この記事の対象:製造、建設、造船などで金属の溶接・溶断にガス溶接装置を使う現場に特定技能外国人を配置する企業の人事・労務・安全衛生担当者
対象になる装置と作業主任者が必要な作業
労働安全衛生法施行令は、アセチレン溶接装置とガス集合溶接装置を用いる溶接、溶断、加熱の作業について、作業主任者の選任を求めています。
施行令第1条第1号のアセチレン溶接装置は、アセチレン発生器、安全器、導管、吹管などで構成され、溶解アセチレン以外のアセチレンと酸素を使って金属を溶接、溶断、加熱する設備です。同条第2号のガス集合溶接装置は、ガス集合装置、安全器、圧力調整器、導管、吹管などで構成され、可燃性ガスと酸素を使って金属を溶接、溶断、加熱する設備です。
ガス集合装置は、可燃性ガスの容器を導管で連結した装置のうち、容器が10以上のもの、または容器が9以下で内容積の合計が一定量以上のものをいいます。一定量は、水素と溶解アセチレンの容器で400リットル、その他の可燃性ガスの容器で1000リットルです。
施行令第6条第2号は、この2つの装置を用いて行う金属の溶接、溶断、加熱の作業を、作業主任者を選任すべき作業に挙げています。自社の溶接設備がこの定義に当たるかどうかで、このガイドの対象かどうかが決まります。定義に当たらない溶接作業の資格は、就業制限・特別教育を整理した別のガイドで確認できます。
| 装置 | 使うガス | 主な構成 | 規模の条件 |
|---|---|---|---|
| アセチレン溶接装置(第1条第1号) | 溶解アセチレン以外のアセチレンと酸素 | アセチレン発生器、安全器、導管、吹管など | (装置の規模による区切りは定義にない) |
| ガス集合溶接装置(第1条第2号) | 可燃性ガスと酸素 | ガス集合装置、安全器、圧力調整器、導管、吹管など | 容器10以上、または9以下で内容積の合計が水素・溶解アセチレン400リットル以上、その他1000リットル以上 |
装置の設置に関する決まり
労働安全衛生規則第301条から第311条は、圧力、発生器室、安全器、ガス集合装置の設置場所などを定めています。
アセチレン溶接装置については、ゲージ圧力130キロパスカルを超える圧力のアセチレンを発生させ、または使用してはなりません(第301条)。発生器は専用の発生器室に設けます。発生器室は、直上に階を有しない場所で、火気を使用する設備から相当離れたところに設け、屋外に設けるときは開口部を他の建築物から1.5メートル以上離します(第302条)。
安全器は、吹管ごとに備えます。主管に安全器を備え、吹管に最も近い分岐管ごとにも備えた場合は、この限りではありません(第306条第1項)。ガスだめが発生器と分離している装置では、発生器とガスだめの間にも安全器を設けます(同条第2項)。
ガス集合装置は、火気を使用する設備から5メートル以上離れた場所に設けます。移動して使用するもの以外は、専用のガス装置室に設けます(第308条)。
ガス装置室は、ガスが漏れたときに滞留しないこと、屋根と天井が軽い不燃性の物であること、壁が不燃性の物であることが求められます(第309条)。ガス集合溶接装置の配管の主管と分岐管には安全器を設け、1つの吹管について安全器が2以上になるようにします(第310条)。
溶解アセチレンのガス集合溶接装置の配管と附属器具には、銅、または銅を70パーセント以上含有する合金を使ってはなりません(第311条)。
作業のときの管理:掲示・立入禁止・火気の禁止・保護具
第312条はアセチレン溶接装置の、第313条はガス集合溶接装置の、作業を行うときの管理を定めています。
アセチレン溶接装置を用いる作業では、発生器の種類や型式などを発生器室の見やすい箇所に掲示すること(移動式の発生器を除く)、発生器室に係員以外が立ち入ることを禁止すること、発生器から5メートル以内または発生器室から3メートル以内で喫煙や火気の使用、火花を発するおそれのある行為を禁止することが求められます。導管には酸素用とアセチレン用の混同を防ぐ措置を講じ、設置場所に適当な消火設備を備えます。作業を行う人には保護眼鏡と保護手袋を着用させます(第312条)。
ガス集合溶接装置を用いる作業では、使用するガスの名称と最大ガス貯蔵量、バルブやコックの操作要領と点検要領をガス装置室の見やすい箇所に掲示します。ガス装置室への立入禁止、ガス集合装置から5メートル以内での喫煙や火気の使用などの禁止、導管の混同防止、消火設備の設置、保護眼鏡と保護手袋の着用も求められます。ガスの容器を取り替えるときは、ガス溶接作業主任者を立ち合わせます(第313条)。
- 発生器室・ガス装置室への係員以外の立入りを禁止し、その旨を見やすい箇所に表示している
- 発生器から5メートル以内・発生器室から3メートル以内(ガス集合装置は5メートル以内)の喫煙・火気・火花を禁止している
- 酸素用の導管と燃料ガス用の導管を取り違えない措置を講じている
- 設置場所に消火設備を備えている
- 作業する人に保護眼鏡と保護手袋を着用させている
- ガス集合溶接装置のガス容器の取替えにガス溶接作業主任者を立ち合わせている
ガス溶接作業主任者の選任と職務
第314条は、ガス溶接作業主任者免許を持つ人から作業主任者を選任することを求めています。職務は第315条と第316条にあります。
施行令第6条第2号の作業については、ガス溶接作業主任者免許を有する者のうちから、ガス溶接作業主任者を選任します(第314条)。技能講習の修了ではなく、免許を持つことが条件です。
アセチレン溶接装置の作業では、作業主任者は、作業の方法を決定して作業を指揮すること、使用中の発生器に火花を発するおそれのある工具を使ったり衝撃を与えたりさせないこと、ガス漏れの点検を石けん水を使うなど安全な方法で行わせること、作業開始時に装置を点検すること、安全器を1日1回以上点検すること、保護眼鏡と保護手袋の使用状況を監視すること、免許証を携帯することなどを行います(第315条)。
ガス集合溶接装置の作業では、作業の方法の決定と指揮、容器の口金や配管の取付け口の油類やじんあいの除去、容器を取り替えたときのガス漏れの点検、容器の取替えへの立会い、ホースや吹管などの点検、安全器の1日1回以上の点検、保護具の使用状況の監視、免許証の携帯を行います(第316条)。
1年以内ごとの自主検査と記録
第317条は、2つの装置の定期自主検査と記録を定めています。
アセチレン溶接装置とガス集合溶接装置(配管のうち地下に埋設された部分を除く)は、1年以内ごとに1回、定期に、装置の損傷、変形、腐食などの有無とその機能について自主検査を行います。1年を超えて使用しない期間は検査を要さず、使用を再開するときに検査します。
検査で異常を認めたときは、補修その他必要な措置を講じた後でなければ使用できません。検査を行ったときは、検査年月日、検査方法、検査箇所、検査の結果、検査を実施した人の氏名を記録し、検査の結果に基づいて補修などの措置を講じたときはその内容も記録して、3年間保存します。
| 場面 | 根拠 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 対象の装置と作業 | 施行令第1条第1・2号、第6条第2号 | アセチレン溶接装置とガス集合溶接装置を用いる溶接・溶断・加熱の作業 |
| 設置 | 規則第301条〜第311条 | 圧力の制限、発生器室、安全器、ガス集合装置の設置場所、銅の使用制限 |
| 作業時の管理 | 規則第312条・第313条 | 掲示、立入禁止、5メートル以内などの火気禁止、保護眼鏡と保護手袋 |
| 作業主任者 | 規則第314条〜第316条 | ガス溶接作業主任者免許を持つ人から選任。安全器は1日1回以上点検 |
| 自主検査 | 規則第317条 | 1年以内ごとに1回、記録を3年間保存、異常時は補修後に使用 |
- 自社の溶接設備が施行令第1条の2つの装置の定義に当たるか確認した
- ガス溶接作業主任者免許を持つ人を選任している
- 安全器を1日1回以上点検している
- 1年以内ごとの自主検査の予定を管理し、記録を3年間保存している
よくある質問
小さなガス溶接機でも、ガス溶接作業主任者が必要ですか?
施行令第6条第2号は、アセチレン溶接装置またはガス集合溶接装置を用いる作業を対象としています。ガス集合装置は容器の数や内容積の合計で定義されています(容器10以上、または9以下で水素・溶解アセチレン400リットル以上、その他1000リットル以上)。自社の設備が定義に当たるかは、労働基準監督署などに確認してください。
ガス溶接作業主任者は、技能講習を修了した人から選べますか?
第314条は、ガス溶接作業主任者免許を有する者のうちから選任することを求めています。技能講習の修了ではなく、免許を持つことが条件です。
ガス溶接装置の自主検査は、どのくらいの頻度で行いますか?
第317条は、1年以内ごとに1回、定期に行うことを求めています。結果は記録し、3年間保存します。なお安全器は、第315条・第316条により、作業主任者が作業中に1日1回以上点検します。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」第1条第1号・第2号(アセチレン溶接装置・ガス集合溶接装置の定義)(確認日:2026年10月20日、次回確認:2027年1月25日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」第6条第2号(アセチレン溶接装置又はガス集合溶接装置を用いて行う金属の溶接、溶断又は加熱の作業)(確認日:2026年10月20日、次回確認:2027年1月26日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第301条〜第311条(アセチレン溶接装置・ガス集合溶接装置の圧力・発生器室・安全器・配管等)(確認日:2026年10月20日、次回確認:2027年2月12日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第312条・第313条(アセチレン溶接装置・ガス集合溶接装置の管理等)(確認日:2026年10月20日、次回確認:2027年2月13日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第314条〜第316条(ガス溶接作業主任者の選任・職務)(確認日:2026年10月20日、次回確認:2027年2月14日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第317条(アセチレン溶接装置・ガス集合溶接装置の定期自主検査)(確認日:2026年10月20日、次回確認:2027年2月15日)