この記事の対象:1号特定技能外国人の生活オリエンテーションを自社で行う受入れ機関や、委託先の実施内容を点検したい担当者
根拠:省令第3条第1項第1号ニの(4)と(5)
緊急・災害の説明は、義務的支援のうち生活オリエンテーションの項目に入っています。
運用要領の別冊(1号特定技能外国人支援計画の基準について)は、特定技能基準省令第3条第1項第1号ニを引用しています。(5)が「防災及び防犯に関する事項並びに急病その他の緊急時における対応に必要な事項」で、(4)が「当該外国人が十分に理解することができる言語により医療を受けることができる医療機関に関する事項」です。
別冊は令和7年4月1日に一部改正された版です。この2つは、日本での生活一般の説明の中で、緊急時に命と安全に直結する部分として並んでいます。
別冊が挙げる説明事項:通報先・避難情報・緊急速報メール・医療機関
別冊は、(5)と(4)について、情報提供すべき具体的な内容を書いています。
(5)については、地震・津波・台風等の自然災害や事件・事故への備え、火災の予防(たばこの不始末、コンロ・ストーブの取扱い、消火器の使い方)、110番・119番・118番など警察・消防・海上保安庁への通報方法、大使館・領事館、最寄りの警察署・交番、救急医療機関への連絡方法、気象情報や避難指示の把握方法、災害時の避難場所が挙げられています。
留意事項として、携帯電話事業者が無料で提供する緊急速報メールは、災害・避難情報が回線の混雑の影響なく特定のエリアの端末に一斉に配信されるため、活用するよう案内し、対応機種と受信するための設定方法も情報提供するよう求めています。
(4)の医療機関については、通訳人が配置されている、またはインターネットや電話による医療機関向け通訳サービスが導入されているなど、外国人患者の受入れ体制が整備されている病院の名称、所在地、連絡先を挙げています。あわせて、医療通訳の雇入費用等をカバーする民間医療保険への加入案内も情報提供の事項です。
| 区分 | 説明する内容 |
|---|---|
| 身を守る方策 | 自然災害・事件・事故への備え、火災の予防(たばこ、コンロ・ストーブ、消火器) |
| 通報・連絡 | 110番・119番・118番、大使館・領事館、最寄りの警察署・交番、救急医療機関への連絡方法 |
| 災害情報 | 気象情報・避難指示の把握方法、避難場所、緊急速報メールの対応機種と受信設定 |
| 医療機関 | 通訳体制のある病院の名称・所在地・連絡先、医療通訳費用をカバーする民間医療保険の案内 |
緊急・災害の説明で確認しておく点:本人の端末と住居に即して伝える
緊急・災害の説明は、通報先を読み上げるだけでなく、本人が実際に使える状態にすることが目的です。
別冊は、緊急時における対応に必要な事項を、生活環境に変化がない人(技能実習2号を良好に修了して同じ機関で働く人など)にも十分に理解させる必要がある情報の1つに挙げています。実施時間や確認書など、生活オリエンテーション全体の実施方法は、別ページの生活オリエンテーションのガイドに分けています。
緊急速報メールは、対応機種と受信するための設定方法まで情報提供するよう求められているため、説明の場で本人の端末の設定を一緒に確認すると、案内した事実を残しやすくなります。避難場所も、住居と勤務先それぞれの最寄りを示します。
- 通報先(110・119・118)を本人の理解できる言語で説明した
- 避難場所と気象情報・避難指示の見方を、実際の住居と勤務先に即して伝えた
- 緊急速報メールの対応機種と受信設定を本人の端末で確認した
- 通訳体制のある医療機関の名称・所在地・連絡先を渡した
説明に使える公的な資料:ガイドブック・119番通訳・医療機関リスト
説明の素材は、入管庁・消防庁・観光庁が公開している資料で確認できます。
入管庁の生活・就労ガイドブックは、第10章が「緊急・災害」です。119番に電話をかけるとオペレーターが「火事ですか。救急ですか。」と尋ねるので「救急です。」と伝え、救急車に来てもらいたい場所や目印、具合の悪い人の症状と年齢、自分の名前と連絡先を伝える、という流れが書かれています。
消防庁は、電話通訳センターを介した三者間同時通訳による119番の多言語対応を案内しています。24時間365日、主要な言語で対応するもので、現場の活動時にも電話を交互に受け渡して通訳を依頼できます。
令和7年1月1日現在、720消防本部のうち673本部(93.5%)が導入し、全ての消防本部が英語・中国語・韓国語に対応しています。それ以外の言語は消防本部ごとに選ばれているため、本人の母語に対応しているかは、居住地の消防本部への確認が必要です。
観光庁は、厚生労働省と連携して、外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリストを公開しています。2026年6月30日の公開後、8月6日と9月30日に一部が変更されています。掲載内容は更新されるため、本人に渡す前に最新の版を確認してください。
生活オリエンテーション全体の進め方は生活オリエンテーションのガイドで確認できます。
よくある質問
緊急・災害の説明は、生活オリエンテーションで必ず行うのですか?
はい。特定技能基準省令第3条第1項第1号ニの(5)が、防災・防犯と急病その他の緊急時の対応を、生活オリエンテーションの事項に挙げています。
119番は、母語で通報できますか?
消防庁は、電話通訳センターを介した三者間同時通訳を案内しています。令和7年1月1日現在で673本部が導入し、全ての本部が英語・中国語・韓国語に対応していますが、それ以外の言語は本部ごとに異なります。
緊急速報メールは何を案内しますか?
別冊は、緊急速報メールを活用するよう案内し、対応機種と受信するための設定方法も情報提供するよう求めています。
実施時間や確認書の扱いはどこで確認できますか?
生活オリエンテーション全体の実施方法は、別ページの生活オリエンテーションのガイドで確認できます。
参照した公的一次資料
- 法務省「1号特定技能外国人支援に関する運用要領-1号特定技能外国人支援計画の基準について-」(確認日:2026年8月22日、次回確認:2026年11月22日)
- 出入国在留管理庁「生活・就労ガイドブック」(確認日:2026年10月15日、次回確認:2027年1月15日)
- 消防庁「電話通訳センターを介した三者間同時通訳」(確認日:2026年10月15日、次回確認:2027年1月15日)
- 消防庁「電話通訳センターを介した三者間同時通訳の導入状況調査結果(令和7年1月1日現在)」(確認日:2026年10月15日、次回確認:2027年1月15日)
- 観光庁「外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリスト」(確認日:2026年10月15日、次回確認:2027年1月15日)