この記事の対象:育成就労外国人の受入れを検討・開始している企業の人事担当者、監理支援機関の担当者、育成就労責任者
届出:就労の継続が困難になったら育成就労実施困難時届出書
出入国在留管理庁の育成就労制度Q&Aは、妊娠・出産等で育成就労の継続が困難になった場合の手続を、設問として取り上げています。
Q&Aの答えは、妊娠・出産等により育成就労を継続することが困難となった場合、育成就労実施者は育成就労実施困難時届出書を提出する必要がある、というものです。一定期間の帰国が見込まれるときは、育成就労実施者(監理型育成就労の場合は監理支援機関)が外国人育成就労機構に対して提出すると書かれています。
運用要領も、妊娠・出産等による中断で育成就労を継続できなくなった場合には、育成就労実施困難時届出書の提出が必要としています。妊娠・出産等により育成就労を中断する場合は、届出書の提出の際に、交付日が記載された母子健康手帳の表紙の写しを添付します。
期間:妊娠・出産による帰国は育成就労期間に含まれない
帰国したときに、その期間が育成就労の期間(基本は3年間)に数えられるかどうかは、届出の有無で分かれます。
Q&Aによると、育成就労は基本的に3年間続けて行うことが想定されています。夏季休暇や年末年始に、自己都合で再入国許可(みなし再入国を含む)を受けて一時的に帰国する場合は、帰国期間も育成就労の期間に含まれます。
他方、妊娠・出産等により一定期間の帰国が見込まれ、実施者(監理型の場合は監理支援機関)が育成就労実施困難時届出書を提出したうえで出国する場合は、その帰国期間は育成就労期間に含まれません。この場合、育成就労を再開するときは、育成就労計画の変更認定申請等の手続が必要です。
| 場合 | 帰国期間の扱い | 再開時の手続 |
|---|---|---|
| 夏季休暇等で自己都合により一時帰国する(届出書による中断なし) | 育成就労の期間に含まれる | Q&Aに記載なし |
| 妊娠・出産等で、届出書を提出して出国する | 育成就労の期間に含まれない | 育成就労計画の変更認定申請等 |
受入れ側の対応:本人の希望を踏まえた説明と意思確認の資料
Q&Aは、監理支援機関と育成就労実施者に、本人の希望を踏まえた必要な対応を求めています。
対応として挙げられているのは、母子健康手帳の交付、病院や市町村の窓口、定期的な病院受診の手続の説明や支援、中断しても育成就労を再開できることの説明と継続の意思の確認、日本での出産希望の確認です。帰国して母国で出産を希望する場合は、再開の時期や手続の説明も含まれます。出産育児一時金、健康保険の出産手当金、産前・産後休業等の説明も挙げられています。
育成就労外国人が帰国を希望する場合は、本人の意思を確認した資料を、監理支援機関または育成就労実施者が保管する必要があります。給付の中身は制度ごとに異なるため、案内するときは各制度の窓口で確認してもらいます。
出産育児一時金の仕組みは、出産育児一時金のガイドで確認できます。
- 母子健康手帳の交付や受診の手続を説明した
- 中断しても育成就労を再開できることと、継続の意思を確認した
- 日本で出産するか、帰国して出産するかの希望を確認した
- 出産育児一時金・出産手当金・産前産後休業を説明した
- 帰国を希望する場合の意思確認の資料を保管した
再開と家族:同じ実施者のもとで再開するときの変更認定
中断後の再開で手続が要るのは、同じ育成就労実施者のもとで再開する場合も同じです。
Q&Aは、育成就労を一度中断し、同じ育成就労実施者のもとで再開する場合には、育成就労計画の変更認定が必要としています。届出から再開までの流れは、届出書の提出、本人の意思の確認、再開時の変更認定申請の順に整理しておくと、抜けを防ぎやすくなります。
なお、育成就労制度では、原則として家族の帯同を認めないとされています。妊娠・出産の場面で配偶者や家族の来日が話題になったときは、この原則を踏まえ、個別の扱いは出入国在留管理局に確認してください。
妊娠中の女性に対する不利益取扱いの禁止は、妊娠・出産ハラスメント防止のガイドで確認できます。
よくある質問
育成就労外国人が妊娠したら、どの書類が必要ですか?
出入国在留管理庁のQ&Aは、妊娠・出産等で育成就労の継続が困難になった場合、育成就労実施者が育成就労実施困難時届出書を提出する必要があるとしています。一定期間の帰国が見込まれるときは、実施者(監理型の場合は監理支援機関)が外国人育成就労機構に提出します。
出産のために帰国した期間は、育成就労の3年に入りますか?
Q&Aは、届出書を提出したうえで妊娠・出産等のために出国する場合、帰国期間は育成就労期間に含まれないとしています。自己都合の休暇帰国は含まれる扱いで、届出書による中断かどうかで分かれます。
出産後に同じ会社で育成就労を再開できますか?
Q&Aは、中断しても育成就労を再開できることを本人に説明するよう求めています。同じ育成就労実施者のもとで再開する場合は、育成就労計画の変更認定が必要です。
参照した公的一次資料
- 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(確認日:2026年10月22日、次回確認:2026年11月22日)
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度 運用要領 ~関係者の皆さまへ~」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日、次回確認:2027年1月3日)
- 厚生労働省「出産育児一時金等について」(確認日:2026年10月14日、次回確認:2027年2月8日)
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「出産手当金」(確認日:2026年10月14日、次回確認:2027年2月15日)
次に確認すること
試算ツールは特定技能1号の費用が対象です。育成就労から特定技能1号へ移った後の支援費は「1号特定技能外国人支援の体制」欄に、見積が手元にある費目は「費目別の確認状況」欄に入力します。育成就労の監理支援費や送出し関連の費用は入力欄がありません。