この記事の対象:育成就労の受入れを検討する企業の給与・労務担当者、監理支援機関の担当者、登録支援機関の担当者
報酬の支払い方法:口座振込か、支払われた額を確認できる方法
施行規則第18条第4号は、報酬を外国人が指定する金融機関の口座への振込みか、現実に支払われた額を確認できる方法で支払うことを求めています。
運用要領によると、この基準は、報酬の支払いをより確実で適正なものにするためのものです。支払方法にかかわらず、支払状況が確認できる資料を保管し、外国人育成就労機構などの検査や監理支援機関の監査のときに示せるようにしておく必要があります。
口座振込にする場合は、報酬の支払いは口座振込によることを外国人に説明し、同意を得ます。口座振込だと帰国後に現地で引き出せなくなることがあるため、帰国直前の報酬の支払い方法も、事前に外国人と確認しておく必要があるとされています。
労働基準法上、賃金は通貨払いが原則で、金融機関への振込みは労働者が希望した場合に限られます。運用要領は、これを踏まえたうえで、外国人の同意を得て、雇用契約で指定の預貯金口座等へ振り込むこととするよう努めてほしいとしています。本人が資金移動業者の口座への賃金支払い(賃金のデジタル払い)を希望する場合は、デジタル払いでも差し支えありませんが、事業場に労使協定が必要であるなどの条件があります。
| 支払方法 | 保管する資料 |
|---|---|
| 預貯金口座への振込み | 口座振込明細書、取引明細書などの写し |
| 振込み以外の方法 | 給与明細の写し、報酬支払証明書(参考様式第4-1号) |
差別的取扱いの禁止:賞与の不支給が例
報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用などで、育成就労外国人であることを理由とした差別的な取扱いをしてはなりません。
施行規則第18条第5号の基準について、運用要領は、福利厚生施設の例として社員住宅、診療施設、保養所、体育館などを挙げています。差別的取扱いに当たる例は、育成就労外国人であることのみを理由としたボーナスの不支給です。
運用要領は、このほかの待遇の基準(第8号)として、同じ育成就労実施者が複数の育成就労外国人を雇う場合に、不当に異なる取扱いをすることも適切でないとしています。分野別運用方針で転籍制限期間が2年とされている分野で、実施者の判断で期間を1年にするときに、外国人ごとに異なる期間を定めることは、不当な取扱いに当たるとされています。
- 賞与や手当の対象から、育成就労外国人だけを外していないか
- 社員住宅や保養所などの福利厚生施設を、同じように使えるか
- 複数の育成就労外国人の間で、待遇に不当な差がないか
転籍制限期間が1年を超える分野:1年を過ぎたあとの昇給など
分野別運用方針で転籍制限期間が1年を超える場合は、1年が過ぎたあとの昇給などの待遇向上を図ることが基準になります。
施行規則第18条第6号の基準について、運用要領によると、転籍制限期間は、育成就労産業分野ごとに、分野別運用方針で1年から2年の範囲内で定められます。1年を超える期間を設ける場合の待遇向上の内容も、分野別運用方針で定めるとされています。
分野別運用方針で1年を超える期間が定められた場合でも、育成就労実施者は、自らの判断で転籍制限期間を1年とすることができます。この場合、1年を超える期間を設けたときの待遇向上を行うことは義務づけられていません。転籍の要件は、本人意向転籍のガイドで確認できます。
一時帰国を希望した場合:必要な有給休暇を取得させる
施行規則第18条第7号は、育成就労外国人が一時帰国を希望した場合に、必要な有給休暇を取得させることとしていることを求めています。
運用要領によると、ここでいう有給休暇は、労働基準法第39条の年次有給休暇を含め、就業規則に定めた一般の有給休暇です。申出があった場合に必要な有給休暇を取得させることを、雇用契約で定める必要があります。
就業規則に定めた有給休暇をすべて取得した外国人から一時帰国の申出があった場合は、追加的な有給休暇か無給休暇を取得できるよう、可能な限り配慮するとされています。無給休暇についても雇用契約で定めるよう、可能な限り配慮することが求められています。
一時帰国のために休暇を取ったことを理由に、就労上の不利益な扱いをしていることが判明した場合は、この基準に適合しないこともあり得るとされています。家族が短期滞在で来日した場合は、家族の滞在中に有給休暇を取得できるよう配慮することが望まれるとされています。
- 雇用契約に定める
一時帰国の申出があった場合に、必要な有給休暇を取得させることを記載します。
- 有給休暇を使い切った場合を決める
追加の有給休暇か無給休暇の扱いを、雇用契約に定めるよう配慮します。
- 不利益な扱いをしない
休暇の取得を理由に、評価や配置で不利に扱わないようにします。
よくある質問
育成就労外国人の報酬は、必ず口座振込にしなければなりませんか?
施行規則第18条第4号は、口座振込か、現実に支払われた額を確認できる方法で支払うことを求めています。運用要領は、外国人の同意を得て、雇用契約で指定の口座へ振り込むこととするよう努めてほしいとしています。振込み以外の方法では、給与明細の写しや報酬支払証明書を保管します。
報酬の支払状況の資料は、いつ使いますか?
運用要領は、外国人育成就労機構などによる検査や、監理支援機関による監査の際に示せるよう、資料を保管しておく必要があるとしています。
デジタル払いでもよいですか?
運用要領は、本人が資金移動業者の口座への賃金支払いを希望する場合は、デジタル払いでも差し支えないとしています。ただし、事業場に労使協定が必要であるなどの条件があります。
有給休暇を使い切った人が一時帰国を希望したら、どうなりますか?
運用要領は、追加的な有給休暇または無給休暇を取得できるよう、可能な限り配慮するとしています。休暇を取ったことを理由とした不利益な扱いは、基準に適合しないこともあり得るとされています。
参照した公的一次資料
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度 運用要領 ~関係者の皆さまへ~」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日、次回確認:2027年1月3日)
- 厚生労働省法令等データベースサービス「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律施行規則」(確認日:2026年9月25日、次回確認:2026年12月25日)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度運用要領のポイント」(確認日:2026年9月7日、次回確認:2026年12月7日)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度」(確認日:2026年10月22日、次回確認:2026年11月22日)
次に確認すること
試算ツールは特定技能1号の費用が対象です。育成就労から特定技能1号へ移った後の支援費は「1号特定技能外国人支援の体制」欄に、見積が手元にある費目は「費目別の確認状況」欄に入力します。育成就労の監理支援費や送出し関連の費用は入力欄がありません。