この記事の対象:特定技能外国人を雇う企業の人事・労務担当者、製造業・造船・自動車関連の事業場の賃金を見直す受入れ機関の担当者

地域別と特定(産業別)の2種類:両方が適用されるときは高い方

最低賃金には、都道府県ごとの地域別最低賃金と、特定の産業に定められる特定(産業別)最低賃金の2種類があり、両方が適用される労働者には高い方の額以上を支払う必要があります。

厚生労働省の最低賃金特設サイトは、特定(産業別)最低賃金を、関係労使が基幹的労働者を対象に、地域別よりも金額水準の高い最低賃金が必要と認める産業について設定するものと説明しています。全国で223件が定められています(令和8年4月1日現在)。

最低賃金法第16条は、特定最低賃金の額は、その事業場の所在地を含む地域の地域別最低賃金の額を上回るものでなければならないと定めています。特定最低賃金は、関係労使の申出に基づき最低賃金審議会が必要と認めた場合に、調査審議を経て決定されます。

地域別最低賃金との比較で算入する賃金や月給の換算は、最低賃金の確認方法のガイドで確認できます。

全国一覧の読み方:※が付く件は地域別の額が適用される

厚生労働省の「特定(産業別)最低賃金全国一覧」は、都道府県名・産業名・時間額・日額・発効年月日を並べた表で、※が付く件は地域別最低賃金の額が適用されます。

一覧の注には、地域別と特定の両方が同時に適用される場合は高い方の額が適用されること、「※」が付く特定最低賃金の額については地域別最低賃金の額が適用されることが書かれています。地域別が改定で特定最低賃金の額を上回ると、特定の欄の額は残っていても、実際に守る額は地域別になります。

2026年10月26日時点の表示では、47都道府県に223件が載っています。このうち185件に※が付き、※のない38件が、特定最低賃金の額が地域別より高くなっている件です。※のない38件は20の都道府県にあります。

時間額は1,091円(秋田県の非鉄金属精錬・精製業)から1,210円(千葉県の鉄鋼業)まで、発効日は令和7年12月から令和8年3月です。日額で定める特定最低賃金は3件で、いずれも※が付いています。

全国一覧(2026年10月26日時点の表示)の件数
区分件数
一覧に載る特定最低賃金223件(47都道府県)
※あり(地域別の額が適用される)185件
※なし(特定最低賃金の額が適用される)38件(20都道府県)
日額で定める特定最低賃金3件(いずれも※あり)

特定技能の分野に近い産業名:造船・舶用は12件のうち3件が上回る

特定技能の産業分野と特定最低賃金の産業名は同じ分類ではないため、事業場の産業に近い産業名が一覧にあるかを、都道府県ごとに確かめます。

次の表は、2026年10月26日時点の一覧で、産業名に表中の語を含む件数を数えたものです。1つの産業名に複数の語が入る件は重複して数えています。

表の産業名に近い事業場でも、その事業場が一覧のどの産業名に当たるか、特定最低賃金が適用される業務かどうかは、事業場の所在地の都道府県労働局に確認します。

分野ごとの協議会加入や試験の違いは、分野別の費用の違いの表で比べられます。

産業名に語を含む件数(2026年10月26日時点・重複あり)
特定技能の分野に近い語一覧の件数うち※なし
船舶製造・修理業、舶用機関製造業(造船・舶用工業)12件3件(岡山県・香川県・愛媛県)
鉄鋼・製鉄・製鋼・非鉄金属(工業製品製造業に近い産業)26件16件
電子部品・電気機械器具(工業製品製造業に近い産業)46件4件
はん用・生産用・一般機械器具(工業製品製造業に近い産業)25件5件
自動車整備業(自動車整備)1件(山形県)0件
一般貨物自動車運送業(自動車運送業)1件(高知県)0件
乳製品・糖類・調味料・冷凍調理食品・肉加工品(飲食料品製造業に近い産業)5件0件

適用されない労働者と確認の手順:事業場の所在地と産業名から引く

特定最低賃金は基幹的労働者に適用され、18歳未満または65歳以上の人などには適用されません。適用されない範囲は特定最低賃金ごとに異なります。

特設サイトは、特定最低賃金が適用されない労働者として、18歳未満または65歳以上の人、雇入れ後一定期間未満の技能習得中の人、その産業に特有の軽易な業務に従事する人を挙げ、範囲は特定最低賃金ごとに異なると書いています。詳しい範囲は、各特定最低賃金の内容で確かめます。

確認は、事業場の所在地の都道府県で全国一覧を引き、産業名が近い特定最低賃金があるか、※が付いているか、発効日がいつかを見る順で進めます。特定最低賃金の額は年末にかけて改正されることがあるため、年度が替わったら、一覧の日付を見直します。

  • 事業場の所在地の都道府県で、全国一覧を引いた
  • 産業名が近い特定最低賃金があるか確かめた
  • ※が付いている場合、地域別の額と発効日を確かめた
  • ※がない場合、特定最低賃金の額と発効日を確かめた
  • 対象の労働者が適用外(18歳未満・65歳以上など)に当たらないか確かめた
  • 判断に迷う産業名は都道府県労働局に確認した

よくある質問

特定(産業別)最低賃金と地域別最低賃金の両方が適用されるときは、どちらを守りますか?

高い方の額以上の賃金を支払います。全国一覧の注にも、両方が同時に適用される場合は高い方の額が適用されると書かれています。

一覧の時間額に「※」が付いているのは、どういう意味ですか?

※が付く特定最低賃金については、地域別最低賃金の額が適用されます。地域別の額が特定の欄の額を上回っている状態です。

特定最低賃金は、どの労働者にも適用されますか?

いいえ。特定の産業の基幹的労働者に適用され、18歳未満または65歳以上の人、雇入れ後一定期間未満の技能習得中の人などには適用されません。範囲は特定最低賃金ごとに異なります。

自社の事業が一覧のどの産業名に当たるか分からないときは、どうしますか?

事業場の所在地の都道府県労働局に確認します。産業名が近いというだけでは、適用の有無を決められません。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

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