この記事の対象:工業製品製造業、飲食料品製造業、建設、造船などで電動工具・溶接機・配電設備のある現場に特定技能外国人を配置する企業の安全衛生・現場責任者
充電部分の囲い・絶縁覆い・配線と電灯のガード
労働安全衛生規則は、第5章「電気による危険の防止」で、まず電気機械器具そのものと配線の感電対策を事業者に求めています。
第329条は、電気機械器具の充電部分で、労働者が作業中や通行の際に接触または接近して感電のおそれがあるものには、囲いか絶縁覆いを設けるよう定めています。電熱器の発熱体や抵抗溶接機の電極など、使う目的上、露出がやむを得ない部分は除かれます。配電盤室や変電室など区画された場所や、電柱上・塔上など隔離された場所には、ただし書きがあります。
第330条は、移動電線に接続する手持型の電灯や仮設の配線、架空つり下げ電灯などに、口金に触れる感電と電球の破損を防ぐガードを付けるよう定めています。ガードは、口金の露出部分に容易に手が触れない構造で、容易に破損・変形しない材料にします。
第336条は、労働者が作業中や通行の際に接触するおそれのある配線や移動電線について、絶縁被覆の損傷や老化による感電の危険を防ぐ措置を求めています(第36条第4号の業務に就く電気取扱者だけが接触するおそれのある配線は除かれます)。第335条は、電気機械器具の操作部分に必要な照度を保つよう定めています。
漏電しゃ断装置と接地:対象は移動式・可搬式の電動機械器具
第333条は、漏電による感電を防ぐため、一定の電動機械器具を接続する電路に感電防止用漏電しゃ断装置を接続するよう定めています。
対象は、電動機を有する機械や器具のうち、対地電圧が150ボルトを超える移動式・可搬式のものです。水などの導電性の高い液体で湿潤している場所や、鉄板上、鉄骨上、定盤上など導電性の高い場所で使う移動式・可搬式のものも対象です。装置は、電路の定格に適合し、感度が良好で、確実に作動するものにします。
漏電しゃ断装置を接続することが困難なときは、金属製外わくや電動機の金属製外被などの金属部分を接地して使います(同条第2項)。接地極への接続は、専用の接地線を使う方法などによって行い、接地極は十分に地中に埋設するなどして確実に大地と接続します。
第334条は、非接地方式の電路(絶縁変圧器の二次電圧が300ボルト以下で負荷側が接地されていないものに限る)に接続して使うもの、絶縁台の上で使うもの、二重絶縁構造の特定電気用品で電気用品安全法の表示が付いたものには、第333条を適用しないとしています。
| 使い方 | 対象になる条件 | 措置 |
|---|---|---|
| 移動式・可搬式 | 対地電圧が150ボルトを超える | 感電防止用漏電しゃ断装置を接続(困難なときは接地) |
| 移動式・可搬式 | 水などで湿潤している場所、鉄板上・鉄骨上・定盤上など導電性の高い場所で使う | 感電防止用漏電しゃ断装置を接続(困難なときは接地) |
アーク溶接の感電防止:ホルダーと自動電撃防止装置
アーク溶接等の作業には、感電防止の定めが2つあります。
第331条は、アーク溶接等(自動溶接を除く)に使う溶接棒等のホルダーが、感電の危険を防ぐために必要な絶縁効力と耐熱性を持たないものであれば、使ってはならないと定めています。
第332条は、船舶の二重底やボイラーの胴の内部など導電体に囲まれた著しく狭あいな場所や、墜落のおそれのある高さが2メートル以上の場所で鉄骨等導電性の高い接地物に労働者が接触するおそれがある場所で、交流アーク溶接等を行うときは、交流アーク溶接機用自動電撃防止装置を使うよう定めています。
電気を取り扱う作業:特別教育と絶縁用保護具の検査
電気の取扱い作業には、特別教育と、作業時の保護具・検査の定めがあります。
規則第36条第4号は、高圧・特別高圧の充電電路の敷設・点検・修理・操作の業務や、低圧の充電電路(対地電圧が50ボルト以下のものなどを除く)の敷設・修理の業務などを、特別教育が必要な業務としています。ここでいう低圧は、直流で750ボルト以下、交流で600ボルト以下です。特別教育は労働安全衛生法第59条第3項に基づきます。
低圧の充電電路の点検、修理などを行う場合で感電のおそれがあるときは、労働者に絶縁用保護具を着用させるか、活線作業用器具を使わせます(第346条)。低圧の充電電路に近接する場所で電気工事の作業を行い、接触による感電のおそれがあるときは、充電電路に絶縁用防具を装着します(第347条。絶縁用保護具を着用させ、その着用部分以外の身体部分が接触するおそれがないときは除かれます)。
絶縁用保護具等は、第351条により、6月以内ごとに1回、定期に、絶縁性能について自主検査を行います。6月を超えて使わない期間は検査が不要で、使用を再開するときに検査します。
検査をしたときは、記録して3年間保存します。この定めの対象は第348条第1項各号の保護具で、同項第5号は交流で300ボルトを超える低圧の充電電路に対して用いるものに限られます。
- 電動工具・可搬式の機械を、対地電圧150ボルト超と、湿潤・導電性の高い場所での使用で分けて洗い出す
- 対象の機械が接続される電路の漏電しゃ断装置の有無を確認し、無いものは接地の状態を確認する
- 配線・移動電線・手持ち電灯のガードの損傷や老化を点検する
- 電気の取扱い業務に就く人が特別教育を受けたかを確認する
- 絶縁用保護具の自主検査の日付と記録(3年保存)を管理する
よくある質問
どんな電動工具に漏電しゃ断装置が必要ですか?
労働安全衛生規則第333条は、対地電圧が150ボルトを超える移動式・可搬式の電動機械器具、および水などで湿潤している場所や鉄板上・鉄骨上などの導電性の高い場所で使う移動式・可搬式のものについて、感電防止用漏電しゃ断装置を接続するよう定めています。第334条の適用除外もあります。
漏電しゃ断装置をつけられないときはどうしますか?
第333条第2項により、電動機械器具の金属製外わくや金属製外被などの金属部分を接地して使います。接地極は十分に地中に埋設するなどして確実に大地と接続します。
電気の特別教育はどんな業務で必要ですか?
規則第36条第4号は、高圧・特別高圧の充電電路の敷設・点検・修理・操作の業務や、低圧の充電電路(対地電圧が50ボルト以下のものなどを除く)の敷設・修理の業務などを挙げています。自社の作業が当てはまるかは、条文で確認してください。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第5章 電気による危険の防止(第329条〜第351条)(確認日:2026年10月19日、次回確認:2027年1月19日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第36条(特別教育を必要とする業務)(確認日:2026年10月13日、次回確認:2027年1月13日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第59条(安全衛生教育)(確認日:2026年10月13日、次回確認:2027年1月13日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」(確認日:2026年10月3日、次回確認:2026年12月3日)