この記事の対象:特定技能外国人の正社員化や賃金の引き上げを検討する受入れ企業の人事・労務担当者、登録支援機関の担当者
在留資格別の対象になるコース
厚生労働省のキャリアアップ助成金Q&A(令和8年版)は、外国人労働者の扱いを在留資格別の表で示しています。正社員化コースと、その他のコース(処遇改善支援コース)で結果が分かれます。
Q&Aによると、正社員化コースで特定技能第1号は「対象とならない」とされています。理由として、帰国が前提となっているため(在留期間5年・更新不可の制限があるため)と注記されています。特定技能第2号は、熟練した技能を要する業務に従事する在留資格で在留期間の制限がなく更新できるため、正社員化コースも「対象となり得る」とされています。
その他のコース(賃金規定等改定・賃金規定等共通化・賞与・退職金制度導入・短時間労働者労働時間延長支援)では、特定技能第1号・第2号とも「対象となり得る」とされています。「対象となり得る」は、支給を約束する意味ではなく、コースごとの要件を満たしたうえで審査を受ける対象になるという意味です。
外国人労働者の就労環境整備に使える別の助成金は外国人労働者就労環境整備助成コースのガイドで確認できます。
| 在留資格 | 正社員化コース | その他のコース(処遇改善支援) |
|---|---|---|
| 特定技能第1号 | 対象とならない | 対象となり得る |
| 特定技能第2号 | 対象となり得る | 対象となり得る |
| 外国人技能実習生 | 対象とならない | 対象となり得る |
| 永住者・定住者・「技術・国際業務」など就労目的の在留資格 | 対象となり得る | 対象となり得る |
コースの内容と令和8年度の支給額
厚生労働省のパンフレット(令和8年度版)は、この助成金を、有期雇用労働者などの非正規雇用労働者の正社員転換と処遇改善に取り組む事業主への助成と説明しています。正社員化支援と処遇改善支援の2つに分かれます。
正社員化コースは、就業規則などに規定した制度に基づいて正社員に転換した場合の助成です。有期雇用から転換する場合、重点支援対象者(雇入れから3年以上の有期雇用労働者など)は中小企業で80万円(40万円を2期)、それ以外は中小企業で40万円(1期)です。
無期雇用からの転換は、重点支援対象者が中小企業で40万円、それ以外は20万円です。1事業所が1年度に申請できる上限は20名です。
処遇改善支援のコースは、賃金規定等改定コースが基本給の賃金規定等を3%以上増額した場合、賃金規定等共通化コースが正規雇用労働者と共通の賃金規定等を新たに作って適用した場合、賞与・退職金制度導入コースが賞与または退職金制度を新たに設けて支給または積立てをした場合の助成です。短時間労働者労働時間延長支援コースは、新たに社会保険に加入させる際に労働時間を延長する取組への助成で、当分の間の暫定措置とされています。
| コース | 単位 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|---|
| 正社員化(有期から転換・重点支援対象者) | 1人 | 80万円 | 60万円 |
| 正社員化(有期から転換・上記以外) | 1人 | 40万円 | 30万円 |
| 賃金規定等改定(増額率3%以上4%未満) | 1人 | 4万円 | 2.6万円 |
| 賃金規定等改定(増額率6%以上) | 1人 | 7万円 | 4.6万円 |
| 賃金規定等共通化 | 1事業所 | 60万円 | 45万円 |
| 賞与・退職金制度導入(いずれかを導入) | 1事業所 | 40万円 | 30万円 |
| 賞与・退職金制度導入(両方を同時に導入) | 1事業所 | 56万8,000円 | 42万6,000円 |
申請の流れと受給できない場合
パンフレットによると、助成金を使うには、各コースの実施日(正社員転換日や賃金規定の改定日など、取組を行う日)の前日までに「キャリアアップ計画」を提出する必要があります。取組を終えてから計画を出すことはできません。
支給申請は、取組後の賃金を支払った日の翌日から数えて2か月以内です。Q&Aは、就業規則に定めた賃金支払日ではなく、実際に賃金を支払った日の翌日から数えると説明しています。正社員化コースでは、転換後6か月分の賃金が転換前6か月分より3%以上増えている必要があります。
パンフレットは、次のいずれかに当たる事業主は受給できないとしています。支給申請日の前日から過去1年間に労働関係法令の違反を行った事業主や、申請した年度の前年度より前の保険年度の労働保険料を納めていない事業主などです。同じ行為に2つ以上の助成金が申請されると、一方しか支給されないことがあります。
不正受給は、5年間の受給停止や企業名の公表の対象となる場合があります。特定技能の雇用関係でも、入管庁の運用要領が労働関係法令への適合を求めています。
- 正社員転換日や賃金規定の改定日など取組の実施日の前日までに、キャリアアップ計画を管轄の労働局へ提出する
- 取組後の賃金を実際に支払った日の翌日から2か月以内に、支給申請書を管轄の労働局またはハローワークへ出す
- 申請前に、過去1年間の労働関係法令違反や労働保険料の未納がないか、自社の記録で確かめる
数字を使う前の確認先と勧誘への注意
パンフレットは、年度の途中で助成金の要件などが変わる場合があるとして、取組の前に管轄の労働局またはハローワークで最新の要件を確認するよう案内しています。
このページの支給額は、令和8年4月8日現在のパンフレットを整理したものです。厚生労働省は、Q&Aを令和8年7月29日に改訂したと案内しています。実際に取り組む前に、厚生労働省のキャリアアップ助成金のページで、最新のパンフレット・Q&A・支給要領を確認してください。
パンフレットには、助成金の申請や受給額の無料査定をうたう書面を一方的に送る、電話で何度も勧誘するといった業者の情報が寄せられているとの注意書きがあります。当サイトは、受給の可否の判定や申請の代行はしません。個別の事案は、労働局・ハローワークへ相談してください。
外国人材向けの別の助成金は人材開発支援助成金のガイドで確認できます。
よくある質問
特定技能1号の外国人を正社員にすると、キャリアアップ助成金は使えますか?
厚生労働省のQ&A(令和8年版)では、正社員化コースで特定技能第1号は対象とならないとされています。帰国が前提となっているためと注記されています。ただし、賃金規定等改定などその他のコースでは、対象となり得るとされています。
特定技能2号なら正社員化コースは対象になりますか?
Q&Aでは、特定技能第2号は正社員化コースでも対象となり得るとされています。コースごとの要件を満たす必要があり、受給が約束されるわけではありません。個別の判断は労働局・ハローワークに確認してください。
外国人技能実習生の扱いはどうなりますか?
Q&Aは、外国人技能実習生について、正社員化コースは対象外、その他のコースは対象となり得るとしています。技能実習は帰国することが前提の制度であるためと注記されています。
計画の提出は、取組を始めた後でも間に合いますか?
パンフレットによると、各コースの実施日の前日までにキャリアアップ計画の提出が必要です。実施日より後に提出することはできません。
助成金の申請を代行してもらえますか?
当サイトは申請の代行や、受給できるかどうかの判定を行いません。パンフレットは、申請や無料査定をうたう勧誘への注意を呼びかけています。申請は、管轄の労働局・ハローワークに確認しながら進めます。
参照した公的一次資料
- 厚生労働省「キャリアアップ助成金Q&A(令和8年版)」Q-6(外国人労働者の取扱い)(確認日:2026年10月17日、次回確認:2027年2月11日)
- 厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)」パンフレット(確認日:2026年10月17日、次回確認:2027年2月12日)
- 厚生労働省「キャリアアップ助成金」(確認日:2026年10月17日、次回確認:2027年2月13日)
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(確認日:2026年8月11日、次回確認:2026年11月11日)