この記事の対象:特定技能外国人に通勤手当や定期券を支給する受入れ企業の給与・人事担当者、雇用条件書の手当欄を説明する登録支援機関の担当者
通勤手当の制度別の扱い(所得税・社会保険・割増賃金)
通勤手当は、所得税では一定額まで非課税、社会保険では報酬に含まれ、割増賃金の計算では基礎に入れない、というように、制度ごとに扱いが異なります。
通勤手当は、特定技能外国人でも日本人の従業員でも、同じ法令の扱いです。
外国人だから別の扱いになる決まりはありません。
| 制度 | 通勤手当の扱い | 確認した一次資料 |
|---|---|---|
| 所得税(源泉徴収) | 一定の限度額まで非課税。超える部分は給与として課税 | 国税庁タックスアンサー No.2582・No.2585 |
| 健康保険・厚生年金保険 | 標準報酬月額の対象となる報酬に含まれる | 日本年金機構のFAQ |
| 割増賃金(時間外・休日・深夜) | 計算の基礎となる賃金に算入しない | 労働基準法第37条第5項 |
所得税:電車・バス通勤の非課税限度額(月15万円)
電車やバスだけで通勤する人の通勤手当は、最も経済的かつ合理的な経路・方法の通勤定期券などの金額まで非課税で、1か月あたり15万円が上限です。
国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在の法令等)は、給与に加算して支給する通勤手当や通勤定期券などは、一定の限度額まで非課税となると説明しています。電車やバスなどの交通機関だけを使う場合の限度額は、通勤の運賃・時間・距離などに照らして、最も経済的かつ合理的な経路および方法で通勤した場合の通勤定期券などの金額です。
新幹線や特急列車の運賃も、その経路や方法が最も経済的かつ合理的に当たる場合は非課税の通勤手当に含まれますが、グリーン料金は含まれません。金額が1か月あたり15万円を超えるときは、15万円が限度額です。
限度額を超えて支給した部分は、給与として課税され、支給した月の給与に上乗せして源泉徴収されます。非課税の限度額は、パートやアルバイトなど短期間雇い入れる人にも、月を単位に計算します。
- 通勤経路と方法を本人に確認し、最も経済的かつ合理的な経路の定期券額を調べる
- グリーン料金など、合理的な経路の料金に当たらないものを手当に含めない
- 限度額を超える月は、超える部分を課税の給与として源泉徴収する
所得税:マイカー・自転車通勤の片道距離別非課税限度額
マイカーや自転車で通勤する人の非課税の限度額は、片道の通勤距離ごとに月額が決められており、片道2キロメートル未満は全額が課税されます。
国税庁のタックスアンサーは、マイカーや自転車などで通勤する人の非課税の月額の限度額を、片道の通勤距離(通勤経路に沿った長さ)ごとに定めています。片道2キロメートル未満は全額が課税です。2キロメートル以上10キロメートル未満は4,200円、10キロメートル以上15キロメートル未満は7,300円、15キロメートル以上25キロメートル未満は13,500円です。
距離が長くなるほど限度額は上がり、95キロメートル以上で66,400円です(35キロメートル以上の区分は、出典の国税庁タックスアンサー No.2585 で確認できます)。一定の要件を満たす駐車場等を使う場合は、月5,000円を上限に駐車場等の料金相当額が加わります。有料道路を使う場合は、合理的な料金の額が加わり、全体の最高限度は15万円です。
電車やバスを併用する場合は、定期券などの金額と、マイカー・自転車の限度額を合計します。ただし合計は1か月あたり15万円が限度です。
| 片道の通勤距離 | 1か月あたりの限度額 |
|---|---|
| 2キロメートル未満 | 全額課税 |
| 2キロメートル以上10キロメートル未満 | 4,200円 |
| 10キロメートル以上15キロメートル未満 | 7,300円 |
| 15キロメートル以上25キロメートル未満 | 13,500円 |
| 25キロメートル以上35キロメートル未満 | 19,700円 |
社会保険:報酬に含める通勤手当と一括支給時の月割り
日本年金機構は、事業所の給与規定に定めのある通勤手当は、標準報酬月額の対象となる報酬に含まれると案内しています。
厚生年金保険法でいう報酬は、被保険者が事業主から労務の対償として受けるすべてのものを指し、名称は問いません。通勤手当は、所得税では一定額まで非課税でも、社会保険の報酬には含まれます。税の非課税と社会保険の報酬は、別の制度として考えます。
通勤手当は、数か月分を定期券などでまとめて支給する場合も、支払上の便宜によるものとして報酬に含まれます。複数月分をまとめて支給したときは、報酬月額に計上する際に月数で割り、1か月あたりの金額を各月の報酬月額に含めます。
このため、通勤手当の額を変えると、標準報酬月額の決定や改定に関わる場合があります。届出の手続は、別のガイドで整理しています。
加入・喪失の手続は社会保険の資格取得・喪失のガイドで確認できます。
割増賃金:計算の基礎に入れない通勤手当
労働基準法は、時間外・休日・深夜の割増賃金の基礎となる賃金に、家族手当と通勤手当を算入しないと定めています。
労働基準法第37条第5項は、割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金を算入しないと定めています。労働基準法施行規則第21条は、通勤手当のほかに、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金を挙げています。
つまり、基本給と通勤手当を合わせて支給していても、残業代を計算するときの1時間あたりの賃金には、通勤手当を含めません。割増率や計算の手順は、別のガイドで整理しています。
割増賃金の計算は時間外・休日・深夜の割増賃金のガイドで確認できます。
よくある質問
通勤手当は、毎月いくらまで非課税ですか?
電車やバスだけで通勤する場合は、最も経済的かつ合理的な経路・方法の通勤定期券などの金額まで非課税で、1か月あたり15万円が上限です。マイカー・自転車は片道の距離で限度額が決まります。国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在の法令等)に基づきます。
通勤手当が非課税なら、社会保険の保険料にも関係しませんか?
関係します。日本年金機構は、事業所の給与規定に定めのある通勤手当は、標準報酬月額の対象となる報酬に含まれると案内しています。税の非課税と、社会保険の報酬は別の扱いです。
通勤手当は、残業代の計算に入れますか?
入れません。労働基準法第37条第5項は、割増賃金の基礎となる賃金に家族手当と通勤手当を算入しないと定めています。
定期券を数か月分まとめて渡した場合の社会保険の扱いは?
日本年金機構は、複数月単位で支給した通勤手当も報酬月額に含め、計上するときは月数で割った1か月あたりの金額を各月に含めるとしています。
参照した公的一次資料
- 国税庁タックスアンサー No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当(確認日:2026年10月17日、次回確認:2027年1月17日)
- 国税庁タックスアンサー No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当(確認日:2026年10月17日、次回確認:2027年1月17日)
- 日本年金機構「標準報酬月額の対象となる報酬に、通勤手当は含まれるのですか。」(確認日:2026年10月17日、次回確認:2027年1月17日)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日、次回確認:2027年1月8日)
- 日本年金機構「複数月単位で従業員に支給した通勤手当は、報酬月額に含めますか。」(確認日:2026年10月17日、次回確認:2027年1月17日)
- e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」第5条(労働条件の明示)・第7条の2(賃金の口座振込み等)・第12条の3(フレックスタイム制の協定事項と届出)・第19条(割増賃金の基礎となる1時間あたりの賃金)(確認日:2026年10月13日、次回確認:2027年1月13日)