この記事の対象:生活オリエンテーションを実施・委託する担当者
本人の生活状況に合わせて準備する
共通資料を読み上げるだけでなく、居住地と就労状況へ合わせます。
交通、医療、税・社会保険、防災、ごみ、生活ルール、行政手続等を公式の支援内容と照合します。
海外入国者と国内在住者で既知の情報が異なるため、理解済みと推測せず確認事項を残します。
実施項目は支援計画と対応付け、説明しなかった項目が分かる状態にします。候補者の経験に応じて説明量を調整しても、対象外と判断した理由を記録します。 確認記録には根拠資料の名称と確認日も残します。
- 交通の説明
- 医療の説明
- 税・社会保険の説明
- 防災の説明
- ごみ出しの説明
- 生活ルールの説明
- 行政手続の説明
実施する時期・時間・方法の基準
運用要領別冊は、時期は「遅滞なく」、時間は「少なくとも8時間以上」と考えられるとしています。
時期は、入国後(他の在留資格から変更する場合は在留資格の変更後)に遅滞なく実施する必要があるとされています。
時間は、個別の事情によるものの、本人が十分に理解できるまで行う必要があり、情報提供事項を十分に理解するには少なくとも8時間以上行うことが必要と考えられる、と記載されています。技能実習2号良好修了者や留学生等を同一機関で引き続き雇用し、生活環境に変化がない場合でも、4時間に満たないときは適切に行ったとはいえないとされています。
方法は、本人が十分に理解できる言語で行うことが求められます。テレビ電話やDVD等の動画視聴でも差し支えありませんが、本人から内容について質問があったときに適切に応答できるよう、コミュニケーションがとれる体制を整えることが必要です。転職等で別の特定技能所属機関へ変更した場合も、生活オリエンテーションを実施する必要があります。
通訳者には資料を事前共有し、制度用語の訳し方を揃えます。本人が理解できない様子を示した項目は言い換え、質問への回答を後日行う場合は期限を伝えます。 確認記録には根拠資料の名称と確認日も残します。
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 時期 | 入国後(在留資格変更の場合は変更後)に遅滞なく |
| 時間 | 少なくとも8時間以上が必要と考えられる |
| 引き続き雇用する場合 | 生活環境に変化がなくても4時間に満たないと適切とはいえない |
| 方法 | 本人が理解できる言語。テレビ電話・動画視聴も可(質問に応答できる体制が必要) |
| 転職した場合 | 別の所属機関へ変更した場合も実施が必要 |
理解できる言語と方法を選ぶ
資料を渡した事実ではなく、内容を理解できたかを確認します。
通訳を使う場合は対応言語、実施者、追加料金、対面・オンラインの方法を事前に決めます。
専門用語を避け、質問時間を確保し、分からない項目を後日確認できる連絡先も伝えます。
日本語で説明する場合の書き方や話し方の参考として、出入国在留管理庁と文化庁が作成した「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」があります。書き言葉に焦点を当てたガイドラインで、別冊の「やさしい日本語書き換え例」、話し言葉のポイントをまとめた資料、研修の手引が同じ入管庁のページで公開されています。使うときは出典を記載し、編集・加工した場合はその旨を書くことが利用ルールで求められています。
地域情報には確認日を付け、転居や自治体の案内変更時に見直します。民間サービスを例示する場合も特定事業者の利用を必須とせず、公的な相談先を優先します。 確認記録には根拠資料の名称と確認日も残します。
| 項目 | 決める内容 |
|---|---|
| 対応言語 | 本人が理解できる言語 |
| 実施者 | 通訳を担当する者 |
| 追加料金 | 発生の有無と金額 |
| 実施方法 | 対面・オンラインの別 |
地域固有情報を更新する
全国共通制度と、市区町村・住居ごとの案内を分けます。
役所、医療機関、避難所、交通、ごみ収集等は実際の居住地の公式案内で更新します。
転居時は旧住所向け資料を使い回さず、新しい生活圏で必要な案内を再確認します。
未解決事項は『説明済み』の記録に埋め込まず、独立した対応一覧へ移します。完了時には本人へ結果を伝え、次回面談で再確認する項目を明示します。 確認記録には根拠資料の名称と確認日も残します。
- 役所の案内を確認した
- 医療機関の案内を確認した
- 避難所の案内を確認した
- 交通の案内を確認した
- ごみ収集の案内を確認した
実施記録と未解決事項を残す
実施日だけでなく、説明内容と質問への対応を記録します。
運用要領は、支援の実施に関する管理簿のうち生活オリエンテーションの記録項目(関係機関への同行に関する事項を含む)を挙げています。下の表の項目を欠かさず記録し、支援計画と結び付けます。使用資料、本人の質問、追加対応は運用要領の項目ではありませんが、未解決事項を引き継ぐために自社の記録へ足しておくと確認しやすくなります。
運用要領は、生活オリエンテーションの確認書(参考様式第5-8号)を保存するよう求めています。また、事前ガイダンスと同様に、生活オリエンテーションでも、支援に要する費用を直接又は間接的に本人に負担させないことを説明するよう求めています。
支援に要する費用には、生活オリエンテーションの実施に係る通訳人の通訳費等が含まれるため、通訳費を本人に負担させることはできません。なお、住宅の賃貸料などの実費を必要な限度で本人に負担させることは妨げられていません。
未解決事項は担当者と期限を決め、相談対応や定期面談へ引き継ぎます。
| 記録項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 本人の情報 | 氏名、生年月日、国籍・地域、性別、在留カード番号 |
| 実施日時・実施場所 | 実施した日時と場所 |
| 実施内容 | 情報提供した内容 |
| 実施方法 | 実施した方法 |
| 実施担当者 | 通訳人及び法的保護に関する情報提供の実施者を含む担当者の氏名と所属 |
| 確認書 | 生活オリエンテーションの確認書(参考様式第5-8号)の保存 |
よくある質問
何時間実施すればよいですか?
運用要領別冊は、本人が十分に理解できるまで行う必要があり、少なくとも8時間以上行うことが必要と考えられるとしています。技能実習2号良好修了者や留学生等を引き続き雇用し生活環境に変化がない場合でも、4時間に満たないときは適切に行ったとはいえないとされています。個別の事情で変わるため、具体的な時間は出入国在留管理庁の案内で確認してください。
動画だけで実施できますか?
テレビ電話やDVD等の動画視聴でも差し支えないとされています。ただし本人が十分に理解できる言語で行い、質問があったときに適切に応答できるコミュニケーションの体制を整えることが必要です。実施後は確認書(参考様式第5-8号)に署名を得て記録します。
国内在住者にも必要ですか?
他の在留資格から特定技能へ変更する場合も、在留資格の変更後に遅滞なく実施する必要があります。引き続き雇用する場合も、相談先の連絡先や緊急時の対応など必要な情報を十分に理解させる必要があり、生活環境に変化がなくても4時間に満たないときは適切とはいえないとされています。
参照した公的一次資料
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」(確認日:2026年10月26日、次回確認:2027年1月26日)
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(確認日:2026年8月11日、次回確認:2026年11月11日)
- 出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」(確認日:2026年8月1日、次回確認:2026年11月1日)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(確認日:2026年10月26日、次回確認:2027年1月26日)
- 出入国在留管理庁「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」(確認日:2026年10月15日、次回確認:2027年1月15日)
- 法務省「1号特定技能外国人支援に関する運用要領-1号特定技能外国人支援計画の基準について-」(確認日:2026年10月20日、次回確認:2026年11月22日)