この記事の対象:特定技能外国人を雇う受入れ企業の安全衛生担当者、介護・倉庫・製造・外食などの現場責任者、登録支援機関の担当者

指針は通達で示された腰痛予防の進め方で、4つの管理を組み合わせる

厚生労働省は平成25年6月18日の通達(基発0618第1号)で「職場における腰痛予防対策指針」を示しました。平成6年9月6日付けの基発第547号は、この通達で廃止されています。

指針は、腰痛の発生要因に、動作要因、環境要因、個人的要因、職場の対人ストレスなどの心理・社会的要因があるとしています。要因が多様なため、労働衛生管理体制を整えたうえで、作業管理、作業環境管理、健康管理、労働衛生教育を総合的かつ継続的に進めるよう求めています。

進め方の中心はリスクアセスメントです。作業の種類ごとに腰痛の発生に関わる要因を調べ、結果に基づいて対策を決めます。

労働安全衛生法第28条の2は、事業者が危険性または有害性等を調べ、その結果に基づいて措置を講じるよう努める定めです。業種によって調査の対象が省令で限られるため、自社が対象かは労働基準監督署に確認してください。

指針は、腰痛の発生が比較的多い5つの作業(重量物取扱い、立ち作業、座り作業、福祉・医療分野等の介護・看護作業、車両運転等)の対策を別紙で示しています。

指針の4つの管理(本文2〜5)
管理主な内容
作業管理自動化・省力化、作業姿勢・動作、複数人での作業、作業標準
作業環境管理温度、照明、作業床面、作業空間や設備の配置、振動
健康管理医師による腰痛の健康診断、腰痛予防体操、職場復帰時の措置
労働衛生教育等腰痛の発生要因と低減措置の教育、心理・社会的要因、健康の保持増進

重量物は体重のおおむね40%以下に努め、超えるときは2人以上で運ぶ

指針の別紙は、重量物取扱い作業では、まず自動化や機器で人力の負担を減らすことを原則としています。

人力による重量物取扱いが残る場合の目安として、満18歳以上の男子労働者が人力のみで取り扱う物の重量は、体重のおおむね40%以下となるよう努めるとされています。満18歳以上の女子労働者では、さらに男性が取り扱える重量の60%位までとします。

この重量を超える物を取り扱わせるときは、適切な姿勢で、身長差の少ない労働者2人以上で行わせるよう努めます。各自に重量が均一にかかるようにします。

作業の実施体制についても、腰部に過度の負担がかかる作業では、無理に1人で作業せず複数人でできるようにすることが示されています。人員配置は、腰痛の有無を含む健康状態、年齢、体格、技能・経験を考慮します。車両系建設機械や車両運転で長時間の振動を受ける場合は、座席などで振動ばく露を軽くする対策をとります。

倉庫の荷役作業の分野は倉庫・物流の分野で確認できます。

腰痛の健康診断:配置時と6月以内ごと

指針の健康管理は、重量物取扱い作業や介護・看護作業など、腰部に著しい負担がかかる作業に常時従事する労働者を対象にしています。

指針は、当該作業に配置する際と、その後6月以内ごとに1回、定期に、医師による腰痛の健康診断を実施することとしています。

配置前の健康診断の項目は5つです。腰痛に関する既往歴と業務歴の調査、自覚症状の有無の検査、脊柱の検査、神経学的検査、脊柱機能検査(クラウス・ウェーバーテストまたはその変法)です。本文は指針上の実施事項として示しており、法定の健康診断との関係は、管轄の労働基準監督署に確認してください。

このほか、作業開始前などに行う腰痛予防体操や、腰痛で休業した人が職場に復帰するときの措置も、健康管理として挙げられています。

一般の健康診断は定期健康診断で確認できます。

  • 重量物取扱い・介護・看護など、腰部に著しい負担がかかる作業を洗い出した
  • その作業に常時つく人を、配置前に医師の腰痛の健康診断へつなげる段取りを決めた
  • その後6月以内ごとの健康診断の時期を管理している
  • 腰痛予防体操を行う時間と場所を確保した

介護の抱上げと、労災認定基準の2区分

指針の別紙は、福祉・医療分野等の介護・看護作業で、移乗・入浴・排泄介助の抱上げが腰部に著しい負担をかけるとしています。

全介助が必要な人には、リフト等を積極的に使い、原則として人力による人の抱上げは行わせないとされています。座位を保てる人にはスライディングボード、立位を保てる人にはスタンディングマシーンなどの使用も検討します。福祉用具の使用が難しく、人力で抱え上げざるを得ないときは、できるだけ適切な姿勢で、身長差の少ない2名以上で作業します。

仕事で腰を痛めたときの労災は、厚生労働省の認定基準(昭和51年10月16日基発第750号)で2つに分かれます。1つは、業務上の負傷に起因する「災害性の原因による腰痛」で、突発的なできごとによる急激な力の作用が業務遂行中に生じたと明らかに認められることなどが要件です。もう1つは、重量物を取り扱う業務など腰部に過度の負担がかかる業務に従事する人に発症する「災害性の原因によらない腰痛」で、作業態様、従事期間、身体的条件から業務に起因すると認められることなどが要件です。

どちらも医学上療養を必要とすることが前提です。個別の認定は労働基準監督署が判断します。

介護分野の手続は介護分野で確認できます。

業務上の腰痛の認定基準の2区分
区分対象例(認定基準の解説)
災害性の原因による腰痛業務上の負傷に起因して発症した腰痛重量物の運搬作業中の転倒など、事故的な事由で瞬時に重量が腰部に加わった場合
災害性の原因によらない腰痛重量物を取り扱う業務など腰部に過度の負担がかかる業務で発症した腰痛おおむね20kg程度以上の重量物又は軽重不同の物を繰り返し中腰で取り扱う業務に、おおむね3カ月から数年以内従事して発症した場合など

よくある質問

職場における腰痛予防対策指針とは何ですか?

厚生労働省が平成25年6月18日の基発0618第1号で示した指針です。作業管理、作業環境管理、健康管理、労働衛生教育を総合的に進めることを求めています。

人力で扱う重量物の目安はありますか?

指針の別紙は、満18歳以上の男子労働者が人力のみで取り扱う物の重量は、体重のおおむね40%以下となるよう努めるとしています。満18歳以上の女子労働者では、男性が取り扱える重量の60%位までです。

腰痛の健康診断はいつ受けますか?

指針は、腰部に著しい負担がかかる作業に常時従事する労働者に、当該作業に配置する際と、その後6月以内ごとに1回、医師による腰痛の健康診断を実施することとしています。

介護で人を抱え上げてもよいですか?

全介助が必要な人には、リフト等を積極的に使い、原則として人力による人の抱上げは行わせないとされています。やむを得ないときは、適切な姿勢で身長差の少ない2名以上で行います。

参照した公的一次資料

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次に確認すること

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