この記事の対象:マレーシア・ラオス・キルギス・タジキスタンの人材を特定技能で受け入れる予定で、国別の手続の案内が少ない国の覚書の内容を一次資料で確かめたい事業者・登録支援機関
4か国の署名日と相手国の機関・窓口
出入国在留管理庁が公表する和文仮訳で、4か国の覚書の署名日と、相手国の機関、双方の連絡窓口を並べると次のとおりです。
特定技能の協力覚書は、日本の法務省・外務省・厚生労働省・警察庁と、送出国の政府機関が結ぶ文書です。目的は、送出し・受入れを円滑かつ適正に進め、悪質な仲介機関を排除することと書かれています。
署名の場所は国によって違います。キルギスとタジキスタンは、日本側と相手国側で署名の日と場所が分かれています。マレーシアとラオスの仮訳は、署名の日と場所を1つずつ書いています。
日本側の連絡窓口は、マレーシアとラオスが出入国在留管理庁政策課、キルギスとタジキスタンが出入国在留管理庁在留管理支援部在留管理課です。
| 国 | 署名 | 相手国の機関 | 相手国の連絡窓口 |
|---|---|---|---|
| マレーシア | 2022年5月26日(東京) | マレーシア政府(人的資源省に代表される) | 人的資源省 |
| ラオス | 2022年7月28日(ビエンチャン) | 労働社会福祉省 | 労働社会福祉省雇用局海外雇用課 |
| キルギス | 2023年6月28日(東京)、2023年7月6日(ビシュケク) | 労働・社会保障・移民省 | 労働・社会保障・移民省在留市民雇用センター |
| タジキスタン | 2024年8月5日(東京)、2024年8月8日(ドゥシャンベ) | 労働・移民・雇用省 | 労働・移民・雇用省移民庁法務・人事・特任局 |
送出機関の認定条項があるのは3か国
4か国の仮訳で最も違うのは、相手国の省が送出機関を認定する条項があるかどうかです。
ラオス・キルギス・タジキスタンの仮訳には、相手国の省が送出機関の審査を行い、基準を満たす機関に認定を与える条項があります。認定した機関の名称などは、相手国の省が公表し、日本の省庁にも提供すると書かれています。
日本の省庁は、相手国の省から認定送出機関の情報や認定の取消しの情報を受け取ったときは、日本で公表します。受入機関に改善命令を出したときは、相手国の省に通報し、登録支援機関の一覧も共有します。
マレーシアの仮訳には、送出機関の認定に関する条項がありません。一方、日本の省庁とマレーシア政府の関係職員で構成する合同委員会を設け、定期または随時に協議すると書かれています。
| 国 | 送出機関の認定条項 | 日本が行う公表・通報 | 合同委員会 |
|---|---|---|---|
| マレーシア | なし | なし | 設置する |
| ラオス | あり | 認定送出機関と取消しの公表、改善命令の通報、登録支援機関一覧の共有 | 設置の条文なし(定期・随時の協議は規定あり) |
| キルギス | あり | 同上 | 設置の条文なし(定期・随時の協議は規定あり) |
| タジキスタン | あり | 同上 | 設置の条文なし(定期・随時の協議は規定あり) |
- 候補者の国がラオス・キルギス・タジキスタンなら、利用する送出機関が相手国の省の認定を受けているかを、覚書で公表すると定められた情報で確かめる
- マレーシアの候補者でも、仲介機関の行為(次節)に当たる請求がないかを契約前に確かめる
協力の開始・有効期間・終了の通告
協力がいつ始まり、いつ終わるかの書き方も、国によって違います。
マレーシアは、協力が署名の日から5年続くと書かれています。継続期間は双方の合意で更新され、終了を希望する場合は、終了する日の90日前までに書面で通告します。終了は既存の協力の継続的な実施に影響を与えないとも書かれています。
ラオスは、署名の日から協力を開始すると書かれています。仮訳には、有効期間の年数や終了の通告期限の条文はありません。
キルギスは、署名の日から協力を開始し、一方が終了を希望することを通告した日の6か月後に終了します。タジキスタンは、相手国から国内手続の完了を書面で通知された日に開始し、終了の意向を伝えた日の6か月後に終了します。
| 国 | 協力の開始 | 有効期間・終了 |
|---|---|---|
| マレーシア | 署名の日から5年続く | 継続期間は双方の合意で更新。終了は90日前までに書面で通告 |
| ラオス | 署名の日から開始 | 期間・終了の通告期限の条文なし |
| キルギス | 署名の日から開始(署名日が2つあり、どちらの日かは仮訳に明記なし) | 終了を希望する通告から6か月後に終了 |
| タジキスタン | 国内手続の完了を外交ルートで書面通知した日に開始 | 終了の意向を伝えた日から6か月後に終了 |
4か国に共通する内容と、受入れ前に確かめること
4か国の仮訳に共通して書かれているのは、仲介機関の不適切な行為の情報共有、試験での協力、受入れの一時停止です。
情報共有の対象になる仲介機関の行為は5つです。保証金などの名目で本人や親族の金銭・財産を管理すること、違約金を課す契約をすること、暴行や脅迫などの人権侵害、偽造文書で許可や査証を受けさせること、手数料の算出基準を示さず内訳を理解させないまま徴収することです。
日本の省庁は、受入れ分野ごとに人材が確保されたと認めるときは、特定技能外国人の受入れを一時的に停止できます。キルギスとタジキスタンの仮訳は、在留が認められなかった人の帰国のために、相手国の省が在日大使館とともに臨時旅券の発給などに努めると書いています。
マレーシアの仮訳にも同じ趣旨の記載があります。ラオスの仮訳にはありません。
出入国在留管理庁の特定技能の協力覚書の案内ページは、国別の手続の案内を15か国分載せています。2026年10月16日の確認時点で、ラオスとキルギスは載っていますが、マレーシアとタジキスタンは載っていません。この2か国は、覚書の和文仮訳が読める一方、国別のフローチャートが案内ページに見当たらないため、必要な書類は在留申請の窓口で確かめます。
ラオスの受入れ手続はラオスの手続のガイドで確認できます。
- 候補者の国が、協力覚書を結んだ国かどうかを案内ページで確かめる
- 送出機関や仲介機関に支払う費用の算出基準と内訳が、本人に書面で示されているかを確かめる
- 覚書は国と国の約束であり、在留申請の可否を決めるものではないため、個別の手続は出入国在留管理庁の窓口で確かめる
よくある質問
マレーシアの覚書には、認定送出機関の条項がありますか?
出入国在留管理庁が公表する和文仮訳には、送出機関の認定に関する条項はありません。一方、日本の省庁とマレーシア政府の関係職員で構成する合同委員会を設けると書かれています。
ラオスの覚書はいつまで有効ですか?
和文仮訳は、署名の日(2022年7月28日)から協力を開始すると書いています。有効期間の年数や終了の通告期限の条文は、仮訳にありません。最新の状況は、出入国在留管理庁の案内ページで確かめてください。
キルギスとタジキスタンの覚書は、終了のときの通告期限が同じですか?
どちらも、終了の意向を通告した日から6か月後に終了すると書かれています。違うのは開始で、キルギスは署名の日から、タジキスタンは国内手続の完了を外交ルートで書面通知した日からです。
この4か国の人材は、覚書がなければ受け入れられませんか?
協力覚書の案内ページは、覚書を作成した国でなければ特定技能外国人を受け入れられないわけではないと明記しています。覚書は国と国の約束で、個別の在留申請の可否を決めるものではありません。
参照した公的一次資料
- 出入国在留管理庁「特定技能に関する協力覚書(仮訳):マレーシア」(確認日:2026年10月16日、次回確認:2026年11月15日)
- 出入国在留管理庁「特定技能に関する協力覚書(仮訳):ラオス」(確認日:2026年10月16日、次回確認:2026年11月15日)
- 出入国在留管理庁「特定技能に関する協力覚書(仮訳):キルギス」(確認日:2026年10月16日、次回確認:2026年11月15日)
- 出入国在留管理庁「特定技能に関する協力覚書(仮訳):タジキスタン」(確認日:2026年10月16日、次回確認:2026年11月15日)
- 出入国在留管理庁「特定技能に関する二国間の協力覚書」(確認日:2026年8月11日、次回確認:2026年11月11日)