この記事の対象:特定技能外国人を雇う企業の給与・労務担当者、登録支援機関の担当者
年末調整の対象者:12月に行う場合と年の中途で行う場合
年末調整は、毎月の給与から源泉徴収した所得税などの合計額と、その人が1年間に納めるべき所得税などの額との差額を精算する手続です。対象になるのは、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を年末調整を行う日までに提出している人です。
12月に行う年末調整の対象は、会社などに1年を通じて勤務している人と、年の中途で就職して年末まで勤務している人です。外国人かどうかで区別されません。ただし、1年間に支払うことが確定した給与の総額が2,000万円を超える人と、災害減免法による源泉所得税の徴収猶予や還付を受けた人は除かれます。
年の中途で退職した人は、年の中途で行う年末調整の5つのいずれかに当たる場合だけが対象です。当たらない人は年末調整の対象になりません。特定技能外国人が帰国や転職で年の途中に退職するときは、下の表のどれに当たるかを確認します。
| 番号 | 対象になる人 |
|---|---|
| (1) | 海外支店等に転勤したことなどの理由により非居住者となった人 |
| (2) | 死亡によって退職した人 |
| (3) | 著しい心身の障害のために退職した人(退職後に再就職して給与を受け取る見込みのある人は除く) |
| (4) | 12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職した人 |
| (5) | パートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が136万円以下である人(退職後その年に他の勤務先から給与を受ける見込みのある人は除く) |
出典:国税庁タックスアンサー No.2665 年末調整の対象となる人(確認日:2026年10月14日)
年の中途で入社した人:前の勤務先の源泉徴収票を確認する
年の中途で就職し、年末まで勤務している人も、12月の年末調整の対象です。その年のうちにほかの会社などから給与を受けたことがあるかを、まず確認します。
ほかの会社などに扶養控除等申告書を提出して給与の支払を受けている人は、その給与を含めて年末調整をします。前の勤務先から支払われた給与の金額と、そこで徴収された所得税や社会保険料の額は、前の勤務先が交付した「給与所得の源泉徴収票」などで確認します。
この確認ができないときは、年末調整を行えません。その人は確定申告で所得税の精算をします。転職や在留資格の変更で入社した外国人従業員には、入社の時に前の勤務先の源泉徴収票を預かると、年末の確認がしやすくなります。
年末調整で差し引く基礎控除や扶養控除は、例えば3月に学校を卒業して4月から就職した人でも、就職後の月数であん分せず、全額が認められます。
出典:国税庁タックスアンサー No.2674 中途就職者の年末調整(確認日:2026年10月14日)
居住者か非居住者か:国内に住所があるか、1年以上居所があるか
所得税法では、国内に住所を有する人、または現在まで引き続き1年以上居所を有する人を居住者、居住者以外の人を非居住者と区分します。
「住所」は生活の本拠を指し、客観的事実によって判定されます。「居所」は生活の本拠ではないが、現実に居住している場所です。
外国人従業員が居住者に当たるかどうかは、この基準で個別に判断されるため、このガイドは断定しません。迷うときは税務署または税理士に確認してください。
この区分は、次の節の扶養控除で効いてきます。扶養親族が日本国内に住所も居所もない非居住者だと、控除対象になる範囲が限られるためです。
出典:国税庁タックスアンサー No.2875 居住者と非居住者の区分(確認日:2026年10月14日)
扶養控除の要件:母国の家族は年齢などで控除対象が絞られる
扶養親族は、その年の12月31日の現況で、4つの要件のすべてに当てはまる人です。従業員が年の中途で出国する場合は、出国の時の現況で判断します。
4つの要件は、配偶者以外の親族(6親等内の血族と3親等内の姻族)であること、納税者と生計を一にしていること、年間の合計所得金額が58万円以下(給与のみの場合は給与収入が123万円以下)であること、青色申告者の事業専従者として給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないことです。令和8年12月1日に施行され、令和8年分から適用される所得の金額は62万円以下と、国税庁は案内しています。
控除対象扶養親族になるのは、扶養親族のうち12月31日現在の年齢が16歳以上の人です。さらに令和5年分以後は、非居住者である扶養親族は、下の表のいずれかに該当する人に限られます。母国に住む親や子は、通常この非居住者の扱いを受けます。
控除額は、一般の控除対象扶養親族が38万円、特定扶養親族が63万円、老人扶養親族が同居老親等以外48万円・同居老親等58万円です。兄弟でそれぞれ送金していても、1人の親族を扶養控除の対象にできるのは、兄弟のうち1人だけです。
| 12月31日現在の年齢 | 控除対象になる場合 |
|---|---|
| 16歳以上30歳未満 | 年齢だけで対象 |
| 70歳以上 | 年齢だけで対象 |
| 30歳以上70歳未満 | 次のいずれかに該当する場合だけ対象:留学により国内に住所および居所を有しなくなった人、障害者である人、納税者からその年に生活費または教育費に充てる支払を38万円以上受けている人 |
出典:国税庁タックスアンサー No.1180 扶養控除(確認日:2026年10月14日)、国税庁タックスアンサー No.1180 扶養控除(よくある質問)(確認日:2026年10月14日)
必要書類:親族関係書類と送金関係書類を会社に出す
給与の年末調整で国外居住親族の扶養控除を受ける人は、親族関係書類や送金関係書類などを、源泉徴収義務者(会社)に提出または提示する必要があります。
親族関係書類は、その国外居住親族が従業員の親族であることを証する書類です。戸籍の附票の写しその他の国または地方公共団体が発行した書類と、親族の旅券の写し、または外国政府もしくは外国の地方公共団体が発行した書類(親族の氏名、生年月日、住所または居所の記載があるもの)のどちらかです。外国語の書類には翻訳文も必要です。
送金関係書類は、その年に、親族の生活費または教育費に充てるための支払を、必要の都度、各人に行ったことを明らかにする書類です。金融機関の為替取引の書類、クレジットカード発行会社の書類、電子決済手段等取引業者の書類(令和6年分以後)が当たります。外国語の書類には翻訳文が必要です。
30歳以上70歳未満の親族には、追加の書類があります。留学の場合は、外国における査証(ビザ)に類する書類の写しか在留カードに相当する書類の写しといった留学ビザ等書類が要ります。年38万円以上の支払で対象になる場合は、送金関係書類のうち、1人あたりの年間の支払合計が38万円以上であることを明らかにする38万円送金書類が要ります。
| 国外居住親族 | 必要な書類 |
|---|---|
| 16歳以上30歳未満、または70歳以上 | 親族関係書類・送金関係書類 |
| 30歳以上70歳未満で、留学により国内に住所および居所を有しなくなった人 | 親族関係書類・送金関係書類・留学ビザ等書類 |
| 30歳以上70歳未満で、障害者である人 | 親族関係書類・送金関係書類 |
| 30歳以上70歳未満で、年38万円以上の支払を受けている人 | 親族関係書類・38万円送金書類 |
| 30歳以上70歳未満で、上の3つのいずれにも当たらない人 | 扶養控除の適用なし |
- 従業員から扶養控除等申告書が年末調整の前に出ているか確認している
- 母国の家族を扶養に入れる場合、親族の年齢(12月31日現在)で必要な書類を表で照らしている
- 外国語の書類には翻訳文が付いているか確認している
- 30歳以上70歳未満の親族は、留学・障害・年38万円以上のどれに当たるかを聞いている
- 年の中途で入社した従業員から、前の勤務先の源泉徴収票を預かっている
- 個別の税額や控除の可否で迷うときは、税務署または税理士に確認するよう案内している
出典:国税庁タックスアンサー No.1180 扶養控除(よくある質問)(確認日:2026年10月14日)、国税庁タックスアンサー No.1180 扶養控除(確認日:2026年10月14日)
会社の役割:本人の申告をもとに計算し、判断に迷うときは税務署へ
このガイドは、国税庁の案内にもとづく一般的な整理です。個々の従業員の税額や控除の可否を判断するものではなく、年末調整の代行や税務の助言も行いません。
別居している親族を扶養控除の対象にするには、常に生活費などの送金が行われているなど、生計を一にしていることが必要です。国税庁は、会社が扶養の事実を、振込票や書留の写しなどで確認することをお勧めしています。国外居住親族は、上の節の書類の提出または提示が必要です。
年末調整を行う年に法令が変わる場合があります。国税庁の案内は令和8年4月1日現在の法令等にもとづくため、年末調整の時期には最新の案内で確認してください。
出典:国税庁タックスアンサー No.1180 扶養控除(よくある質問)(確認日:2026年10月14日)、国税庁タックスアンサー No.2665 年末調整の対象となる人(確認日:2026年10月14日)
よくある質問
特定技能外国人も年末調整の対象ですか?
年末調整の対象は、扶養控除等申告書を提出している人のうち、会社などに1年を通じて勤務している人と、年の中途で就職して年末まで勤務している人です。外国人かどうかで区別されません。ただし、年間の給与総額が2,000万円を超える人などは除かれます。
母国にいる親を扶養控除の対象にできますか?
親が日本国内に住所も居所もない非居住者の場合は、12月31日現在で70歳以上であれば年齢の面では対象になります。生計を一にしていることなど、扶養親族の4つの要件もすべて必要で、親族関係書類と送金関係書類の提出または提示も求められます。
母国にいる兄弟(30歳以上)を扶養に入れられますか?
30歳以上70歳未満の非居住者は、留学により国内に住所および居所を有しなくなった人、障害者、その年に生活費または教育費として38万円以上の支払を受けている人のいずれかに限られます。どれにも当たらなければ、扶養控除は受けられません。
前の勤務先の源泉徴収票がないと、どうなりますか?
年の中途で入社した人の前の勤務先での給与や徴収された税額を確認できないときは、年末調整ができません。その人は確定申告で所得税の精算をします。
参照した公的一次資料
- 国税庁タックスアンサー No.2665 年末調整の対象となる人(確認日:2026年10月14日、次回確認:2027年1月14日)
- 国税庁タックスアンサー No.2674 中途就職者の年末調整(確認日:2026年10月14日、次回確認:2027年1月14日)
- 国税庁タックスアンサー No.2875 居住者と非居住者の区分(確認日:2026年10月14日、次回確認:2027年1月14日)
- 国税庁タックスアンサー No.1180 扶養控除(確認日:2026年10月14日、次回確認:2027年1月14日)
- 国税庁タックスアンサー No.1180 扶養控除(よくある質問)(確認日:2026年10月14日、次回確認:2027年1月14日)
次に確認すること
この記事の条件を引き継いで、未確認費目を整理する(金額は概算で、見積の代わりではありません)