この記事の対象:運送・配送などで特定技能外国人に自動車の運転をさせる企業の運行管理者、人事・労務・安全衛生担当者
ガイドラインの対象:道路上と構内の自動車事故による労働災害
交通労働災害防止のためのガイドラインは、従業員に自動車の運転をさせる事業者が進め方の指針とする、厚生労働省の通達です。
通達の題名は「交通労働災害防止のためのガイドラインの改正について」で、平成20年4月3日付けの基発第0403001号です。平成6年の基発第83号を置き換えて、ガイドラインを改正しました。
対象は、道路上と事業場の構内で起きる、自動車と原動機付き自転車の交通事故による労働災害です。運送業に限らず、従業員に運転をさせる事業者が「事業者」にあたります。
ガイドラインは、労働安全衛生関係法令と、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)とあわせて使う位置づけです。運転者にも、事業者の指示を守り、事業者の措置に協力して災害防止に努めることを求めています。
運転者の拘束時間の基準は、自動車運転者の労働時間の基準のガイドで確認できます。
管理体制:管理者の選任と、安全委員会等での調査審議
ガイドラインは、交通労働災害を防ぐ体制として、管理者の選任と、安全衛生計画への位置づけを求めています。
事業者は、安全管理者、運行管理者、安全運転管理者などの関係する管理者を選任し、その役割、責任、権限を定めて労働者に周知します。選任した管理者には、必要な教育も行います。
事業場の事業を統括管理する者は、交通労働災害防止の観点を含めた安全衛生方針を表明し、労働者に周知します。そのうえで、期間を区切った安全衛生計画に、走行管理、教育、意識の高揚、健康管理の4つの事項を含めます。
安全委員会、衛生委員会、安全衛生委員会等では、交通労働災害の防止に関する事項を調査審議します。委員会の中に交通労働災害防止部会を設けて重点的に取り組むことが望ましいとされています。
安全委員会の設置の基準は、安全管理者と安全委員会のガイドで確認できます。
- 運行管理者・安全運転管理者などの役割と権限を定めて周知した
- 安全衛生計画に走行管理・教育・意識の高揚・健康管理を含めた
- 安全委員会等で交通労働災害の防止を調査審議している
走行計画と点呼:記載する5事項と、拘束時間13時間超の確認
疲れや睡眠不足による事故を防ぐため、乗務の前に走行計画を作り、点呼で運転できる状態かを確かめます。
この節の走行管理の対象は、四輪以上の自動車の運転を主な業務とする労働者(運転業務従事者)です。走行計画は、乗務を始める前に作成して指示します。
走行中に変更が必要になったときは、改善基準告示等を守ったうえで変更します。早朝の走行は可能な限り避け、走行するときは十分な休憩と仮眠の時間を確保するよう努めます。
乗務を始める前の点呼では、病気、疲れ、飲酒などで安全に運転できないおそれがないかを報告させ、結果を記録します。乗務開始前24時間の拘束時間の合計が13時間を超える場合は、睡眠時間の状況も確認します。
点呼は対面で行うものとされ、運行上やむを得ない場合は電話その他の方法でも差し支えないとされています。睡眠不足が著しいなど正常な運転が難しい人には、運転業務に就かせないことを含めて措置を講じます。1週間連続して1日の拘束時間が13時間を超えるなどした人には、走行の途中に十分な休憩時間を設けます。
飲酒の確認を含む点呼は、安全運転管理者とアルコールチェックのガイドでも確認できます。
| 事項 | 内容 |
|---|---|
| 走行の開始・終了 | 地点と日時 |
| 時間 | 拘束時間、運転時間、休憩時間 |
| 注意箇所 | 走行に際して注意を要する箇所の位置 |
| 荷役作業 | 内容と所要時間(荷役作業がある場合に限る) |
| 経路 | 走行の経路と、主な経過地の出発・到着日時の目安(戸別配送など経路を特定しにくい業態は記載しなくてよい) |
教育と健康管理:雇入れ時の教育、交通危険予知訓練、健康診断
教育は雇入れ時と日常の2段階で、健康管理は健康診断の実施と事後の措置が柱です。
新しく雇い入れた運転者には、労働安全衛生法第59条の雇入れ時教育と作業内容変更時教育で、交通法規、運転時の注意事項、走行前点検に加え、改善基準告示等の遵守、運転日前日の十分な睡眠、飲酒の影響などを教えます。必要に応じて、経験豊富な運転者が添乗して実地に指導します。
日常の教育では、警察等の事故発生情報、交通事故の危険を感じた事例(ヒヤリ・ハット事例)、運行記録計やドライブレコーダーの記録から分かった情報を取り上げます。実際の運転場面を想定したイラストや写真で危険を予知させる交通危険予知訓練は、継続的に行うことが望ましいとされています。
運転者の健康診断は、雇入れ時と1年以内ごとに1回の定期実施が義務付けられています。深夜業を含む業務等に従事する運転者には、6か月以内ごとに1回です。所見のあった人には、健康診断の結果に基づく措置の指針に沿って、適切な就業上の措置を講じます。
定期健康診断の項目は、定期健康診断のガイドで確認できます。
荷主・元請事業者の配慮:4つの協力事項
ガイドラインは、荷を運ぶ事業者だけでなく、荷主と運送業の元請事業者にも協働して取り組むよう努めることを求めています。
走行開始の直前に貨物を増やす必要が生じたときは、適正な走行計画を確保し、過積載運行にならないよう、実際に運ぶ事業者に協力します。到着時間が遅れそうなときは、改善基準告示等を守った運行が確保されるよう、到着時間の再設定やルート変更を行います。遅れの結果として、運ぶ事業者に不当に不利益な取扱いをしないようにします。
改善基準告示等に違反し安全な走行が確保できない可能性が高い発注は行いません。荷積み・荷卸しの遅れで予定時間に出発できないときは、到着時間を再設定し、荷役が始まるまで貨物車両が荷主の敷地内で待機できるようにします。
このほか、高速道路の利用が交通労働災害の防止に効果があることを踏まえ、高速道路の利用についても配慮することとされています。
貨物自動車の荷積み・荷卸しの規則は、貨物自動車の荷積み・荷卸しのガイドで確認できます。
よくある質問
交通労働災害防止のためのガイドラインは、運送会社だけが対象ですか?
運送会社に限りません。道路上と事業場構内の自動車等の交通事故による労働災害が対象で、労働者に自動車等の運転を行わせる事業者が指針として使います。
点呼では睡眠時間を必ず確認しますか?
乗務開始前24時間における拘束時間の合計が13時間を超える場合に、睡眠時間の状況を確認することとされています。点呼自体は、疲れや飲酒などのおそれを報告させ、結果を記録します。
運転者の健康診断はどのくらいの頻度ですか?
ガイドラインは、労働安全衛生法第66条により、雇入れ時と1年以内ごとに1回の定期実施が義務付けられていると示しています。深夜業を含む業務等に従事する運転者は、6か月以内ごとに1回です。
荷主にも求められることはありますか?
荷主と運送業の元請事業者は、直前の増量への協力、到着時間の再設定、無理な発注をしないこと、荷役が始まるまでの待機への配慮などに、運ぶ事業者と協働して取り組むよう努めることとされています。
参照した公的一次資料
- 厚生労働省「交通労働災害防止のためのガイドラインの改正について」(平成20年4月3日基発第0403001号)(確認日:2026年10月27日、次回確認:2027年4月27日)
- 厚生労働省 職場のあんぜんサイト「交通労働災害防止のためのガイドライン」(平成30年改正後の本文)(確認日:2026年10月27日、次回確認:2027年4月27日)
- 厚生労働省「交通労働災害防止のためのガイドライン」リーフレット(確認日:2026年10月27日、次回確認:2027年4月27日)
- 厚生労働省「トラック運転者の改善基準告示」(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準)(確認日:2026年10月20日、次回確認:2027年1月20日)