この記事の対象:特定技能外国人の在留カードや旅券を預かるよう求められて迷う受入れ企業の担当者、登録支援機関の担当者、入社時の書類の扱いを決めたい人事・総務担当者

在留カードの携帯は本人の義務で、提示も拒めない

入管法第23条第2項は、中長期在留者に、在留カードを受け取り、常に携帯することを義務づけています。

同条第3項は、入国審査官や警察官などが職務の執行で在留カードの提示を求めたとき、応じなければならないと定めています。16歳未満の人は、第5項により携帯義務の対象外です。

罰則も条文にあります。在留カードを携帯しなかった人は第75条の3で20万円以下の罰金、在留カードを受け取らなかった人や提示を拒んだ人は第75条の2で1年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金です。会社が預かって本人の手元に無い状態は、本人をこの義務違反の状態に置くおそれがあります。

在留カードに関する入管法の定め(e-Gov法令検索の条文の要旨)
条文内容罰則
第23条第2項中長期在留者は在留カードを受け取り、常に携帯する携帯しなかった場合は第75条の3で20万円以下の罰金
第23条第3項入国審査官・警察官などが職務で提示を求めたら応じる拒んだ場合は第75条の2で1年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金
第23条第5項16歳未満は携帯義務の対象外なし

会社が保管しないことは、雇用管理の指針が求めている

厚生労働省の指針は、事業主は外国人労働者の旅券、在留カード等を保管しないようにすることと書いています。

この指針は「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」で、第四の二の7が「金品の返還等」の項目です。この項目は「しないようにすること」という言い方で、会社側の対応を定めています。

同じ項目は、外国人労働者が退職するときの返還も書いています。労働基準法の定めるところにより本人の権利に属する金品を返還し、返還の請求から7日以内に出国するときは出国前に返還するとされています。

指針の全体は外国人雇用管理指針の項目別ガイドで確認できます。

取り上げると受入れ機関の欠格事由に当たる

特定技能基準省令は、外国人の旅券または在留カードを取り上げる行為を、不正または著しく不当な行為の1つに挙げています。

基準省令第2条第1項第4号のリは、出入国または労働に関する法令に関し不正または著しく不当な行為をした者を、特定技能所属機関の対象から外す類型です。例示の(2)が「外国人の旅券又は在留カードを取り上げる行為」です。

欠格の期間などの詳しい見方は、受入れ機関の欠格事由のガイドにまとめています。この記事では、旅券・在留カードの取上げが、その例示に入っているという点だけを押さえてください。

「預かる」と「取り上げる」の境目は、条文の文言だけでは分かりません。迷う場合は、本人の手元に置いてもらう運用にしておくと、取上げと見られる状況を避けやすくなります。

11類型の全体と欠格の期間は受入れ機関の欠格事由のガイドで確認できます。

退職・死亡で請求を受けたら7日以内に返還する

労働基準法第23条は、退職や死亡の場合に権利者の請求があれば、7日以内に賃金を支払い、労働者の権利に属する金品を返還するよう使用者に求めています。

対象は、積立金、保証金、貯蓄金その他名称のいかんを問わない、労働者の権利に属する金品です。賃金や金品に争いがある場合は、異議のない部分を同じ期間中に支払い、または返還します。

指針の7日以内に出国する場合の定めと合わせると、帰国予定日が近い退職では、返還の準備を出国日から逆算する必要があります。会社が書類や私物を預かっていなければ、この確認は賃金と積立金などに絞れます。

  • 旅券・在留カードを会社の金庫や机の中で預かっていない
  • 本人が在留カードを常に携帯していることを、入社時の案内で伝えた
  • 会社で確認が必要な書類は、本人の提示を受けて確認する運用にした
  • 退職の請求を受けたら、7日以内の返還と出国日を確認する担当を決めた

よくある質問

在留カードは会社で保管してもよいですか?

厚生労働省の指針は、事業主は外国人労働者の旅券、在留カード等を保管しないようにすることと書いています。入管法第23条第2項は、在留カードを本人が常に携帯するよう定めています。

旅券や在留カードを取り上げると、どうなりますか?

特定技能基準省令第2条第1項第4号リの(2)が、外国人の旅券または在留カードを取り上げる行為を、不正または著しく不当な行為の例として挙げています。期間などの詳細は欠格事由のガイドで確認してください。

在留カードを持ち歩かなかった場合の罰則は?

入管法第75条の3は、第23条第2項に違反して在留カードを携帯しなかった人を20万円以下の罰金と定めています。

本人が預かってほしいと頼んだ場合も保管してはいけませんか?

指針の項目に、本人の同意があれば保管してよいという例外は書かれていません。紛失が心配という相談を受けたときは、会社が保管せず、本人が管理できる方法を案内する運用が考えられます。

参照した公的一次資料

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