この記事の対象:農業・林業・建設などの草刈りの現場で刈払機を使う作業に特定技能外国人を配置する企業の人事・労務・安全衛生担当者

規則第36条の特別教育とは別の、通達による「特別教育に準じた教育」

刈払機の教育は、平成12年2月16日の基発第66号で実施要領が定められています。法令の特別教育の一覧とは別の扱いです。

基発第66号は、労働基準局長が都道府県労働基準局長に宛てた通達で、刈払機取扱作業者への安全衛生教育の実施要領を別添で定めています。就業制限業務や特別教育が必要な業務に準ずる危険有害業務に初めて就く人への、特別教育に準じた教育のひとつという位置づけです(根拠は平成3年1月21日付け基発第39号)。法令の義務規定ではなく、通達に基づく指導と援助の枠組みです。

労働安全衛生規則第36条は、特別教育が必要な業務を列挙しています。e-Govで取得した条文には、チェーンソーを用いる伐木の業務(第8号)は挙がっていますが、刈払機の語はありません。東京労働局の資料も、刈払機の教育を、第36条関係の特別教育とは別の「その他の安全衛生教育」の区分に置いています。

通達は、実施要領に基づいて教育を行うよう事業者や安全衛生団体等に指導と援助を行い、自ら教育を行うことが難しい事業者には、安全衛生団体等の教育を受講させるよう勧奨することを求めています。実施要領の目的は、刈払機を使う作業の安全の確保と、刈払機取扱作業者の振動障害の防止です。対象者は、刈払機を使う作業に従事する人です。

このガイドは、安全衛生情報センター(厚生労働省所管)に掲載された通達の本文を読み、厚生労働省の平成21年の事務連絡が挙げる通達名・別紙の科目名と照合しています。現行の実施要領は、厚生労働省や労働基準監督署で確認してください。

学科は5科目で5.0時間、実技は1.0時間

別紙のカリキュラムは、学科5科目と実技1科目です。振動障害の科目が2.0時間と、学科でいちばん長くなっています。

別紙の学科は、刈払機に関する知識が1.0時間、刈払機を使用する作業に関する知識が1.0時間、刈払機の点検及び整備に関する知識が0.5時間、振動障害及びその予防に関する知識が2.0時間、関係法令が0.5時間で、合計5.0時間です。実技の刈払機の作業等は1.0時間です。

東京労働局の資料も、この教育を学科5.0時間、実技1.0時間と示しています。同資料は、表の数字を最低の教育時間としています。

平成21年7月10日の厚生労働省の事務連絡は、基発第66号の別紙のうち、作業計画の作成等と振動障害の予防措置の教育内容に、日振動ばく露量A(8)などに基づく振動障害の予防対策を盛り込むことが必要だとしています。

刈払機取扱作業者に対する安全衛生教育カリキュラム(基発第66号の別紙)
区分・科目範囲時間
学科:刈払機に関する知識刈払機の構造及び機能の概要、刈払機の選定1.0時間
学科:刈払機を使用する作業に関する知識作業計画の作成等、刈払機の取扱い、作業の方法1.0時間
学科:刈払機の点検及び整備に関する知識刈払機の点検・整備、刈刃の目立て0.5時間
学科:振動障害及びその予防に関する知識振動障害の原因及び症状、振動障害の予防措置2.0時間
学科:関係法令労働安全衛生関係法令中の関係条項及び関係通達中の関係事項等0.5時間
実技:刈払機の作業等刈払機の取扱い、作業の方法、刈払機の点検・整備の方法等1.0時間

実施者・講師・教材と、修了証・記録

事業者が自ら行うほか、安全衛生団体等が代わって行えます。団体が行う場合の人数や講師の条件、修了証の交付が定められています。

実施者は、刈払機を使う作業を行う事業者、または教育を行う安全衛生団体等です。教材は、林業・木材製造業労働災害防止協会が発行する「刈払機取扱作業者必携」が適当と認められるとされています。

安全衛生団体等が行う場合は、1回の教育対象人員をおおむね100人以内とします。実技教育は20人以内の受講者を1単位とし、1単位につき講師1名を確保します。講師は、労働安全コンサルタントか労働衛生コンサルタント、林業・木材製造業労働災害防止協会に所属する安全管理士か衛生管理士、または科目について学識経験を有する人を充てます。

事業者は、教育を実施した結果を記録して保管します。安全衛生団体等が事業者に代わって行った場合は、修了者に修了証を交付し、教育修了者名簿を作成して保管します。

  • 刈払機を使う作業に就かせる人を洗い出した
  • 通達が実施を求める学科5.0時間と実技1.0時間の教育を、自社または安全衛生団体等で行う
  • 教材は、通達が適当とする「刈払機取扱作業者必携」などを使う
  • 実施の記録を保管している(団体の教育を受けた場合は修了証を受け取った)
  • 振動ばく露量に基づく振動障害の予防対策を、教育の内容に盛り込んだ

チェーンソーによる伐木との違い:根拠が別の教育

刈払機の教育は通達に基づくものです。チェーンソーによる伐木は規則第36条第8号の特別教育で、根拠が分かれています。

労働安全衛生規則第36条第8号は、チェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理または造材の業務を、特別教育が必要な業務に挙げています。刈払機を使う草刈りは、この号の文言には含まれていません。

厚生労働省の平成21年の事務連絡は、振動工具に関する教育が、複数の通達で別々に推進されていることを示しています。チェーンソー以外の振動工具の取扱作業者は昭和58年の基発第258号、造林作業の作業指揮者等は昭和60年の基発第141号、チェーンソーを用いる伐木等の業務従事者は平成4年の基発第260号、刈払機の取扱作業者は平成12年の基発第66号です。

同じ現場でチェーンソーと刈払機の両方を使うときは、作業ごとに、どの教育が必要かを分けて確認します。伐木の安全措置は、別のガイドで条文ごとに整理しています。

よくある質問

刈払機の教育は、労働安全衛生規則の特別教育ですか?

通達は、この教育を特別教育に準じた教育として実施要領を定めたものです。規則第36条の特別教育の一覧に、刈払機の語は見当たりません。個別の取扱いは、労働基準監督署などで確認してください。

学科と実技は、合計で何時間ですか?

別紙のカリキュラムでは、学科が5.0時間(1.0、1.0、0.5、2.0、0.5時間)、実技が1.0時間で、合計6.0時間です。東京労働局の資料も、学科5.0時間、実技1.0時間と示しています。

自社で教育するのが難しいときは、どうしますか?

通達は、自ら教育を行うことが難しい事業者には、安全衛生団体等が実施する教育を受講させるよう勧奨するとしています。団体が行う場合は、修了者に修了証が交付されます。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

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