この記事の対象:育成就労の受入れを検討する企業の担当者、宿舎を用意する監理支援機関の担当者、登録支援機関の担当者

待遇の基準は育成就労計画の認定で確認される

育成就労外国人の報酬や宿泊施設は、育成就労計画の認定基準の一つとして審査されます。

運用要領によると、育成就労計画の認定基準(法第9条第1項第9号)は、報酬の額が日本人が同じ業務に従事する場合と同等以上であることと、そのほかの待遇が主務省令の基準に適合していることを求めています。主務省令の基準は、施行規則第18条に定められています。

施行規則第18条は、単独型と監理型に分けて、宿泊施設の確保、入国後講習に専念するための措置、監理型での監理支援費の負担禁止を挙げ、あわせて食費・居住費などの定期に負担する費用の適正さを求めています。このガイドは、そのうち報酬、宿泊施設、入国後講習の期間の扱い、定期に負担する費用を取り上げます。このほか、報酬の口座振込、外国人であることを理由とした差別的取扱いの禁止、昇給、有給休暇などの基準もあります。

施行規則第18条のうち、このガイドで扱う待遇の基準(運用要領第4章の整理)
基準内容対象
宿泊施設の確保育成就労外国人のための適切な宿泊施設を確保する単独型は申請者、監理型は申請者または監理支援機関
入国後講習への専念手当の支給その他の方法で、講習に専念するための措置を講じる単独型は申請者、監理型は申請者または監理支援機関
監理支援費の負担禁止監理支援費を直接にも間接にも外国人に負担させない監理型のみ
定期に負担する費用対価の内容を理解して合意し、額が実費に相当する額その他の適正な額単独型・監理型とも

報酬:日本人と同等以上、受験料や監理支援費を理由に下げない

報酬の額は、育成就労外国人であることを理由に不当に低くしてはならないとされています。

運用要領によると、同じ業務に従事する日本人労働者がいる場合は、職務の内容や責任の程度が同等であることを説明したうえで、その日本人労働者の報酬の額と同等以上であることを示す必要があります。同程度の日本人労働者がいない場合は、賃金規程があれば規程に照らした報酬体系の観点から、規程がなければ職務内容や責任の程度が最も近い日本人労働者と比べて示します。

技能検定などの受験料や、監理支援機関に支払う監理支援費の負担を理由に、育成就労外国人の報酬を低くすることは許されないとされています。時間外労働には、割増賃金を適正に支払う必要があります。

ここでいう報酬は、基本給、賞与、出勤状況や職務内容に応じて支払われる手当(精皆勤手当、職務手当、危険作業手当など)です。通勤手当や住宅手当のように実費弁償の性格を持つもの(課税対象となるものを除く)は含まれません。2年目・3年目の賃金は、前年より上げるなど技能の修得度に応じた格付けをして、修得の意欲につなげることが必要とされています。

特定技能で、期間の定めのある契約の外国人が正社員との待遇差の説明を求めたときの義務は、特定技能の同一労働同一賃金|待遇差の説明義務で確認できます。

  • 同じ業務の日本人労働者の報酬と比べて、同等以上であることを説明できるか
  • 受験料や監理支援費を理由に報酬を下げていないか
  • 時間外労働の割増賃金の支払いを確認したか
  • 2年目・3年目の賃金の上げ方を決めているか

宿泊施設:寝室は1人4.5㎡以上など、運用要領が9項目を挙げる

適切な宿泊施設と認められるには、建築基準法上の建築物であることを前提に、運用要領の9項目が確認できる必要があります。

運用要領は、宿泊施設の確保に当たって確認できる必要がある事項として、①火災や衛生上の危険がある場所を避けること、②避難階段の設置、③消火設備の設置と維持管理、④寝室の面積と設備、⑤就眠時間が異なる組の寝室を分けること、⑥食堂・炊事場の衛生、⑦トイレ・洗面所・洗濯場・浴場、⑧事業の附属寄宿舎の届出、⑨共用部分の衛生管理を挙げています。

寝室は、床の間や押入など実際に使えない部分を除き、1人当たり4.5㎡以上を確保し、個人別の私有物収納設備、室面積の7分の1以上の有効採光面積の窓、生活に必要な採暖・冷房設備を設ける措置が求められます。私有物収納設備は、施錠できて持ち出せないものでなければならず、押入れを区切るだけの対応や、本人のスーツケースを使う対応は認められないとされています。鍵は本人に管理させます。

避難階段は、通常時15人未満が2階以上の寝室に居住する建物では1か所以上、15人以上では2か所以上です。滑り台や避難はしごなどの避難器具に代えられますが、15人以上の建物では1か所は避難階段でなければなりません。

宿泊施設が労働基準法第10章の「事業の附属寄宿舎」に当たる場合は、寄宿舎規則の届出などが必要です。確認事項は、入国後講習の期間中に外国人が泊まる施設にも同じように当てはまります。

寝室と避難階段の数値基準(運用要領の要約)
項目基準
寝室の広さ実際に使えない部分を除き、1人当たり4.5㎡以上
窓室面積の7分の1以上の有効採光面積
避難階段(通常時15人未満が2階以上に居住)1か所以上
避難階段(通常時15人以上が2階以上に居住)2か所以上(うち1か所は避難階段)
私有物収納設備個人別、施錠可能、持ち出せないもの

入国後講習の期間:食費・居住費の自己負担と同等以上の講習手当

入国後講習を受ける期間は、外国人が講習に専念できるように待遇を確保することが求められます。

運用要領によると、食費や居住費に外国人の自己負担がある場合は、これと同等以上の額の講習手当を支払う必要があります。手当の支給は、規則が例として挙げる方法です。

監理型では、監理支援機関が受入れ企業から徴収する監理支援費を、外国人に直接にも間接にも負担させてはなりません。運用要領は、間接的な負担の例として、入国前講習に要した費用を、外国人が「講習費」として送出機関に支払うケースを挙げています。一方、食事や宿泊施設の提供、日用品の支給の実費は監理支援費に含まれないため、外国人から徴収しても差し支えないとされています。

定期に負担する費用:食費と居住費は実費の範囲で、内容を理解して合意

食費や居住費など、外国人が定期に負担する費用は、実費に相当する額などの適正な額でなければなりません。

運用要領によると、外国人が対価として供与される内容を十分に理解したうえで、育成就労実施者と合意している必要があります。食費は提供の仕方に応じて上限が分かれ、食材や宅配弁当の現物支給は購入に要した額以内、社員食堂は従業員一般から徴収する額以内、調理して提供する場合は材料費、水道・光熱費、人件費などを提供を受ける人数で割った額以内です。

居住費は、自己所有物件の場合、建設・改築などに要した費用(土地に関する費用を除く)、耐用年数、入居人数、築年数、類似の賃貸物件の相場などを勘案した合理的な額です。借上物件の場合は、管理費、共益費、損害保険・火災保険を含む定期的な費用を入居人数で割った額以内で、敷金、礼金、保証金、仲介手数料、更新料、保証委託料は含みません。役員や同居の親族の所有物件など、貸主を実質的に事業者と同一視できる場合は、自己所有物件とみなされます。

金額は物件や提供の方法で変わるため、このサイトでは目安額を示しません。見積もりや認定の可否は、外国人育成就労機構の地方事務所など関係機関で確かめてください。特定技能1号の食費・居住費の扱いは、別のガイドで比べられます。

  1. 報酬を日本人と比べる

    同じ業務の日本人労働者の報酬、いなければ賃金規程や最も近い職務と比べます。

  2. 宿泊施設の9項目を図面で確かめる

    寝室の面積の算出根拠を見取り図に記載します。

  3. 徴収する費用を実費で計算する

    食費・居住費の算出方法を、外国人に説明して合意を得ます。

よくある質問

育成就労外国人の報酬は、日本人より低くしてもよいですか?

運用要領は、育成就労外国人であることを理由に報酬が不当に低くなってはならず、同じ業務の日本人労働者がいる場合は同等以上であることを示す必要があるとしています。受験料や監理支援費の負担を理由に下げることも許されないとされています。

寮の寝室は何㎡必要ですか?

運用要領は、床の間や押入など実際に使えないスペースを除き、1人当たり4.5㎡以上を確保するよう求めています。見取り図には、この面積を確保していることと算出根拠を記載する必要があります。

入国後講習の期間中の費用はどうなりますか?

食費や居住費に外国人の自己負担がある場合は、これと同等以上の額の講習手当を支払う必要があるとされています。入国後講習の期間に泊まる施設にも、宿泊施設の確認事項が同じように当てはまります。

食費や居住費は自由に決めてよいですか?

いいえ。外国人が内容を理解して合意し、額が実費に相当する額などの適正な額であることが基準です。食費・居住費の算出方法は、運用要領が物件の種類や提供の方法ごとに示しています。個別の可否は関係機関に確認してください。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

この記事の条件を引き継いで、未確認費目を整理する

試算ツールは特定技能1号の費用が対象です。育成就労から特定技能1号へ移った後の支援費は「1号特定技能外国人支援の体制」欄に、見積が手元にある費目は「費目別の確認状況」欄に入力します。育成就労の監理支援費や送出し関連の費用は入力欄がありません。