この記事の対象:特定技能人材を受け入れている企業の総務・人事担当者、実地調査や書類提出の求めに備える受入れ機関の責任者、登録支援機関の管理者
特定技能所属機関に対する出入国在留管理庁の指導・助言、報告徴収と立入検査、改善命令(公示)の順序と罰則を入管法から整理。不正行為が受入れ基準に響く契約前5年の考え方と登録支援機関の取消しも確認します。 金額が未確認の項目は0円とせず、公式資料または個別見積で確認する前提で整理します。
指導・助言から改善命令までの順序:先に求められるのは指導・助言と報告
入管法は、特定技能所属機関に対する行政の関与を、指導・助言、報告徴収、改善命令の順に定めています。
出入国在留管理庁長官は、特定技能雇用契約が基準に適合すること、契約の適正な履行、1号特定技能外国人支援計画の基準適合と適正な実施、そのほか受入れが出入国又は労働に関する法令に適合することを確保するために必要があると認めるときは、特定技能所属機関に対し必要な指導及び助言を行うことができます(入管法第19条の19)。
運用要領は、指導及び助言を受けたにもかかわらず必要な措置が講じられず、前記の事項が確保されていないと認められるときは改善命令の対象となり得るため、指導及び助言を受けた場合は速やかに応じるよう求めています。改善命令がされると、その旨が公示されます。
本ページは、制度の手順と条文上の効果を整理するもので、個別の事案が指導や命令の対象になるかを判断するものではありません。具体的な案件は、出入国在留管理庁や地方出入国在留管理局の案内に従ってください。
| 段階 | 条文 | 内容 |
|---|---|---|
| 指導及び助言 | 第19条の19 | 契約・支援計画の基準適合と適正な履行、法令適合を確保するために必要な指導と助言 |
| 報告徴収・立入検査 | 第19条の20 | 報告・帳簿書類の提出や提示の命令、出頭の求め、質問、事業所等への立入検査 |
| 改善命令 | 第19条の21 | 期限を定めて改善に必要な措置をとるべきことを命じ、命じたときは公示する |
出典:e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(第19条の18 届出・第19条の19〜21 指導助言・報告徴収・改善命令・第19条の26 登録の拒否・第19条の31〜34 登録支援機関への指導・取消し・第71条の3・第71条の4 罰則)(確認日:2026年10月1日)、出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日)
報告徴収・立入検査:応じなかったり虚偽の報告をしたりすると30万円以下の罰金
報告や帳簿書類の提出を求められたときの対応は、罰則に直結します。
入管法第19条の20は、出入国在留管理庁長官が、特定技能所属機関やその役員・職員に対し、報告や帳簿書類の提出・提示を命じ、出頭を求められるとしています。入国審査官又は入国警備官に関係人へ質問させたり、事業所その他特定技能外国人の受入れに関係のある場所へ立ち入り、設備や帳簿書類を検査させたりすることもできます。質問や立入検査の際、入国審査官等は身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があれば提示します。この権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならないとされています。
報告・帳簿書類の提出をせず、又は虚偽の報告をしたり、質問に答えなかったり虚偽の答弁をしたり、検査を拒み・妨げ・忌避したりした者は、30万円以下の罰金に処するとされています(入管法第71条の4)。特定技能雇用契約の変更・終了等の届出(入管法第19条の18第1項第1号)や、受け入れている特定技能外国人の氏名・活動の内容等の届出(同条第2項第1号)をせず、又は虚偽の届出をした場合も、同じ条に罰金が定められています。届出の種類と期限は、届出ガイドで確認してください。
運用要領は、このほか、地方出入国在留管理局が受入れが適正に行われていることを確認するために実地調査等を行うことがあり、その際は協力して適正な受入れを明らかにすることが求められる、としています。日頃から、雇用契約書、報酬の支払記録、支援の実施記録、届出の控えを、すぐ示せる形で保存しておくことが対応の基本になります。
- 雇用契約書・報酬の支払記録を事業所ですぐ示せる
- 支援の実施記録(面談・オリエンテーション等)を保存している
- 届出の控え(受理を確認できる記録)を保存している
- 調査の窓口になる担当者を決めている
出典:e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(第19条の18 届出・第19条の19〜21 指導助言・報告徴収・改善命令・第19条の26 登録の拒否・第19条の31〜34 登録支援機関への指導・取消し・第71条の3・第71条の4 罰則)(確認日:2026年10月1日)、出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日)
改善命令:期限つきで措置を命じ、公示する。違反には拘禁刑・罰金がある
改善命令は、指導・助言や報告徴収より重い、行政処分としての命令です。
入管法第19条の21は、出入国在留管理庁長官が、第19条の19各号の事項が確保されていないと認めるときは、特定技能所属機関に対し、期限を定めて、その改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができるとしています。命令をしたときは、その旨を公示しなければなりません。
この命令に違反した者は、6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金に処するとされています(入管法第71条の3)。
指導勧告書の交付や改善命令の処分を受けた事実は、別の場面にも響きます。運用要領は、在留諸申請で適格性書類などの提出を省略できる基準として、過去3年間に指導勧告書の交付又は改善命令処分を受けていないことなどを挙げています。省略の条件を満たすかは、申請の時点で最新の運用要領と出入国在留管理庁の案内で確認してください。
出典:e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(第19条の18 届出・第19条の19〜21 指導助言・報告徴収・改善命令・第19条の26 登録の拒否・第19条の31〜34 登録支援機関への指導・取消し・第71条の3・第71条の4 罰則)(確認日:2026年10月1日)、出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日)
不正行為と契約前5年:届出の怠り・報告拒否・改善命令違反も基準に響く
受入れ機関の基準には、出入国又は労働に関する法令の不正・著しく不当な行為に関する5年の見方があります。
特定技能基準省令第2条は、特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係る基準として、契約の締結の日前5年以内又はその締結の日以後に、出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をした者でないことを定めています。
運用要領は、この不正行為として、外国人への暴行・脅迫・監禁、旅券・在留カードの取上げ、手当や報酬の不払、私生活の自由の不当な制限、人権の著しい侵害、不正の事実を隠すための偽変造文書の行使、保証金の徴収や違約金を定める契約の締結などを挙げています。そのうえで、入管法第19条の18の届出をせず又は虚偽の届出をする行為、第19条の20第1項の報告・帳簿書類の提出等をせず又は虚偽の報告をしたり検査を拒んだりする行為、第19条の21第1項の処分(改善命令)に違反する行為も列挙しています。
つまり、届出の怠りや調査への非協力、改善命令の無視は、罰則の対象になるだけでなく、新たな特定技能雇用契約を結ぶ際の基準にも関わります。期間の起算や該当の有無は個別に判断されるため、不安がある場合は地方出入国在留管理局に確認してください。
出典:e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(確認日:2026年10月6日)、出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日)、e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(第19条の18 届出・第19条の19〜21 指導助言・報告徴収・改善命令・第19条の26 登録の拒否・第19条の31〜34 登録支援機関への指導・取消し・第71条の3・第71条の4 罰則)(確認日:2026年10月1日)
登録支援機関への指導・助言、報告の求め、登録の取消し
支援を委託する場合は、委託先にも同種の関与があります。
出入国在留管理庁長官は、登録支援機関の支援業務の適正な運営を確保するために必要があると認めるときは、登録支援機関に対し必要な指導及び助言を行うことができます(入管法第19条の31)。また、必要な限度で、業務の状況に関する報告や資料の提出を求めることができます(第19条の34)。
登録の取消しは、登録拒否事由(第19条の26第1項各号。第7号を除く)に該当するに至ったとき、支援業務の実施に関する規定に違反したとき、不正の手段で登録を受けたとき、第19条の34の報告・資料の提出をせず又は虚偽の提出をしたときなどに可能です(第19条の32)。取消しをしたときは、登録が抹消されます(第19条の33)。
支援を委託している受入れ機関は、委託先がこうした指導や処分を受けていないか、契約前と更新時に、委託先の登録が有効であることを出入国在留管理庁の案内で確認します。委託しても、特定技能所属機関自身の責任がなくなるわけではないため、実施状況の取りまとめと記録の保存は自社でも確認してください。
出典:e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(第19条の18 届出・第19条の19〜21 指導助言・報告徴収・改善命令・第19条の26 登録の拒否・第19条の31〜34 登録支援機関への指導・取消し・第71条の3・第71条の4 罰則)(確認日:2026年10月1日)、出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日)
よくある質問
出入国在留管理庁から指導・助言を受けたら、すぐ罰則の対象になりますか?
指導・助言そのものに罰則は定められていません。ただし、指導・助言を受けても必要な措置が講じられず、基準が確保されていないと認められると、改善命令の対象となり得ます。改善命令に違反すると、6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金です。
改善命令を受けると、公表されますか?
入管法第19条の21第2項は、改善命令をしたときは、その旨を公示しなければならないと定めています。
報告や帳簿書類の提出を求められたとき、応じないとどうなりますか?
報告・帳簿書類の提出をせず、虚偽の報告をし、質問に答えず、検査を拒んだ者は、30万円以下の罰金とされています。運用要領は、これらの行為を契約前5年の不正行為の例にも挙げています。
改善命令を受けた受入れ機関は、次の在留申請で書類を省略できなくなりますか?
運用要領は、適格性書類などの提出を省略できる基準の一つとして、過去3年間に指導勧告書の交付又は改善命令処分を受けていないことを挙げています。省略の可否は申請時点の最新の案内で確認してください。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(第19条の18 届出・第19条の19〜21 指導助言・報告徴収・改善命令・第19条の26 登録の拒否・第19条の31〜34 登録支援機関への指導・取消し・第71条の3・第71条の4 罰則)(確認日:2026年10月1日、次回確認:2026年12月1日)
- e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(確認日:2026年10月6日、次回確認:2026年12月6日)
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日、次回確認:2026年12月3日)
- 出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」(確認日:2026年8月3日、次回確認:2026年11月3日)
次に確認すること
個別の申請可否や審査結果を保証するものではありません。申請時点の最新資料と関係機関の案内を優先してください。