この記事の対象:育成就労外国人を受け入れる企業の人事担当者、監理支援機関の相談・講習の担当者、入国後講習の法的保護科目を準備する担当者
申告できる場面と申告先:育成就労法第49条
育成就労外国人は、受入れ企業や監理支援機関に育成就労法令の違反がある場合、その事実を国に申告できます。
運用要領第6章によると、育成就労実施者や監理支援機関、またはこれらの役員や職員が、育成就労法またはこれに基づく命令の規定に違反する事実がある場合に、育成就労外国人は、その事実を出入国在留管理庁長官と厚生労働大臣に申告できます(法第49条第1項)。
運用要領は、この制度の狙いを、本人が違反行為に遭ったとき自ら申告できれば、主務大臣の権限行使で違反を迅速かつ的確に是正でき、育成就労外国人の保護が図られることだと説明しています。
| 項目 | 運用要領の内容 |
|---|---|
| 申告できる人 | 育成就労外国人本人(委任を受けた代理人も可) |
| 申告の対象 | 育成就労実施者・監理支援機関・これらの役員や職員の、育成就労法令の違反 |
| 申告先 | 出入国在留管理庁長官と厚生労働大臣 |
| 申告の経路 | 外国人育成就労機構の母国語による相談窓口を通じても可能 |
| 申告を理由にした不利益な取扱い | 禁止。違反は6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(法第111条第7号) |
申告の方法:母国語の相談窓口・代理人・労働基準監督署との違い
申告は、機構が実施する母国語による相談窓口を通じて行うこともできます。
運用要領は、申告は育成就労外国人本人だけでなく、本人から委任を受けた代理人でも可能だとしています。代理人が申告する場合は、育成就労外国人の意思による申告であることを明らかにするため、本人による委任状を併せて提出する必要があります。
育成就労外国人には日本人と同様に労働基準法関係法令が適用されます。そのため、労働基準法関係法令の違反がある場合は、育成就労法の申告とは別に、労働基準監督機関に申告することもできると、運用要領に書かれています。
申告を理由にした不利益取扱いの禁止:何が禁じられ、罰則はどうなるか
育成就労実施者や監理支援機関などは、外国人が申告したことを理由に、育成就労の中止その他の不利益な取扱いをしてはなりません。
法第49条第2項は、育成就労実施者等(育成就労実施者・監理支援機関・これらの役員や職員)が、申告をしたことを理由として、育成就労外国人に対して育成就労の中止その他不利益な取扱いをすることを禁じています。
運用要領によると、これに違反した場合は、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になります(法第111条第7号)。対象となる取扱いは育成就労の中止に限られず、「その他不利益な取扱い」も含まれます。
申告制度の周知:入国後講習と育成就労外国人手帳
運用要領は、申告の制度や方法を、育成就労外国人に確実に周知する必要があるとしています。
周知の場面として、入国後講習で法的保護に必要な情報を講習するときが挙げられています。講習の法的保護科目には、育成就労実施者や監理支援機関などが法令に違反していることを知ったときの対応方法(申告・相談)と、労働基準監督署などへの連絡方法(申告による不利益取扱いの禁止に係る事項を含む)を含める必要があります。
申告の制度は、入国時に育成就労外国人へ配付される育成就労外国人手帳にも記載されています。運用要領は、手帳については別途お示しする予定としています。人権侵害を受けた外国人が育成就労を続けられるよう、機構が転籍を支援する体制を整備することも、運用要領に書かれています。
- 入国後講習の法的保護科目に、申告・相談の方法と不利益取扱いの禁止を含めているか
- 機構の母国語相談窓口や監理支援機関の相談窓口を、外国人が分かる言語で案内しているか
- 申告があった外国人に、申告を理由として育成就労の中止やその他の不利益な取扱いをしていないか
よくある質問
申告できるのは、育成就労外国人本人だけですか?
運用要領は、本人から委任を受けた代理人も申告できるとしています。代理人が申告する場合は、本人の意思による申告であることを明らかにするため、本人による委任状を併せて提出する必要があります。
申告先はどこですか?
育成就労法第49条により、出入国在留管理庁長官と厚生労働大臣です。運用要領は、機構が実施する母国語による相談窓口を通じて申告することもできるとしています。
申告したことを理由に、育成就労を中止されたり、不利益な扱いを受けたりしませんか?
育成就労実施者や監理支援機関などは、申告を理由にした育成就労の中止その他の不利益な取扱いを禁じられています。違反した場合の罰則は、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です(法第111条第7号)。
労働基準法の違反は、どこに申告しますか?
運用要領は、労働基準法関係法令の違反がある場合は、労働基準監督機関に申告することもできるとしています。育成就労法の申告とは別の手続です。
参照した公的一次資料
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度 運用要領 ~関係者の皆さまへ~」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日、次回確認:2027年1月3日)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度運用要領のポイント」(確認日:2026年9月7日、次回確認:2026年12月7日)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度」(確認日:2026年10月22日、次回確認:2026年11月22日)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(確認日:2026年10月22日、次回確認:2026年11月22日)
次に確認すること
試算ツールは特定技能1号の費用が対象です。育成就労から特定技能1号へ移った後の支援費は「1号特定技能外国人支援の体制」欄に、見積が手元にある費目は「費目別の確認状況」欄に入力します。育成就労の監理支援費や送出し関連の費用は入力欄がありません。