この記事の対象:特定技能外国人を受け入れている企業の経営者・人事・安全衛生の担当者と、登録支援機関の担当者
令和7年の違反率は76.5%(6,179事業場)
厚生労働省は、全国の労働基準監督署等が令和7年に、特定技能外国人を使用する事業場へ行った監督指導と送検の状況を、令和8年9月15日に公表しました。
労働基準関係法令の違反が疑われる8,082事業場に監督指導を行ったところ、その76.5%にあたる6,179事業場で違反が認められました。前年は5,750事業場のうち4,395事業場(76.4%)でした。
同じ公表の技能実習生分は、13,148事業場のうち9,619事業場(73.2%)で違反があり、送検は26件です。特定技能外国人に関する重大・悪質な違反による送検は9件でした。
対象は、違反が疑われる事業場への監督指導です。厚生労働省の資料の注では、違反は事業場に認められたもので、特定技能外国人以外の労働者に関する違反も含むと説明されています。特定技能外国人を使用する事業場全体の違反率を示すものではありません。
| 項目 | 令和7年 | 前年 |
|---|---|---|
| 監督指導を実施した事業場 | 8,082事業場 | 5,750事業場 |
| 違反が認められた事業場 | 6,179事業場 | 4,395事業場 |
| 違反の割合 | 76.5% | 76.4% |
| 送検 | 9件 | ― |
違反事項の上位:機械の安全基準・健康診断後の意見聴取・割増賃金
主な違反事項は、使用する機械等の安全基準(20.7%)、健康診断結果についての医師等からの意見聴取(16.7%)、割増賃金の支払(16.3%)の順に多くなっています。
上位3つのうち、2つが労働安全衛生法、1つが労働基準法の違反です。労働条件の明示(第15条)、労働時間(第32条)、年次有給休暇(第39条)も、それぞれ1,000件を超えています。
違反事項は、2つ以上あるときは、それぞれに数えられます。件数の合計は、違反事業場数とは一致しません。
意見聴取の期限と個人票の保存は、健康診断の事後措置のガイドで確認できます。
| 違反事項 | 件数 | 割合 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 使用する機械等の安全基準 | 1,676件 | 20.7% | 労働安全衛生法第20〜25条 |
| 健康診断結果についての医師等からの意見聴取 | 1,349件 | 16.7% | 労働安全衛生法第66条の4 |
| 割増賃金の支払 | 1,315件 | 16.3% | 労働基準法第37条 |
| 労働条件の明示 | 1,179件 | 14.6% | 労働基準法第15条 |
| 労働時間 | 1,090件 | 13.5% | 労働基準法第32条 |
| 年次有給休暇 | 1,014件 | 12.5% | 労働基準法第39条 |
| 衛生基準 | 885件 | 11.0% | 労働安全衛生法第20〜25条 |
| 賃金の支払 | 866件 | 10.7% | 労働基準法第24条 |
| 就業規則 | 836件 | 10.3% | 労働基準法第89条 |
| 健康診断 | 741件 | 9.2% | 労働安全衛生法第66条 |
| 賃金台帳 | 398件 | 4.9% | 労働基準法第108条 |
| 労働時間の状況の把握 | 349件 | 4.3% | 労働安全衛生法第66条の8の3 |
業種別の違反率:建設81.4%・飲食店80.6%が高い
特定技能1号の在留外国人が多い5分野に関連する業種では、違反率は73.9%から81.4%の間でした。
業種ごとに、多い違反事項は異なります。食料品製造と工業製品製造では安全基準、社会福祉施設と建設では健康診断結果についての医師等からの意見聴取が最も多く、飲食店では労働時間が最も多くなっています。
資料の「主な業種」は、介護、飲食料品製造、工業製品製造、建設、外食業の5分野に関連する業種で、工業製品製造は繊維、紙、印刷、窯業土石、鉄鋼、金属、機械器具、電気機械器具の製造業をまとめたものです。
| 業種 | 監督指導 | 違反事業場(違反率) | 最も多い違反事項 |
|---|---|---|---|
| 食料品製造 | 1,399事業場 | 1,065事業場(76.1%) | 安全基準 546件(39.0%) |
| 社会福祉施設 | 1,047事業場 | 802事業場(76.6%) | 健康診断結果についての医師等からの意見聴取 271件(25.9%) |
| 工業製品製造 | 1,722事業場 | 1,272事業場(73.9%) | 安全基準 532件(30.9%) |
| 建設 | 1,238事業場 | 1,008事業場(81.4%) | 健康診断結果についての医師等からの意見聴取 296件(23.9%) |
| 飲食店 | 366事業場 | 295事業場(80.6%) | 労働時間 124件(33.9%) |
| 全業種 | 8,082事業場 | 6,179事業場(76.5%) | 安全基準 1,676件(20.7%) |
申告150件・送検9件の内訳と送検事例
令和7年に特定技能外国人から労働基準監督署等へ、違反の是正を求めてなされた申告は150件でした。
主な申告内容は、賃金・割増賃金の不払が131件、最低賃金未満が19件、解雇手続の不備が17件の順です。申告事項が2つ以上あるときは、それぞれに数えられます。
送検事例として、2件が紹介されています。1件目は、金属製品製造業の工場で、36協定の限度時間を超えて、1か月100時間以上、連続する複数の月を平均して1か月80時間を超える時間外・休日労働をさせた事例で、労働基準法第32条と第36条第6項の違反です。過去にも違法な時間外・休日労働が認められ、違反が繰り返されていました。
2件目は、食料品製造業の工場で、最大荷重が1トン以上のフォークリフトの運転に、技能講習を修了していない特定技能外国人を就かせた事例で、労働安全衛生法第61条の違反です。監督指導の事例にも、技能講習を修了していない特定技能外国人のフォークリフト運転と、粉じん作業に従事する外国人へのじん肺健康診断の未実施があげられています。
労働基準監督署等と出入国在留管理機関は、法令違反を相互に通報しています。令和7年は、労働基準監督署等から出入国在留管理機関への通報が502件、出入国在留管理機関から労働基準監督署等への通報が101件でした。
就業制限業務の資格は、就業制限業務と作業主任者のガイドで確認できます。
| 申告内容 | 件数 |
|---|---|
| 賃金・割増賃金の不払 | 131件 |
| 最低賃金額未満 | 19件 |
| 解雇手続の不備 | 17件 |
監督指導で多い違反を、受入れ企業の自己点検につなげる
違反事項の上位を、自社の運用を確かめる順番の目安にできます。
ここにあげた件数は、監督指導を受けた事業場の結果です。自社が違反しているかどうかは、法令の条文と、所轄の労働基準監督署の案内で確認します。
点検の項目は、公表資料で上位だった違反事項に合わせています。それぞれの義務の中身は、次のガイドで確認できます。
時間外労働の上限と割増賃金率は、時間外労働と割増賃金のガイドで確認できます。
- 使用する機械について、安全基準(労働安全衛生法第20〜25条)を満たしているか、確かめた
- 健康診断の結果について、医師等の意見聴取を行っているか、確かめた
- 時間外・休日労働の割増賃金を、法定の率で支払っているか、確かめた
- 労働条件を、労働基準法第15条に沿って明示したか、確かめた
- フォークリフトなどの就業制限業務に、必要な資格のある人だけを就かせているか、確かめた
よくある質問
令和7年の監督指導で、違反が認められた事業場の割合はどれくらいですか?
特定技能外国人を使用する事業場では、監督指導を行った8,082事業場のうち6,179事業場(76.5%)で違反が認められました。違反が疑われる事業場への監督指導の結果で、事業場全体の違反率ではありません。
監督指導で多かった違反事項は何ですか?
使用する機械等の安全基準(20.7%)、健康診断結果についての医師等からの意見聴取(16.7%)、割増賃金の支払(16.3%)の順です。
特定技能外国人から労働基準監督署への申告は、何件ですか?
令和7年は150件で、賃金・割増賃金の不払が131件、最低賃金額未満が19件、解雇手続の不備が17件でした。
送検された事例には、どのようなものがありますか?
厚生労働省は、36協定の限度時間を超えて月100時間以上の時間外・休日労働をさせた事例と、技能講習を修了していない人にフォークリフトを運転させた事例を紹介しています。特定技能外国人に関する送検は9件でした。
参照した公的一次資料
- 厚生労働省「外国人技能実習生又は特定技能外国人を使用する事業場に対して行った令和7年の監督指導、送検等の状況を公表します」(確認日:2026年10月25日、次回確認:2027年1月25日)
- 厚生労働省「別紙2 特定技能外国人を使用する事業場に対する監督指導、送検等の状況(令和7年)」(確認日:2026年10月25日、次回確認:2027年1月25日)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日、次回確認:2027年1月8日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」(確認日:2026年10月3日、次回確認:2026年12月3日)