この記事の対象:特定技能外国人の月々の人件費を見積もる受入れ企業の経営者・経理・人事担当者、登録支援機関の担当者

保険ごとの負担者と令和8年度の率

給与のほかに企業が負担する法定福利費は、社会保険(健康保険・厚生年金など)と労働保険(雇用保険・労災保険)に分かれます。負担者は保険ごとに違い、労災保険だけが事業主の全額負担です。

協会けんぽの案内では、健康保険・厚生年金・子ども・子育て支援金は事業主と本人の折半です。子ども・子育て拠出金は事業主が全額を負担し、被保険者の負担はありません。

雇用保険は、厚生労働省の令和8年度の料率で、労働者と事業主の双方が負担します。同じ案内に、外国人だけ料率が別になる記載はありません。労災保険料は、大阪労働局の案内で全額事業主負担とされています。

保険ごとの令和8年度の率と事業主の負担(協会けんぽ・厚生労働省・大阪労働局の案内)
保険令和8年度の率事業主の負担
健康保険(協会けんぽ)都道府県ごと(東京9.85%)折半
厚生年金18.300%折半
子ども・子育て支援金0.23%(全国一律)折半
子ども・子育て拠出金0.36%全額
介護保険(40歳から64歳のみ)1.62%(全国一律)折半
雇用保険(一般の事業)1,000分の13.5のうち事業主分は8.51,000分の8.5
労災保険事業の種類ごと(特定技能の分野の例では1,000分の3から23まで)全額

月給24万円の計算例:事業主の負担は月に約3.8万〜4万円

次の表は、東京の協会けんぽに加入する40歳未満の従業員で、月々の賃金総額と標準報酬月額がともに24万円と仮定した計算例です。実際の額は、事業所と従業員ごとに変わります。

社会保険は、協会けんぽの東京支部・令和8年度の保険料額表で、標準報酬月額24万円の事業主の負担計が34,920円です。内訳は、健康保険11,820円、支援金276円、厚生年金21,960円、拠出金864円です。

雇用保険と労災保険は、賃金総額に率を掛けて求めます。雇用保険の事業主分は、一般の事業で24万円の1,000分の8.5で2,040円、建設の事業で1,000分の10.5の2,520円です。労災保険は、外食業・宿泊・介護の1,000分の3で720円、建設(建築工事)の1,000分の9.5で2,280円です。

事業主が負担する月額の計算例(東京・40歳未満・賃金総額と標準報酬月額が24万円の仮定。単位は円)
項目外食業・宿泊・介護の例建設(建築工事)の例
社会保険(健康保険・厚生年金・支援金・拠出金)34,92034,920
雇用保険(事業主分)2,0402,520
労災保険7202,280
事業主の負担計37,68039,720

見積もりに入れるときに変わる点

上の表は、条件をそろえた1例です。見積もりでは、次の点で額が変わります。

40歳から64歳の従業員には、介護保険の折半分が加わります。健康保険料率は都道府県ごとに違い、令和8年度は東京都が9.85%、大阪府が10.13%、福岡県が10.11%などです。

雇用保険は事業の区分で率が変わります。農林水産・清酒製造の事業は事業主分が1,000分の9.5、建設の事業は10.5です。

労災保険は事業の種類で率が決まり、分野名そのものでは決まりません。令和8年度の率は、介護・外食業・宿泊の3から造船・舶用工業の船舶製造の23まで開きがあります。

分野ごとの労災保険率は労災保険率の分野別ガイドで確認できます。

  • 加入する健康保険の都道府県の料率を、協会けんぽの料率表で確かめる
  • 従業員が40歳以上かどうかを確かめ、介護保険の折半分を足す
  • 自社の事業が雇用保険の三区分のどれに当たるかを、ハローワークで確かめる
  • 自社の事業の種類と労災保険率を、労働局または労働基準監督署で確かめる

本人の負担分は給与から控除できる

社会保険の本人負担分は、事業主が給与から控除できます。協会けんぽの案内では、事業主は前月分の保険料の被保険者負担分を、賃金から控除できるとされています。

控除したときは、それを被保険者に知らせなければなりません。上の計算例の事業主の負担は、本人の控除とは別に企業が負担する額です。

このページは、月々の人件費を見積もるための概算です。実際の保険料の額、加入の要件、算定の方法は、協会けんぽ・ハローワーク・労働局に確認してください。当サイトは、保険の加入判断や社会保険労務士の業務にあたる個別の助言をしません。

社会保険料の事業主負担の内訳は健康保険・厚生年金の事業主負担のガイドでも確認できます。

よくある質問

特定技能外国人の給与に、企業はどれだけ上乗せして負担しますか?

東京の協会けんぽ、40歳未満、賃金総額24万円の仮定では、社会保険の事業主負担が34,920円です。雇用保険と労災保険を加えると、外食業・宿泊・介護の例で37,680円、建設(建築工事)の例で39,720円です。実際の額は事業所ごとに変わります。

子ども・子育て拠出金は、給与から引きますか?

引きません。協会けんぽの案内では、子ども・子育て拠出金は事業主が負担するもので、被保険者の負担はないとされています。

労災保険料は、本人の給与から引けますか?

大阪労働局の案内は、労働保険料のうち労災保険料分は全額事業主負担としています。雇用保険料分は、事業主と労働者の双方が負担します。

外国人だけ料率が違うことはありますか?

厚生労働省の雇用保険の料率の案内と外国人向けのリーフレットには、外国人だけ料率が別になる記載はありません。リーフレットは、国籍を問わず日本人と等しく適用されるとしています。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

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