この記事の対象:特定技能外国人の入社前後の生活立ち上げを担当する人事・総務担当者、登録支援機関の担当者
生活に必要な契約に係る支援は、住居の確保と並ぶ義務的支援の一つ
特定技能基準省令の第3条は、1号特定技能外国人支援計画に、住居の確保の支援と並べて、銀行などの金融機関の預金口座・貯金口座の開設、携帯電話の利用に関する契約、その他の生活に必要な契約の支援を記載するよう定めています。
出入国在留管理庁の運用要領別冊は、この支援を「適切な住居の確保に係る支援・生活に必要な契約に係る支援」の項に置き、住居は(3-1)、生活に必要な契約は(3-2)に分けています。ここでいう「その他の生活に必要な契約」は、運用要領のかっこ書きで、電気・ガス・水道などのライフラインとされています。
つまり対象は、銀行口座、携帯電話、電気・ガス・水道の3種類に分けて確認できます。賃貸借契約そのものは(3-1)の住居の確保の支援で、このガイドでは扱いません。
| 対象 | 運用要領の記載 | 区分 |
|---|---|---|
| 銀行などの預金口座・貯金口座の開設 | 必要な書類の提供、窓口の案内、必要に応じた同行などで、手続を補助する | 義務的支援 |
| 携帯電話の利用に関する契約 | 同上 | 義務的支援 |
| その他の生活に必要な契約(電気・ガス・水道などのライフライン) | 同上 | 義務的支援 |
| 契約の途中での内容の変更・解約 | 必要な書類の提供、窓口の案内、必要に応じた同行などで、手続が円滑に行われるよう補助することが望まれる | 任意的支援 |
出典:法務省「1号特定技能外国人支援に関する運用要領-1号特定技能外国人支援計画の基準について-」(確認日:2026年8月22日)、e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(確認日:2026年10月6日)
書類の提供・窓口の案内・同行で手続を補助する
運用要領が義務的支援として求めているのは、外国人本人に対し、必要な書類の提供と窓口の案内を行い、必要に応じて同行するなど、各手続を補助することです。
運用要領の書きぶりは、契約の手続を受入れ機関や登録支援機関が代わりに行うことではなく、本人が手続できるように補助することです。同行は「必要に応じて」とされ、全員に必ず同行するという書き方ではありません。
補助を行う人は、支援を自社で行う場合は受入れ機関の支援担当者、支援を登録支援機関に委託する場合は登録支援機関の担当者です。委託の範囲は、支援の全部と一部で分かれます。10項目のうちどれを誰が担当するかは、委託契約の内容で確認してください。
支援計画には、この項目をどのように実施するかを書きます。支援計画の記載事項は、出入国在留管理庁の「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」のページで確認できます。
- 口座開設・携帯電話・ライフラインの3種類を、支援計画の実施方法に書き分けた
- 必要書類の案内と窓口の案内を、本人が理解できる形で渡す段取りにした
- 同行が必要になる場合の担当者と日程を決めた
- 支援を委託する場合は、この項目の担当を委託契約で確認した
出典:法務省「1号特定技能外国人支援に関する運用要領-1号特定技能外国人支援計画の基準について-」(確認日:2026年8月22日)、出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」(確認日:2026年7月26日)
口座開設などを済ませている人には、実施しなくてよい場合がある
運用要領の留意事項は、技能実習2号などから特定技能1号に変更する外国人が、すでに口座開設などを行っているときのことを書いています。
支援が客観的状況に照らして明らかに不要である場合は、実施しなくても差し支えないとされています。例として挙げられているのは、技能実習2号などから特定技能1号に在留資格を変更する人が、すでに口座を開設しているケースです。
運用要領に記録の定めはありませんが、本人の状況を確認して記録に残すと、不要と判断した根拠になります。口座はあっても携帯電話の契約は未了、というように、項目ごとに状況が違う場合は、必要な項目だけ補助します。
ここでの「不要」は、運用要領が認める「明らかに不要」な場合に限られます。
出典:法務省「1号特定技能外国人支援に関する運用要領-1号特定技能外国人支援計画の基準について-」(確認日:2026年8月22日)
支援に要する費用は、義務的支援の範囲では本人に負担させられない
運用要領は、1号特定技能外国人支援に要する費用のうち、義務的支援に係るものを、直接または間接に外国人に負担させることはできないと定めています。
運用要領は、別の箇所でも、義務的支援に要する費用は特定技能所属機関等が負担するとしています。
対象は「義務的支援に係る費用」です。運用要領は、契約の途中の変更や解約の補助を任意的支援としています。
任意的支援の費用の扱いは、この定めの文言には含まれていません。また、この定めは支援に要する費用の話で、口座や携帯電話などの契約そのものの利用料を誰が負担するかは、運用要領の(3-2)に書かれていません。
支援の全部を登録支援機関に委託する場合、登録支援機関は、支援に要する費用の額と内訳を受入れ機関に示すことが求められます。見積りを見るときは、この契約の補助が内訳のどこに含まれるかを確認してください。見積書の確認項目は、別のガイドで整理しています。
委託費用の見積りは見積書の確認項目で整理しています。
出典:法務省「1号特定技能外国人支援に関する運用要領-1号特定技能外国人支援計画の基準について-」(確認日:2026年8月22日)
帰国するときの口座の解約補助は、出国時の一体運送の例に出てくる
運用要領は、出入国の送迎を道路運送法上の許可なしで行える「生活支援サービスなどとの一体運送」の例を挙げています。
入国時の例には、住居の確保や生活に必要な契約の支援、公的手続への同行などを行ったあとに、受入れ機関または本人の自宅へ運送する形が入っています。出国時の例には、金融機関の預貯金口座の解約手続などを補助したあとに、港または飛行場へ運送する形が入っています。
出国時の口座解約の補助が、義務的支援・任意的支援のどちらの項目に当たるかは、この一体運送の例には書かれていません。出国時の送迎そのものは別の義務的支援です。
出典:法務省「1号特定技能外国人支援に関する運用要領-1号特定技能外国人支援計画の基準について-」(確認日:2026年8月22日)
よくある質問
銀行口座の開設は、会社や登録支援機関が代わりに行うのですか?
運用要領が求めているのは、必要な書類の提供、窓口の案内、必要に応じた同行などによる手続の補助です。同行は必要に応じて行うものとされており、手続を代わりに行うことまでは書かれていません。
携帯電話やライフラインの契約も支援の対象ですか?
はい。運用要領は、銀行などの口座開設と携帯電話の利用に関する契約に加え、その他の生活に必要な契約として電気・ガス・水道などのライフラインを挙げ、いずれも義務的支援としています。
技能実習から変更した人が口座をすでに持っているときも、必ず支援しますか?
運用要領の留意事項は、すでに口座開設などを行っているなど、支援が客観的状況に照らして明らかに不要である場合は、実施しなくても差し支えないとしています。項目ごとに本人の状況を確認してください。
この支援の費用を、外国人本人に負担してもらってもよいですか?
運用要領は、義務的支援に係る費用を、直接または間接に外国人に負担させることはできないとしています。契約の途中の変更・解約の補助は任意的支援とされており、この文言の対象には含まれていません。個別の費用の扱いは、登録支援機関や出入国在留管理庁の案内で確認してください。
参照した公的一次資料
- 法務省「1号特定技能外国人支援に関する運用要領-1号特定技能外国人支援計画の基準について-」(確認日:2026年8月22日、次回確認:2026年11月22日)
- e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(確認日:2026年10月6日、次回確認:2026年12月6日)
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」(確認日:2026年7月26日、次回確認:2026年10月26日)
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(第19条の18 届出・第19条の19〜21 指導助言・報告徴収・改善命令・第19条の26 登録の拒否・第19条の31〜34 登録支援機関への指導・取消し・第71条の3・第71条の4 罰則)(確認日:2026年10月1日、次回確認:2026年12月1日)
次に確認すること
この記事の条件を引き継いで、未確認費目を整理する(金額は概算で、見積の代わりではありません)