この記事の対象:特定技能外国人の受入れで使える助成金を探している受入れ企業の経営者・人事・労務担当者、登録支援機関の担当者

5種類の助成金を使える場面と金額で比べる

特定技能外国人の受入れで確認することが多い助成金は、キャリアアップ助成金、業務改善助成金、人材開発支援助成金、外国人労働者就労環境整備助成、両立支援等助成金の5つです。いずれも厚生労働省の助成金で、使える場面が異なります。

金額は、各制度の令和8年度の資料にある代表的な額だけを並べています。コースや企業規模で額が変わるため、実際の額は各ガイドで確認してください。

最初に分かれるのは、外国人を対象に絞った助成金かどうかです。外国人労働者就労環境整備助成は、外国人の就労環境を整える事業主に絞った制度です。ほかの4つは外国人に限らない助成金で、特定技能外国人が対象に含まれるかどうかは制度ごとに異なります。

助成金5種類の使える場面と主な金額(令和8年度の厚生労働省の資料)
助成金使える場面代表的な金額特定技能外国人の扱い
キャリアアップ助成金非正規雇用の正社員化、賃金規定の改定有期から正社員化(中小企業)は1人40万円。重点支援対象者は80万円正社員化コースは1号が対象外、2号は対象となり得る。その他のコースは1号・2号とも対象となり得る
業務改善助成金最低賃金に近い時給を引き上げ、設備投資をする上限30万円から450万円(特例事業者は最大600万円)国籍・在留資格による対象の区分は資料に書かれていない
人材開発支援助成金(人材育成支援コース)職務に必要な訓練を受けさせる経費助成率45%、賃金助成は1人1時間800円(中小企業の正規雇用労働者)外国人かどうかにかかわらず、支給要件を満たす訓練なら対象。対象は雇用保険の被保険者
外国人労働者就労環境整備助成雇用労務責任者の選任と多言語化など、外国人の就労環境を整える20万円。一時帰国の休暇制度も整えると25万円外国人雇用状況の届出の対象で、直接雇用かつ雇用保険の被保険者なら在留資格を問わない
両立支援等助成金(育児休業等支援コース)育児休業の取得と復帰を支える育休取得時30万円、職場復帰時30万円(中小企業事業主のみ)雇用保険の被保険者であることなど、手引きの要件で決まる

キャリアアップ助成金は1号の正社員化が対象外

特定技能で最も誤解されやすいのが、キャリアアップ助成金の正社員化コースです。厚生労働省のQ&A(令和8年版)は、特定技能第1号を「対象とならない」としています。

Q&Aは、その理由を、帰国が前提となっているためと注記しています。特定技能第2号は、在留期間の制限がなく更新できるため、正社員化コースでも「対象となり得る」とされています。

賃金規定等改定コースや賞与・退職金制度導入コースなどのその他のコースは、第1号・第2号とも「対象となり得る」とされています。「対象となり得る」は支給の約束ではなく、要件を満たしたうえで審査を受ける対象になるという意味です。

コースごとの支給額と申請の流れはキャリアアップ助成金のガイドで確認できます。

申請の前にやることは制度ごとに違う

助成金は、取組を始めたあとに申請しても受け取れない制度が多くあります。各ガイドで確認できた、取組の前後に必要な手続きを並べます。

共通するのは、取組の前に計画を出す、または交付決定を待つ、という順番です。設備を先に買う、研修を先に始めるといった動きは、対象外になる原因になります。

いずれも年度で要件が変わることがあります。取組の前に、管轄の労働局またはハローワークで最新の要件を確認します。

助成金ごとの申請の時期(各ガイドで確認した厚生労働省の資料)
助成金取組の前にやること取組のあとにやること
キャリアアップ助成金取組の実施日の前日までに、キャリアアップ計画を提出する取組後の賃金を支払った日の翌日から2か月以内に支給申請する
業務改善助成金計画を申請し、交付決定を受けてから設備を導入する。賃金は地域別最低賃金の発効日の前日までに引き上げる交付決定の属する年度の1月31日までに納品・支払・賃金引上げを終える
人材開発支援助成金訓練開始日の6か月前から1か月前までに、計画届を労働局へ出す訓練終了日の翌日から2か月以内に支給申請する
外国人労働者就労環境整備助成就労環境整備計画を提出し、認定を受ける計画期間のあと、離職率の算定期間(6か月)を経て支給申請する
両立支援等助成金育休復帰支援プランの作成や面談など、手引きの要件を取組の前に確認する育休取得時と職場復帰時のそれぞれの要件を満たしたうえで申請する

目的別に最初に見る助成金

どの助成金から読むかは、受入れ企業が今やろうとしている取組で決まります。取組ごとに、最初に確認する制度を挙げます。

複数の制度に当たる取組もあります。同じ行為に2つ以上の助成金が申請されると、一方しか支給されないことがあります。併給の可否は、申請の前に労働局へ確認します。

最低賃金に近い時給の引上げと設備投資なら業務改善助成金、職務の研修なら人材開発支援助成金、外国人向けの相談体制や多言語化なら外国人労働者就労環境整備助成、育児休業なら両立支援等助成金、賃金規定の改定や正社員化ならキャリアアップ助成金が、最初の確認先です。

最低賃金に近い時給の引上げは業務改善助成金のガイドから読めます。

  • 時給を最低賃金に合わせて引き上げ、設備も入れる場合は、業務改善助成金を確認する
  • 業務に必要な研修を受けさせる場合は、人材開発支援助成金を確認する
  • 雇用労務責任者の選任や就業規則の多言語化をする場合は、外国人労働者就労環境整備助成を確認する
  • 育児休業の取得と復帰を支える場合は、両立支援等助成金を確認する
  • 賃金規定の改定や正社員化の場合は、在留資格を確かめてからキャリアアップ助成金を確認する

受給できない場合と勧誘への注意

助成金は、要件を満たせば必ず支給されるものではありません。支給の可否は、申請先の労働局の審査で決まります。

キャリアアップ助成金のパンフレットは、過去1年間に労働関係法令の違反を行った事業主や、労働保険料を納めていない事業主などは受給できないとしています。特定技能の雇用関係でも、入管庁の運用要領が労働関係法令への適合を求めています。

厚生労働省の資料には、助成金の申請や無料査定をうたう勧誘への注意書きがあります。業務改善助成金のページは、厚生労働省から委託を受けたと装う事業者への注意を呼びかけています。

当サイトは、受給の可否の判定や申請の代行はしません。個別の事案は労働局・ハローワークへ相談してください。

よくある質問

特定技能1号の外国人を雇うと、どの助成金が使えますか?

5つの助成金のうち、キャリアアップ助成金の正社員化コースだけは1号が対象外とされています。ほかのコースや助成金は、在留資格だけで対象外とはされていません。実際の可否は、各制度の要件と労働局の審査で決まります。

助成金は、取組を始めたあとに申請しても間に合いますか?

制度ごとに異なります。キャリアアップ助成金は実施日の前日までの計画提出、人材開発支援助成金は訓練開始の6か月前から1か月前までの計画届、業務改善助成金は交付決定を受けてからの設備導入が必要です。

外国人専用の助成金はありますか?

外国人労働者就労環境整備助成が、外国人の就労環境を整える事業主向けの制度です。雇用労務責任者の選任と多言語化で20万円、一時帰国の休暇制度も整えると25万円です。

助成金の申請を代行してもらえますか?

当サイトは申請の代行や、受給できるかどうかの判定を行いません。申請は、管轄の労働局・ハローワークに確認しながら進めます。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

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