この記事の対象:林業や木材産業で車両系木材伐出機械の運転や周辺作業に特定技能外国人を配置する企業の安全衛生・現場責任者

作業の前に行うこと:現場の調査と記録・作業計画・作業指揮者

労働安全衛生規則第151条の84から第151条の90は、機械の範囲と、作業前の調査・計画を定めています。

車両系木材伐出機械とは、伐木等機械、走行集材機械、架線集材機械(機械集材装置または簡易架線集材装置の集材機として用いているものを除く)をいいます(第151条の84)。

事業者は、この機械で作業を行うときは、転落や地山の崩壊による危険を防ぐため、あらかじめ作業場所の地形、地盤の状態、伐倒する立木や取り扱う原木等の形状などを調査し、結果を記録しておきます(第151条の88)。

調査結果に合わせた作業計画を定め、その計画どおりに作業を行います。計画には、使用する機械の種類と能力、運行経路、作業の方法と場所、労働災害が起きたときの応急の措置と傷病者の搬送の方法を示します。運行経路・作業の方法と場所・応急措置と搬送の方法は、関係労働者に周知します(第151条の89)。

伐木等機械を除く車両系木材伐出機械で作業を行うときは、作業の指揮者を定め、作業計画に基づいて指揮を行わせます(第151条の90)。

走行と周辺の安全:制限速度・誘導者・合図・立入禁止

第151条の91から第151条の96は、機械の転倒や転落、周囲の作業者との接触を防ぐ措置を定めています。

最高速度が毎時10キロメートル以下のものを除き、作業場所の地形や地盤の状態に応じた制限速度をあらかじめ定めます。運転者は、その制限速度を超えて運転してはなりません(第151条の91)。

運行経路では、必要な幅員の保持、路肩の崩壊の防止、岩石や根株などの障害物の除去などの措置を講じます。路肩や傾斜地で転倒や転落のおそれがあるときは誘導者を置いて誘導させ、運転者は誘導に従います(第151条の92)。誘導者を置くときは一定の合図を定め、運転者は合図に従います(第151条の94)。

路肩や傾斜地で運転者に危険が生ずるおそれのある場所では、転倒時保護構造を備えシートベルトを備えた機械を使うよう努め、運転者にシートベルトを使わせるよう努めます(第151条の93)。この規定は努力義務です。

運転中の機械や取り扱う原木等に接触するおそれのある箇所と、物体の飛来や、作業場所の下方で原木等が転落したり滑ったりして危険の生ずるおそれのある箇所には、作業従事者が立ち入ることを、見やすい箇所への表示などの方法で禁止します(第151条の95・第151条の96)。

運転位置・搭乗・使用の制限:ブームの下・主たる用途以外・悪天候・保護帽

第151条の97から第151条の107は、運転位置を離れるときの措置と、搭乗や使用の制限を定めています。

ブームやアームが不意に降下することを防ぐ装置が組み込まれていない機械では、ブームやアーム、それらに支持されている原木等の下に作業従事者が立ち入ることを禁止します。修理や点検で安全支柱や安全ブロックなどを使わせる場合は例外です(第151条の97)。修理や、アタッチメントの装着・取り外しの作業には、作業を指揮する者を定めます(第151条の104)。

運転者が走行のための運転位置から離れるときは、木材グラップル等の作業装置を最低降下位置に置き、原動機を止めてブレーキを確実にかけるなど、機械の逸走を防ぐ措置を講じさせます。走行用と作業装置用の運転位置が別で、作業装置の運転位置で操作中または操作しようとしている場合は、ブレーキによる逸走防止の措置のみとなります(第151条の98)。

作業装置の運転位置が走行用と別にある機械では、作業装置が運転されている間、その運転者を運転位置から離れさせてはならず、走行させるときは、その運転位置に作業従事者を乗せてはなりません(第151条の99・第151条の105)。

乗車席または荷台以外の箇所に作業従事者を乗せてはなりません。墜落による危険を防ぐ措置を講じたときは例外です(第151条の101)。構造上定められた安定度、最大積載荷重、最大使用荷重などを守ります(第151条の102)。

木材グラップルによるワイヤロープを介した原木等のつり上げなど、機械の主たる用途以外の用途に使ってはなりません。ウインチとガイドブロックを用いて運転者以外の方向にかかり木を引き倒して処理する場合など、労働者に危険を及ぼすおそれのないときは適用されません(第151条の103)。

貨物自動車への積卸しでは、平たんで堅固な場所で行い、道板は十分な長さ・幅・強度のものを適当な勾配で確実に取り付けます(第151条の100)。強風、大雨、大雪などの悪天候で作業に危険が予想されるときは作業を行わせてはならず、作業に従事する労働者には保護帽を着用させます(第151条の106・第151条の107)。

  • 作業場所の地形・地盤・立木や原木等の形状を調査して記録している
  • 運行経路・作業の方法と場所・応急措置と搬送の方法を示した作業計画を周知している
  • 制限速度を定め、誘導者を置くときは合図も定めている
  • 機械や原木等に接触するおそれのある箇所への立入りを表示などで禁止している
  • 運転位置を離れるときは、作業装置を最低降下位置に置いてブレーキをかけるよう徹底している
  • 保護帽を着用させ、悪天候時は作業を行わせない

点検と検査:始業前点検は義務、1年ごと・1か月ごとの検査は努力義務

第151条の108から第151条の111は、点検と検査を定めています。義務の範囲を分けて確認します。

その日の作業を開始する前に、制動装置と操縦装置の機能、作業装置と油圧装置の機能、ワイヤロープと履帯または車輪の異常の有無、前照灯の機能を点検します。これは義務です(第151条の110)。

1年を超えない期間ごとに1回の定期検査(原動機、動力伝達装置と走行装置、制動装置と操縦装置、作業装置と油圧装置、車体やヘッドガード等の異常の有無)と、1か月を超えない期間ごとに1回の定期検査(制動装置・クラッチ・操縦装置、作業装置と油圧装置、ヘッドガードと飛来物防護設備)は、条文上は「行うよう努めなければならない」と書かれています(第151条の108・第151条の109)。

これらの検査や点検で異常を認めたときは、直ちに補修その他必要な措置を講じます(第151条の111)。伐木等機械で伐木・造材を行う場合の運転者の措置は第151条の112・第151条の113にあります。人が行う伐倒の措置は別のガイドで扱います。

車両系木材伐出機械の点検・検査の区分
区分根拠頻度条文上の位置づけ
始業前点検規則第151条の110その日の作業の開始前行わなければならない
1か月ごとの検査規則第151条の1091か月を超えない期間ごとに1回行うよう努めなければならない
1年ごとの検査規則第151条の1081年を超えない期間ごとに1回行うよう努めなければならない

よくある質問

車両系木材伐出機械には何が含まれますか?

伐木等機械、走行集材機械、架線集材機械(機械集材装置または簡易架線集材装置の集材機として用いているものを除く)です(第151条の84)。

作業の前に、事業者は何を準備する必要がありますか?

作業場所の地形や地盤の状態、立木や原木等の形状などの調査と記録、運行経路・作業の方法と場所・応急措置と傷病者の搬送の方法などを示した作業計画の作成、関係労働者への周知です(第151条の88・第151条の89)。

1年ごと・1か月ごとの検査は必ず行う必要がありますか?

条文は「行うよう努めなければならない」と定めています(第151条の108・第151条の109)。その日の作業を開始する前の点検は、行わなければならないとされています(第151条の110)。

参照した公的一次資料

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