この記事の対象:特定技能外国人を雇う企業の人事・労務担当者
育児休業は、有期雇用の労働者にも権利として認められる
厚生労働省のリーフレットは、有期雇用労働者(パート、派遣、契約社員など雇用期間に定めがある労働者)も、条件を満たせば育児休業や介護休業をすることができ、育児・介護休業法により権利として認められているとしています。
育児・介護休業法第5条第1項は、労働者が、養育する1歳に満たない子について、事業主に申し出ることにより育児休業をすることができると定めています。期間を定めて雇用する特定技能外国人については、有期雇用の要件を先に押さえておく必要があります。
第6条第1項は、事業主は労働者からの育児休業の申出を拒むことができないと定めています。例外は、次の節の労使協定がある場合に限られます。
出典:e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(確認日:2026年10月13日)、厚生労働省「有期雇用労働者の育児休業や介護休業について(リーフレット)」(確認日:2026年10月13日)
有期雇用の要件:子が1歳6か月まで契約が続く見込み
第5条第1項ただし書は、期間を定めて雇用される者は、養育する子が1歳6か月に達する日までに労働契約(更新される場合は更新後のもの)が満了することが明らかでない者に限り、申し出ることができると定めています。
厚生労働省のリーフレットによると、この要件は、申出があった時点で労働契約の更新がないことが確実かどうかで判断されます。事業主が「更新しない」と明示していない場合は、原則として「更新しない」とは判断されません。
要件を満たさないのは、更新回数の上限が書面または口頭で明示され、その上限まで更新された契約の期間の末日が子の1歳6か月までの間にある場合と、更新をしない旨が明示され、申出時点の契約の末日が同じ期間内にある場合です。ただし、これらに当たっても、雇用の継続の見込みに関する事業主の言動、同様の地位の他の労働者の状況、過去の契約の更新状況などの実態を見て判断することがあるとされています。
1歳以降の延長は2段階です。子が1歳になる時点で保育所に入所できないなどの特別な事情があれば1歳6か月まで、1歳6か月になる時点でも特別な事情があれば2歳までの延長を申し出られます。2歳までの延長のときは、申出の時点で、子が2歳に達する日までに契約が満了することが明らかでないことが必要です。
出典:e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(確認日:2026年10月13日)、厚生労働省「有期雇用労働者の育児休業や介護休業について(リーフレット)」(確認日:2026年10月13日)
労使協定による除外:雇用1年未満は協定で拒める
第6条第1項ただし書は、過半数組合(なければ過半数代表者)との書面による協定で育児休業をすることができないと定められた労働者は、申出を拒める場合があると定めています。
協定で除外できる労働者として、条文は、引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者と、合理的な理由があると認められて厚生労働省令で定めるものを挙げています。協定がない会社で、雇用期間が短いことだけを理由に申出を断ることはできません。
事業主に申出を拒まれた労働者は、育児休業をすることができません(第6条第2項)。協定の有無と対象は、就業規則や協定書で確認します。
出典:e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(確認日:2026年10月13日)、厚生労働省「育児・介護休業等に関する規則の規定例[簡易版](令和7年4月1日、10月1日施行対応版)」(確認日:2026年10月13日)
育児休業中の給付:雇用保険の育児休業給付金
厚生労働省のQ&Aによると、雇用保険の被保険者が1歳未満の子を養育するために育児休業を取得し、要件を満たすと育児休業給付金が支給されます。事業主から賃金が出ない休業中の収入を支える給付です。
支給要件は3つです。1歳未満の子を養育するために育児休業を取得した被保険者であること(2回まで分割取得可)、育児休業を開始した日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月(ない場合は就業した時間数が80時間以上の月)が12か月以上あること、1支給単位期間の就業日数が10日(10日を超える場合は80時間)以下であることです。
有期雇用の労働者は、これに加えて、子が1歳6か月(延長して2歳まで休む場合は、1歳6か月の休業開始時において2歳)までの間に労働契約の期間が満了することが明らかでないことが必要です。申出の要件と同じ見方で、更新上限の明示や更新しない旨の明示がある契約は、給付の面でも確認が要ります。
支給額は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」で、育児休業の開始から181日目以降は50%です。休業開始時賃金日額は、原則として休業開始前6か月間の総支給額(賞与を除く)を180で除した額です。
賃金が支払われた場合は、休業開始時賃金日額×支給日数の80%以上が支払われると支給額は0円になり、80%に満たなくても減額されることがあります。給付額には上限があります。
給付は雇用保険の給付で、非課税所得です。申請は在職中の事業所を管轄するハローワークに提出する書類で行います。受給できるかどうかと正確な金額はハローワークの判断で決まるため、このガイドで断定せず、個別の労働者の状況は管轄のハローワークに確認してください。
| 休業開始前の平均月額 | 開始から180日目まで(67%) | 181日目以降(50%) |
|---|---|---|
| 15万円程度 | 月額10万円程度 | 月額7.5万円程度 |
| 20万円程度 | 月額13.4万円程度 | 月額10万円程度 |
| 30万円程度 | 月額20.1万円程度 | 月額15万円程度 |
- 対象の労働者が雇用保険の被保険者であることを確認している
- 育児休業の開始前2年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が12か月以上あるかを賃金台帳で確認している
- 有期雇用の場合、子が1歳6か月までに契約が満了することが明らかでないかを確認している
- 休業中に賃金を支払う場合は、給付が減額・不支給になることを本人に説明している
- 申請の手続きと金額は、管轄のハローワークに確認している
出典:厚生労働省「Q&A~育児休業等給付~」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月14日)
申出の時期と不利益取扱いの禁止
第6条第3項は、育児休業開始予定日が申出の翌日から1か月を経過する日より前の日であるときは、事業主が、その日までの間のいずれかの日を開始予定日として指定できると定めています。1歳6か月への延長の申出が子の1歳の到達日以前にあるとき、2歳への延長の申出が1歳6か月の到達日以前にあるときは、2週間です。
育児休業の期間は、申出で示した開始予定日から終了予定日までです。子が1歳(延長した場合は1歳6か月または2歳)に達したときなどに終了します(第9条)。
第10条は、事業主は、労働者が育児休業の申出をしたこと、または育児休業をしたことを理由に、解雇その他不利益な取扱いをしてはならないと定めています。
特定技能1号の通算在留期間5年の数え方は、別のガイドで確認できます。このガイドは一般的な制度の説明で、個別の申出への対応や休業中の賃金・給付の助言ではありません。個別の判断は、会社の所在地を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談します。
| 条 | 内容 |
|---|---|
| 第5条第1項 | 1歳に満たない子を養育する労働者は申出により休業できる。有期雇用は、子が1歳6か月になるまでに契約が満了することが明らかでない者に限る |
| 第6条第1項 | 事業主は申出を拒めない。労使協定で除外した労働者(雇用期間1年未満など)は拒める |
| 第6条第3項 | 開始予定日が申出の翌日から1か月を経過する日より前なら、事業主が開始日を指定できる(延長の申出が1歳・1歳6か月の到達日以前なら2週間) |
| 第9条 | 育児休業期間は開始予定日から終了予定日まで。子が1歳(延長時は1歳6か月・2歳)に達すると終了 |
| 第10条 | 申出・取得を理由とする解雇その他不利益な取扱いの禁止 |
- 雇用契約書で、契約期間と更新の有無・更新上限の記載を確認している
- 育児休業を除外する労使協定があるか、対象は何かを確認している
- 申出を受けたら、希望する開始予定日と終了予定日を書面で確認している
- 申出や取得を理由に、契約更新や配置で不利に扱っていない
- 本人にも、休業の制度を母語や平易な日本語で説明している
出典:e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(確認日:2026年10月13日)、厚生労働省「有期雇用労働者の育児休業や介護休業について(リーフレット)」(確認日:2026年10月13日)、出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日)
よくある質問
有期雇用の特定技能外国人も育児休業を取れますか?
厚生労働省のリーフレットは、有期雇用労働者も条件を満たせば育児休業をすることができ、権利として認められているとしています。条件は、子が1歳6か月になるまでに契約が満了し、更新されないことが明らかでないことです。
契約の更新上限があると取得できませんか?
更新上限が明示され、その上限まで更新された契約の末日が子の1歳6か月までの間にある場合は要件を満たさないとされます。ただし、事業主の言動や過去の更新状況などの実態を見て判断することがあるとされています。
雇用されて1年未満でも申し出られますか?
労使協定で雇用期間1年未満の労働者が除外されていれば、事業主は申出を拒めます(第6条第1項)。協定がなければ、雇用期間が短いことだけを理由に断ることはできません。
育児休業を取ったことを理由に契約を更新しなくてもよいですか?
いいえ。第10条は、育児休業の申出や取得を理由とする解雇その他不利益な取扱いを禁止しているため、取得を理由に更新しないことは不利益な取扱いに当たりえます。個別の判断は都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談してください。
育児休業の期間は特定技能の通算5年に数えますか?
出入国在留管理庁の運用要領は、育児休業の期間を通算の5年に含めない取扱いを定めています。ただし、申請や届出などの要件があります。詳しくは通算5年の上限のガイドで確認してください。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(確認日:2026年10月13日、次回確認:2027年1月13日)
- 厚生労働省「有期雇用労働者の育児休業や介護休業について(リーフレット)」(確認日:2026年10月13日、次回確認:2027年1月13日)
- 厚生労働省「育児・介護休業等に関する規則の規定例[簡易版](令和7年4月1日、10月1日施行対応版)」(確認日:2026年10月13日、次回確認:2027年1月13日)
- 厚生労働省「Q&A~育児休業等給付~」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月14日、次回確認:2027年1月14日)
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日、次回確認:2026年12月3日)
次に確認すること
この記事の条件を引き継いで、未確認費目を整理する(金額は概算で、見積の代わりではありません)