この記事の対象:塗装・洗浄・接着・印刷などで有機溶剤を使う作業に特定技能外国人を就かせる企業の安全衛生担当者

規則の対象:有機溶剤の3区分と有機溶剤業務

有機溶剤中毒予防規則は、労働安全衛生法施行令の別表第六の二に掲げる有機溶剤を対象にしています。

有機溶剤を重量で5パーセントを超えて含む混合物も「有機溶剤等」に含まれます。有機溶剤等は、第一種、第二種、第三種の3つに分かれます(規則第1条第1項)。

区分は、使う溶剤が別表のどの号に当たるかで決まります。自社の溶剤がどの区分かは、製品の安全データシートと別表の原文で確認してください。

規則が適用される「有機溶剤業務」は、第1条第1項第6号に列挙されています。有機溶剤等を製造する工程のろ過・混合・かくはん・加熱・注入、印刷、文字の書込みや描画、つや出しや防水などの加工、接着剤の塗布と接着、洗浄、塗装、有機溶剤が付着した物の乾燥、試験・研究、有機溶剤等を入れたことのあるタンクの内部での業務です。

屋内作業場等で消費する量が少ないときは、規則の多くが適用されない場合があります。作業時間1時間に消費する量(タンク等の内部では1日の量)が「許容消費量」を超えないときです(規則第2条)。第2条の場合は設備、作業主任者、掲示、色分け、保護具などの一部の規定が適用されません。

測定、健康診断、貯蔵の規定は、この第2条の場合も適用されます。第3条は、所轄の労働基準監督署長の認定を受けるとほとんどの規定が適用されなくなります。許容消費量の計算式は原文で確認してください。

規則第1条の区分と第25条の表示色
区分規則での位置づけ表示の色
第一種有機溶剤等別表第六の二の第28号・第38号に掲げる物など赤
第二種有機溶剤等別表の第1号から第13号まで等に掲げる物など黄
第三種有機溶剤等第一種・第二種以外の有機溶剤等青

設備:発散源の密閉、局所排気装置、全体換気装置

屋内作業場等で有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、作業場所に蒸気を抑える設備を設けます。

第一種・第二種有機溶剤等の業務では、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置、またはプッシュプル型換気装置を設けます(規則第5条)。第三種有機溶剤等の業務で設備が義務になるのは、タンク等の内部の場合です。

このときは、これらの設備に加えて全体換気装置も選べます。吹付けによる業務では全体換気装置は選べません(第6条)。

設備は設けるだけでなく、労働者が業務に従事する間、稼働させます。局所排気装置はフードの型式ごとに定められた制御風速以上で、全体換気装置は区分ごとに定められた1分間当たりの換気量以上で稼働させます(第18条)。バッフルを設けて換気を妨げる気流を排除するなど、有効に稼働させる措置も必要です。

局所排気装置は、1年以内ごとに1回、定期に自主検査を行います。検査項目は、フード・ダクト・ファンの摩耗や腐食、ダクトのじんあいの堆積、排風機の注油状態、接続部の緩み、ベルトの作動状態、吸気と排気の能力などです(第20条)。

検査の記録は、検査年月日、方法、箇所、結果、実施者の氏名、補修等の内容を3年間保存します(第21条)。局所排気装置などの設置・移転・変更には、事前に労働基準監督署長への届出が必要です(厚生労働省のリーフレット)。

人の管理:有機溶剤作業主任者の選任と職務

有機溶剤業務には、技能講習を修了した作業主任者を選任します。

作業主任者を選任する作業は、労働安全衛生法第14条と施行令第6条第22号が定めています。規則第19条第2項は、有機溶剤作業主任者技能講習を修了した者のうちから選任するとしています。選任が不要になる場合は、第2条・第3条の少量消費の場合と、試験・研究の業務です(第19条第1項)。

作業主任者には、次の4つを行わせます(規則第19条の2)。作業の方法を決めて労働者を指揮すること、局所排気装置・プッシュプル型換気装置・全体換気装置を1か月を超えない期間ごとに点検すること、保護具の使用状況を監視すること、タンク内の業務で第26条の措置(請負人に関する号を除く)が講じられていることを確認することです。

溶接ヒュームの換気・濃度測定・呼吸用保護具・作業主任者・健康診断は、溶接ヒューム対策:換気・濃度測定・呼吸用保護具・作業主任者・健康診断で確認できます。

設備と人に関する主な定期の義務
義務頻度記録の保存条文
換気装置の点検(作業主任者)1か月を超えない期間ごと—第19条の2
局所排気装置の定期自主検査1年以内ごとに1回3年第20条・第21条
空気中の有機溶剤の濃度の測定6か月以内ごとに1回3年第28条

表示と保管:掲示、色分け、貯蔵、空容器

屋内作業場等で有機溶剤業務を行うときは、見やすい場所に掲示と区分の表示をします。

掲示する事項は、有機溶剤により生ずるおそれのある疾病の種類と症状、有機溶剤等の取扱い上の注意事項、中毒が発生したときの応急処置の3つです。有効な呼吸用保護具を使わなければならない作業場では、その旨と使用すべき保護具も掲示します(規則第24条)。

有機溶剤等の区分は、色分けとそれ以外の方法の両方で表示します。色は、第一種が赤、第二種が黄、第三種が青です(第25条)。

有機溶剤等を屋内に貯蔵するときは、こぼれ、漏えい、発散のおそれのない蓋または栓をした堅固な容器を使います。貯蔵場所には、関係者以外の立入りを防ぐ設備と、蒸気を屋外に排出する設備を設けます(第35条)。空になった容器で蒸気が発散するおそれのあるものは、密閉するか、屋外の一定の場所に集積します(第36条)。

タンク内作業・事故時・保護具と、測定・健診

有機溶剤を入れたことのあるタンクの内部での業務は、規則で最も細かい措置が定められています。

タンク内では、作業の開始前にマンホールなど有機溶剤等が流入するおそれのない開口部をすべて開放します。事故のときに労働者を直ちに退避させられる設備や器具を整え、身体が著しく汚染されたときと作業の終了時には、直ちに洗浄させます。有機溶剤等を入れたことのあるタンクでは、作業前に有機溶剤等の排出、接続配管の遮断、内壁の洗浄、タンク容積の3倍以上の送気や排気(または水を満たしてから排出)をします(第26条)。

換気装置が故障したときや、作業場が有機溶剤等で汚染される事態が生じたときは、直ちに作業を中止して退避させます。汚染が除去されるまでの立入りは禁止します(第27条)。

有機溶剤等を入れたことのあるタンクの内部での業務では、送気マスクを使わせます(第32条)。設備を設けない特例の作業などでは、送気マスク、有機ガス用防毒マスクなどを使わせます(第33条)。

屋内作業場の空気中の有機溶剤の濃度は、6か月以内ごとに1回測定し、記録を3年間保存します(第28条)。業務に常時従事する労働者の健康診断は、雇入れの際、配置替えの際、その後6か月以内ごとに行います。

第三種有機溶剤等は、タンク等の内部の業務に限ります(第29条)。測定の対象と頻度は作業環境測定のガイド、健診の項目と保存は特殊健康診断のガイドで確認できます。

よくある質問

有機溶剤の区分ごとの表示の色は何色ですか?

有機溶剤中毒予防規則第25条は、第一種を赤、第二種を黄、第三種を青と定めています。色分けに加えて、色分け以外の方法でも見やすい場所に表示します。

有機溶剤作業主任者は必ず選任が必要ですか?

屋内作業場等の有機溶剤業務では、有機溶剤作業主任者技能講習を修了した者から選任します(規則第19条第2項)。消費量が許容消費量を超えない場合の業務と、試験・研究の業務は対象外です(第19条第1項)。

局所排気装置の点検と自主検査は何が違いますか?

作業主任者が1か月を超えない期間ごとに行う点検(第19条の2)と、事業者が1年以内ごとに1回行う定期自主検査(第20条)は別の義務です。自主検査の記録は3年間保存します(第21条)。

参照した公的一次資料

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次に確認すること

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