この記事の対象:林業や木材産業で伐木・造材の作業に特定技能外国人を配置する企業の安全衛生・現場責任者
伐倒の前に行わせること:退避場所・危険物の除去・受け口と追い口
労働安全衛生規則第477条は、立木を伐倒しようとする労働者に、3つの事項を行わせるよう事業者に求めています。
伐木の作業(伐木等機械による作業を除く)を行うときは、立木を伐倒しようとする労働者に、それぞれの立木について、次の3つを行わせます(第477条第1項)。伐倒の際に退避する場所をあらかじめ選定すること。
かん木、枝条、つる、浮石などで、伐倒の際その他作業中に危険を生ずるおそれのあるものを取り除くこと。伐倒しようとする立木の胸高直径が20センチメートル以上のときは、伐根直径の4分の1以上の深さの受け口を作り、適当な深さの追い口を作ることです。
受け口と追い口の間には、技術的に困難な場合を除き、適当な幅の切り残しを確保します。伐倒しようとする労働者自身も、この3つを行わなければなりません(同条第2項)。
かかり木の処理:速やかに処理し、別の立木を倒して落とさない
第478条は、伐倒した木が他の立木にかかったときの処理を定めています。
かかり木が生じている場合や生じた場合は、速やかに処理します。速やかな処理が困難なときは、処理の作業に従事する人以外が、かかり木が激突して危険の生ずる箇所に立ち入ることを、見やすい箇所への表示などで禁止し、表示以外の方法で禁止したときは、縄張り、標識の設置などで立入禁止である旨を表示したうえで、遅滞なく処理します(第478条第1項)。
かかり木にかかられている立木を伐倒させたり、かかり木に激突させるためにかかり木以外の立木を伐倒させたりしてはなりません。作業に従事する労働者も同様です(同条第2項・第3項)。
伐倒の合図・造材の措置・立入禁止の範囲
第479条から第481条は、合図、造材のときの措置、立入禁止を定めています。
伐木の作業では、伐倒について一定の合図を定め、関係する労働者に周知させます(第479条第1項)。伐倒の作業に従事する人以外の作業従事者に、伐倒により危険を生ずるおそれがあるときは、伐倒する労働者にあらかじめ合図を行わせ、他の作業従事者が避難したことを確認させたあとでなければ、伐倒させてはなりません(同条第2項)。
造材の作業(伐木等機械による作業を除く)では、転落したり滑ったりして危険を及ぼすおそれのある伐倒木、玉切材、枯損木などについて、くい止め、歯止めなど、転落や滑りによる危険を防止する措置を講じさせます(第480条)。
伐木の作業を行う場合は、伐倒しようとする立木を中心に、その立木の高さの2倍に相当する距離を半径とする円の内側に、他の作業従事者が立ち入ることを、表示などの方法で禁止します(第481条第2項)。造林、伐木、かかり木の処理、造材、木寄せの作業を行っている場所の下方で、木材の転落や滑りによる危険のあるところへの立入りも、禁止します(同条第1項)。かかり木の処理では、かかり木が激突するおそれのあるところへ、処理に従事する人以外が立ち入ることを禁止します(同条第3項)。
悪天候時の作業禁止・保護帽・下肢の切創防止用保護衣
第483条から第485条は、悪天候のときの作業と、身に着ける保護具を定めています。
造林、伐木、かかり木の処理、造材、木寄せの作業(車両系木材伐出機械による作業を除く)を、条文は「造林等の作業」と呼びます。強風、大雨、大雪などの悪天候で、造林等の作業の実施に危険が予想されるときは、作業を行わせてはなりません(第483条)。造林等の作業を行うときは、物体の飛来や落下による危険を防ぐため、作業に従事する労働者に保護帽を着用させます(第484条)。
チェーンソーを用いて行う伐木または造材の作業では、下肢とソーチェーンの接触による危険を防ぐため、下肢の切創防止用保護衣を着用させます(第485条)。労働者も、保護帽と保護衣を着用しなければなりません。チェーンソーを用いる伐木等の業務の特別教育は、別のガイドで扱います。
| 場面 | 根拠 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 伐倒 | 規則第477条 | 退避場所の選定、危険物の除去、受け口と追い口 |
| かかり木 | 規則第478条 | 速やかな処理、別の立木の伐倒の禁止 |
| 合図・造材 | 規則第479条・第480条 | 伐倒の合図、くい止め・歯止め |
| 立入禁止 | 規則第481条 | 立木の高さの2倍を半径とする円の内側など |
| 悪天候・保護具 | 規則第483条〜第485条 | 悪天候時の作業禁止、保護帽、下肢の切創防止用保護衣 |
- 伐倒前に、退避場所を選定している
- かん木・枝条・つる・浮石などを取り除いている
- 胸高直径20センチメートル以上の立木に、受け口と追い口を作っている
- 伐倒の合図を定め、関係者に周知している
- 立木の高さの2倍を半径とする円の内側への立入りを禁止している
- 保護帽と下肢の切創防止用保護衣を着用させている
- 強風・大雨・大雪のときは作業を止める
よくある質問
立木を伐倒する前に、事業者は何を行わせる必要がありますか?
退避する場所の選定、危険を生ずるおそれのあるかん木・枝条・つる・浮石などの除去、胸高直径が20センチメートル以上の立木での受け口と追い口の作成の3つです(第477条第1項)。伐木等機械による作業は、この条文の対象から除かれています。
伐倒するとき、他の作業者はどこまで離れる必要がありますか?
伐倒しようとする立木を中心に、その立木の高さの2倍に相当する距離を半径とする円の内側への立入りを、表示などの方法で禁止します(第481条第2項)。
チェーンソーで伐木や造材をするとき、保護具は決まっていますか?
造林等の作業では保護帽(第484条)、チェーンソーを用いる伐木と造材の作業では、これに加えて下肢の切創防止用保護衣(第485条)を着用させます。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」伐倒の前の措置(第477条)(確認日:2026年10月20日、次回確認:2027年2月4日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」かかり木の処理(第478条)(確認日:2026年10月20日、次回確認:2027年1月20日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」伐倒の合図・造材・立入禁止(第479条〜第481条)(確認日:2026年10月20日、次回確認:2027年2月16日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」悪天候時の作業禁止・保護帽・保護衣(第483条〜第485条)(確認日:2026年10月20日、次回確認:2027年2月17日)