この記事の対象:建設業・解体工事で特定技能外国人を現場に配置する企業の安全衛生担当者・現場管理者
事前調査:解体・改修の前に、全ての材料を書面と目視で調べる
建築物などの解体・改修の作業を行うときは、あらかじめ石綿の使用の有無を調べる義務があります。
石綿障害予防規則第3条第1項は、建築物、工作物、鋼製の船舶の解体または改修(封じ込めや囲い込みを含む)の作業を行うときに、あらかじめ石綿等の使用の有無を調査することを事業者に求めています。この調査が事前調査です。
第2項は、事前調査を解体等の対象の全ての材料について行うこととし、方法として、設計図書等の文書の確認と、目視による確認を挙げています。文書が存在しない場合と、構造上目視が困難な材料は、それぞれ例外です。目視できなかった材料は、目視できるようになったときに事前調査を行います(第9項)。
事前調査を行っても石綿の使用の有無が分からなかったときは、分析調査を行います。ただし、石綿が使用されているものとみなして必要な措置を講じる場合は、分析調査は不要です(第5項)。
| 段階 | 内容 | 例外・補足 |
|---|---|---|
| 文書の確認 | 設計図書等の文書を確認する | 文書が存在しないときは不要 |
| 目視の確認 | 全ての材料を目視で確認する | 構造上目視が困難な材料は、目視できるようになったときに調査する |
| 分析調査 | 使用の有無が明らかでないときに、分析による調査を行う | 石綿が使用されているものとみなして措置を講じるときは不要 |
調査を行う者・書面で足りる場合・記録の3年保存と掲示
事前調査は、厚生労働大臣が定める知識を持つ者に行わせます。結果は記録して3年間保存し、作業場に掲示します。
第3条第4項は、次に書く書面確認で足りる場合を除き、事前調査を、適切に調査を実施するために必要な知識を有する者として厚生労働大臣が定める者に行わせるよう求めています。分析調査も同様に、必要な知識及び技能を有する者として厚生労働大臣が定める者に行わせます(第6項)。誰が該当するかは告示で定められているため、個別の確認は所轄の労働基準監督署などを優先してください。
第3項は、書面の確認だけで足りる場合を定めています。建築物や工作物の新築工事の着工日が平成18年9月1日以降であることを、設計図書等の文書で確認する方法などです。
このほか、すでに同等の調査が行われている場合に、その記録を確認する方法も認められています。非鉄金属製造業など一部の施設の設備は、ガスケットなどの設置日による別の定めがあります。
事前調査等を行ったときは、事業者の名称・住所・電話番号、作業場所と工事の概要、調査終了日、調査を行った者の氏名などの記録を作成し、調査終了日から3年間保存します(第7項)。解体等の作業を行う作業場には、調査終了日と、調査した部分・材料ごとの石綿の使用の有無の概要を、見やすい箇所に掲示します(第8項)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査を行う者 | 厚生労働大臣が定める者(告示で定められる) |
| 記録の保存 | 調査終了日から3年間 |
| 作業場での掲示 | 調査終了日と、調査した部分・材料ごとの石綿の使用の有無の概要 |
報告の対象:床面積80㎡以上の解体、請負100万円以上の改修
一定規模の工事は、事前調査の結果を電子システムで労働基準監督署長に報告します。
第4条の2は、あらかじめ、電子情報処理組織(電子システム)を使って、所轄の労働基準監督署長に事前調査の結果等を報告するよう求めています。対象は、床面積の合計が80平方メートル以上の建築物の解体工事、請負代金が100万円以上の建築物の改修工事、告示で定める工作物の請負代金100万円以上の解体・改修工事、総トン数20トン以上の船舶の解体・改修工事です。様式第一号による報告書の提出でも代えられます。
同じ事業者が工事を2以上の契約に分割して請け負う場合は、1つの契約で請け負ったものとみなします。工事の一部を請負人に請け負わせている場合は、最も先次の請負契約における注文者が、仕事の全部について報告します(第4条の2第4項・第5項)。
別に、第5条は、吹き付けられた石綿等の除去・封じ込め・囲い込みの作業と、粉じんを著しく発散するおそれのある石綿含有保温材等の除去などの作業を行うときに、様式第一号の二の届書と図面を所轄の労働基準監督署長に提出するよう求めています。報告と届出は別の手続です。
| 工事 | 報告が必要になる規模 |
|---|---|
| 建築物の解体工事 | 工事に係る部分の床面積の合計が80平方メートル以上 |
| 建築物の改修工事 | 請負代金が100万円以上 |
| 告示で定める工作物の解体・改修工事 | 請負代金が100万円以上 |
| 船舶の解体・改修工事 | 総トン数20トン以上 |
石綿が使われている場合:作業計画・作業主任者・特別教育・発注者の役割
石綿が使われている(またはみなした)建築物等の解体等では、作業計画を定め、作業主任者を選任し、労働者に特別の教育を行います。
第4条は、石綿が使用されている解体等対象建築物等(みなした場合を含む)の解体等の作業の前に、作業計画を定めることを求めています。作業計画には、作業の方法と順序、石綿等の粉じんの発散を防止し抑制する方法、労働者へのばく露を防止する方法を示し、関係労働者に周知します。
第19条は、労働安全衛生法施行令第6条第23号の作業について、石綿作業主任者技能講習を修了した者から石綿作業主任者を選任するよう定めています。第27条は、石綿使用建築物等解体等作業の業務に労働者を就かせるときに、石綿の有害性、石綿等の使用状況、粉じんの発散を抑制する措置、保護具の使用方法などについて特別の教育を行うよう定めています。
工事の発注者は、請負人に対し、石綿等の使用状況等を通知するよう努め、請負人による事前調査等と記録の作成が適切に行われるよう配慮します(第8条)。
- 解体・改修の前に、全ての材料を文書と目視で調べ、分からないときは分析調査か、石綿があるものとみなした措置を選ぶ
- 調査を厚生労働大臣が定める者に行わせ、記録を調査終了日から3年間保存する
- 調査終了日と調査結果の概要を作業場に掲示する
- 80㎡以上の解体、請負代金100万円以上の改修などは、事前調査の結果を電子システムで報告する
- 石綿が使われている場合は、作業計画を定め、石綿作業主任者を選任し、特別の教育を行う
よくある質問
石綿の事前調査は、必ず分析まで行う必要がありますか?
いいえ。まず設計図書等の文書と目視で調べ、石綿の使用の有無が明らかにならなかったときに分析調査を行います。石綿が使用されているものとみなして必要な措置を講じる場合は、分析調査は不要です(石綿障害予防規則第3条第5項)。
事前調査の記録は、何年保存しますか?
調査終了日から3年間です(石綿障害予防規則第3条第7項)。分析調査を行った場合は、全ての事前調査を終了した日と分析調査を終了した日のうち遅い日が起点です。
どの工事で労働基準監督署への報告が必要ですか?
床面積の合計が80平方メートル以上の建築物の解体工事、請負代金が100万円以上の建築物の改修工事、告示で定める工作物の請負代金100万円以上の解体・改修工事、総トン数20トン以上の船舶の解体・改修工事です(第4条の2第1項)。
石綿の作業には特別の教育が必要ですか?
石綿使用建築物等解体等作業の業務に労働者を就かせるときは、石綿の有害性、使用状況、粉じんの発散を抑制する措置、保護具の使用方法などについて特別の教育を行います(第27条)。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「石綿障害予防規則」第3条(事前調査及び分析調査)(確認日:2026年10月20日、次回確認:2027年2月18日)
- e-Gov法令検索「石綿障害予防規則」第4条の2(事前調査の結果等の報告)・第5条(作業の届出)(確認日:2026年10月20日、次回確認:2027年2月19日)
- e-Gov法令検索「石綿障害予防規則」第4条(作業計画)・第19条(石綿作業主任者の選任)・第27条(特別の教育)(確認日:2026年10月20日、次回確認:2027年2月20日)
- e-Gov法令検索「石綿障害予防規則」第8条(発注者の責務等)(確認日:2026年10月20日、次回確認:2027年2月21日)