は12分野にある
特定技能外国人から求められたときに実務経験を証明する書面を交付することを、条件の欄に書いている分野があります。
条件の欄にこの記載があるのは、ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の12分野です。介護、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の欄には、この記載はありません。
書面の様式や記載内容は、分野別ページの条件の欄には書かれていません。必要な場合は、運用要領や担当省庁の案内で確認し、求められたときにすぐ交付できるよう、社内で手順を決めておくと対応しやすくなります。
受入れ機関の基準全体の確認順序は受入れ機関の基準のガイドで確認できます。
- 自社の分野の条件の欄を、入管庁の分野別ページで直接確認した
- 協議会の構成員になる手続きと、協力の内容を確かめた
- 事業者に求める許可・認定が、受入れ予定の営業所で満たされているか確かめた
- 支援を登録支援機関に委託する場合、委託先が分野の条件を満たすか確かめた
- 実務経験を証明する書面の様式と、交付の手順を決めた
よくある質問
分野別の特別条件は、どこで確認できますか?
出入国在留管理庁の「分野別情報」から各分野のページに進むと、「受入れ機関に対して特に課す条件」と「雇用形態」の欄があります。このガイドは17分野の欄を横に並べて要旨をまとめたもので、実際の受入れ前には、必ず自社の分野のページの原文を確認してください。
派遣形態で受け入れられるのは、どの分野ですか?
入管庁の分野別ページで雇用形態が「直接及び派遣」とされているのは、農業と漁業です。ほかの15分野は「直接」です。
風営法に関する条件があるのは、どの分野ですか?
条件の欄に風営法の記載があるのは、外食業と宿泊です。外食業は風俗営業などを営む営業所での就労と「接待」を、宿泊は風営法の施設への該当と「接待」を制限しています。
登録支援機関に支援を全部委託する場合、どの分野でも委託先は自由に選べますか?
自由ではない分野があります。造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業の欄には、委託先の条件が書かれています。委託先の候補が条件を満たすかは、委託の前に確かめてください。
この一覧の条件を満たせば、必ず受入れが認められますか?
認められるとは限りません。分野別ページに書かれた条件は、受入れ機関の基準の一部です。在留資格の許可は、雇用契約、支援体制、欠格事由など全体を踏まえて、出入国在留管理局が審査します。個別の判断は、管轄の出入国在留管理局や担当省庁に確認してください。
参照した公的一次資料
- 出入国在留管理庁「分野別情報」(確認日:2026年10月29日、次回確認:2026年11月5日)
- 出入国在留管理庁「介護分野」(確認日:2026年8月3日、次回確認:2026年11月3日)
- 出入国在留管理庁「ビルクリーニング分野」(確認日:2026年8月24日、次回確認:2026年11月24日)
- 出入国在留管理庁「リネンサプライ分野」(確認日:2026年9月11日、次回確認:2026年12月11日)
- 出入国在留管理庁「工業製品製造業分野」(確認日:2026年9月4日、次回確認:2026年12月4日)
- 出入国在留管理庁「建設分野」(確認日:2026年8月11日、次回確認:2026年11月11日)
- 出入国在留管理庁「造船・舶用工業分野」(確認日:2026年8月10日、次回確認:2026年11月10日)
- 出入国在留管理庁「自動車整備分野」(確認日:2026年10月6日、次回確認:2027年1月6日)
- 出入国在留管理庁「航空分野」(確認日:2026年8月26日、次回確認:2026年11月26日)
- 出入国在留管理庁「宿泊分野」(確認日:2026年8月22日、次回確認:2026年11月22日)
- 出入国在留管理庁「自動車運送業分野」(確認日:2026年8月11日、次回確認:2026年11月11日)
- 出入国在留管理庁「鉄道分野」(確認日:2026年8月24日、次回確認:2026年11月24日)
- 出入国在留管理庁「農業分野」(確認日:2026年8月4日、次回確認:2026年11月4日)
- 出入国在留管理庁「漁業分野」(確認日:2026年8月4日、次回確認:2026年11月4日)
- 出入国在留管理庁「飲食料品製造業分野」(確認日:2026年8月15日、次回確認:2026年11月15日)
- 出入国在留管理庁「外食業分野」(確認日:2026年8月10日、次回確認:2026年11月10日)
- 出入国在留管理庁「林業分野」(確認日:2026年8月24日、次回確認:2026年11月24日)
- 出入国在留管理庁「木材産業分野」(確認日:2026年8月24日、次回確認:2026年11月24日)