この記事の対象:製造業や飲食料品製造業で乾燥炉・乾燥室を使う現場に特定技能外国人を配置する企業の人事・労務・安全衛生担当者

作業主任者が必要になる乾燥設備の規模

乾燥設備とは、熱源を使って物を加熱乾燥する乾燥室と乾燥器のことです。作業主任者の選任は、一定の規模以上のものが対象です。

労働安全衛生法施行令第6条第8号は、乾燥設備による物の加熱乾燥の作業を、作業主任者を選任すべき作業に挙げています。乾燥設備は、熱源を用いて火薬類以外の物を加熱乾燥する乾燥室と乾燥器と定義されています。

対象は二つに分かれます。一つは、危険物等(施行令別表第1の危険物と、その危険物が発生する乾燥物)に係る設備で、内容積が1立方メートル以上のものです。もう一つは、それ以外の物に係る設備で、熱源が燃料なら最大消費量が毎時10キログラム(固体燃料)、毎時10リットル(液体燃料)、毎時1立方メートル(気体燃料)以上のもの、熱源が電力なら定格消費電力が10キロワット以上のものです。

作業主任者の選任が必要な乾燥設備の規模(施行令第6条第8号)
設備の区分熱源基準
危険物等に係る設備(熱源を問わない)内容積が1立方メートル以上
それ以外の設備固体燃料最大消費量が毎時10キログラム以上
それ以外の設備液体燃料最大消費量が毎時10リットル以上
それ以外の設備気体燃料最大消費量が毎時1立方メートル以上
それ以外の設備電力定格消費電力が10キロワット以上

乾燥設備の構造と附属電気設備

第294条は乾燥設備の構造を、第295条は附属する電気設備を定めています。

第294条は、乾燥設備の外面を不燃性の材料で造ること、内部の温度を随時測定できる装置と安全な温度に調整できる装置(または自動調整装置)を設けること、のぞき窓や出入口などの開口部を発火の際に延焼を防ぐ位置に設けて必要なときに直ちに密閉できる構造にすることなどを求めています。乾燥物の種類や加熱の程度などにより爆発や火災が生じるおそれのないものは、ただし書で除かれています。施行令第6条第8号の規模は作業主任者の選任の対象を決めるもので、構造、使用、自主検査の各条は、この規模で区切られていません。

危険物乾燥設備については、熱源として直火を使わないこと、乾燥に伴って生じるガス、蒸気、粉じんで爆発や火災の危険があるものを安全な場所へ排出できる構造にすることなど、追加の定めがあります。

第295条は、乾燥設備に附属する電熱器、電動機、電灯などに接続する配線と開閉器に、その乾燥設備専用のものを使うことを求めています。危険物乾燥設備の内部には、電気火花で点火源となるおそれのある電気機械器具や配線を設けてはなりません。

使用するときの措置

第296条は、乾燥設備を使って作業を行うときの措置を6つ定めています。

危険物乾燥設備には、使用前に内部を掃除するか換気すること、爆発や火災の危険があるガスなどを安全な場所へ排出すること、乾燥物が容易に脱落しないよう保持することが求められます。液体燃料や可燃性ガスを熱源とする設備は、燃焼室などを換気してから点火します。

高温で加熱乾燥した可燃性の物は、発火の危険がない温度に冷却してから格納します。外面が著しく高温にならないものを除き、乾燥設備に近い場所には可燃性の物を置きません。

  • 危険物乾燥設備は、使用前に内部を掃除または換気している
  • 液体燃料・可燃性ガスの設備は、換気してから点火している
  • 高温で乾燥した可燃性の物は、冷却してから格納している

乾燥設備作業主任者の選任と職務

対象の作業には、技能講習を修了した乾燥設備作業主任者の選任が必要です。

第297条は、施行令第6条第8号の作業について、乾燥設備作業主任者技能講習を修了した者の中から、乾燥設備作業主任者を選任することを求めています。

第298条は、職務として4つを挙げています。設備をはじめて使うときや乾燥方法・乾燥物の種類を変えたときに、作業の方法を労働者にあらかじめ周知して直接指揮すること、設備に不備な箇所を認めたときの直ちの措置、内部の温度、換気の状態、乾燥物の状態の随時点検と異常時の措置、設備のある場所の整理整とんと可燃性の物を置かないことです。

1年以内ごとの自主検査と記録

第299条は定期自主検査を、第300条は異常があったときの扱いを定めています。

第299条は、乾燥設備と附属設備について、1年以内ごとに1回、定期に自主検査を行うことを求めています。検査事項は、内面と外面、内部のたな・わくなどの損傷、変形、腐食の有無、開口部の異常の有無、温度の測定装置と調整装置の異常の有無、内部に設ける電気機械器具や配線の異常の有無などです。1年を超えて使わない期間は検査が不要で、使用を再び開始するときに行います。

検査をしたときは、検査年月日、検査方法、検査箇所、検査の結果、検査を実施した者の氏名、補修などの措置の内容を記録し、3年間保存します。第300条は、検査で異常を認めたときは、補修その他必要な措置を講じた後でなければ使用してはならないと定めています。

乾燥設備に関する条文
場面根拠主な内容
対象の規模施行令第6条第8号危険物等は内容積1立方メートル以上、それ以外は燃料の消費量または電力10キロワット以上
構造・電気設備規則第294条・第295条不燃性の外面、温度の測定・調整装置、専用の配線と開閉器(第294条はただし書の例外あり)
使用時規則第296条危険物乾燥設備は使用前の掃除・換気。可燃性の物は冷却してから格納、近くに可燃物を置かない
作業主任者規則第297条・第298条技能講習修了者から選任。周知と指揮、点検、整理整とん
自主検査規則第299条・第300条1年以内ごとに1回、記録を3年間保存、異常時は補修後に使用
  • 作業主任者の選任が必要な規模(施行令第6条第8号)か確認した
  • 温度の測定装置と調整装置を備えている(第294条ただし書の例外を除く)
  • 乾燥設備に近い場所に可燃性の物を置いていない(外面が著しく高温にならないものを除く)
  • 乾燥設備作業主任者を選任している
  • 1年以内ごとの自主検査を行い、記録を3年間保存している

よくある質問

小さな乾燥機でも、作業主任者は必要ですか?

施行令第6条第8号は規模で対象を区切っています。危険物等に係る設備は内容積1立方メートル以上、それ以外は燃料の最大消費量または電力の定格消費電力が定めの値以上のものです。個別の設備が該当するかは、労働基準監督署などに確認してください。

乾燥設備の自主検査は、どのくらいの頻度で行いますか?

第299条は、1年以内ごとに1回、定期に行うことを求めています。結果は記録し、3年間保存します。

乾燥設備のそばに、段ボールなどを置いてもよいですか?

第296条第6号は、外面が著しく高温にならないものを除き、乾燥設備に近接した箇所に可燃性の物を置かないことを求めています。第298条第4号は、作業主任者に、設備のある場所の整理整とんと可燃性の物を置かないことを行わせる、と定めています。

参照した公的一次資料

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