この記事の対象:育成就労外国人の受入れを検討・開始している企業の人事担当者、監理支援機関の担当者、費用の見積りを比べる担当者
1年ごとの一時帰国:旅費は受入れ側が負担し、本人には負担させられない
育成就労計画に1年ごとの一時帰国を組み込む場合、その旅費の負担者は審査基準で決まっています。
運用要領は、1年ごとに一時帰国して一定期間育成就労を休止して行わせる場合、一時帰国に要する旅費を、単独型育成就労は育成就労実施者、監理型育成就労は監理支援機関が負担しなければならないとしています。育成就労主務省令(規則第15条)の体制の基準に、この負担が定められています。
監理支援機関は、「その他諸経費」に関する監理支援費として、この旅費を育成就労実施者から徴収できます。一方で、育成就労外国人に負担させることはできません。事情により航空券をキャンセルした費用や買い直しの費用も、原則として外国人に負担させられないとされています。
一時帰国に要する費用には、送出国へ渡る航空券のほか、空港までの送迎、現地到着後に自宅へ向かう帰路の費用、育成就労を再開するために再び入国する費用も含まれます。
負担の範囲:一般的な経路まで。第三国への変更や転籍のときの扱い
旅費の範囲は、送出国へ渡航できる一般的な経路と方法による移動です。
運用要領は、観光などの自己都合で第三国を経由してから帰国する場合の観光先までの旅費や、自己都合で各種サービスをグレードアップする費用まで、受入れ側に負担を求めるものではないとしています。
反対に、帰国を予定していた実家の家族が隣国などへ移り住み、同居するために一時帰国先を第三国に変える場合は、個別の事情を確認したうえで、その旅費を負担することとされています。
一時帰国は毎年同じ時期に行う計画です。繁忙期などで航空券が高騰していても、計画に基づく適切な時期に帰国させなければなりません。一時帰国の間に育成就労外国人が転籍した場合は、再び入国するための渡航費を、新たに計画の認定を受けた転籍先の育成就労実施者が負担します。
| 場面 | 扱い |
|---|---|
| 航空券・空港送迎・帰路・再入国の費用 | 単独型は育成就労実施者、監理型は監理支援機関が負担 |
| 自己都合の観光先経由・サービスのグレードアップ | 負担を求めるものではない |
| 家族の移住で一時帰国先を第三国へ変更 | 個別の事情を確認のうえ負担 |
| 繁忙期の航空券の高騰 | 時期を変えず計画どおり帰国させる |
| 一時帰国中の転籍 | 再入国の渡航費は転籍先の育成就労実施者が負担 |
育成就労の終了後の帰国:旅費の全額負担と、帰国までの支援
特定技能1号へ変更せずに帰国する人の旅費は、全額が受入れ側の負担です。
運用要領は、育成就労の終了後に特定技能1号の在留資格への変更を希望せず帰国を希望する外国人について、単独型は育成就労実施者、監理型は監理支援機関が帰国旅費の全額を負担することを求めています。監理支援機関は、「その他諸経費」の監理支援費として育成就労実施者から徴収できますが、外国人には負担させられません。航空券のキャンセルや再購入の費用も、原則として外国人に負担させられません。
旅費に加えて、帰国が円滑になされるための措置も必要です。空港までの送迎だけでは足りず、手荷物検査場を通るところまで見届ける、フライトスケジュールを確認して帰国便が確実に出国したことを確かめる、といった対応が運用要領に挙げられています。帰国が困難な事情で在留資格が「特定活動」や「短期滞在」に変わった場合も同様です。
負担するのは、送出国へ渡航して帰宅できる一般的な経路と方法による移動の費用です。
特定技能の空港送迎と帰国旅費の負担者は、空港送迎と帰国旅費のガイドで整理しています。
許可が更新されなかった監理支援機関:後継と契約するまで負担が続く
許可の更新を受けられなかった監理支援機関にも、帰国旅費の全額負担と帰国までの生活面の支援の義務が残ります。
運用要領の第5章は、許可の有効期間の更新を受けられなかった監理支援機関は、後継の監理支援機関が育成就労実施者と監理支援契約を結ぶまで、帰国旅費の負担と帰国が円滑になされる措置を続ける必要があるとしています。後継の機関と協議して、後継の機関が負担と措置を行うこととしても差し支えないとされています。
帰国の予定がなくなった人にまで、永続的な支援は求められていません。例として、在留資格が「家族滞在」へ変わった場合や、専ら本人の責めに帰すべき事由で行方不明となり不法に残留している場合などが挙げられています。
渡航や帰国の費用のように急に必要となる出費に備えて、育成就労実施者が監理支援機関へ金銭を預けていた場合などは、更新しない旨の通知を受けた時点で費用を早急に確定させ、預かった金銭から差し引いて精算することが望ましいとされています。
- 一時帰国を組み込む計画で、旅費の負担者(単独型は実施者、監理型は監理支援機関)を見積りに入れている
- 監理支援費の「その他諸経費」に、帰国旅費の扱いが書かれている
- 航空券のキャンセルや買い直しの費用を、外国人に負担させない取り決めになっている
- 終了後の帰国で、手荷物検査場の通過や出国の確認まで行う手順を決めている
一時帰国を希望したときの休暇:年次有給休暇を使い切っていても配慮が必要
旅費とあわせて、休暇の扱いも決まっています。
運用要領のポイントによると、育成就労実施者は、労働基準法上の年次有給休暇をすべて取得した育成就労外国人から一時帰国の申出があった場合、追加的な有給休暇を取得できるよう配慮しなければなりません。
一時帰国の申出があったときに必要な有給または無給の休暇を取得させることは、雇用契約で定めることとされています。
よくある質問
育成就労の一時帰国の旅費は、誰が負担しますか?
運用要領は、1年ごとの一時帰国の旅費を、単独型育成就労は育成就労実施者、監理型育成就労は監理支援機関が負担するとしています。育成就労外国人に負担させることはできません。
監理支援機関は、帰国旅費を実施者に請求できますか?
運用要領は、監理支援機関が「その他諸経費」に関する監理支援費として、帰国旅費を育成就労実施者から徴収できるとしています。
航空券をキャンセルした費用は本人の負担になりますか?
運用要領は、事情により航空券等をキャンセルした費用や再購入の費用も、原則として育成就労外国人に負担させることはできないとしています。
育成就労が終わったあと、帰国せず特定技能に移る人にも帰国旅費は必要ですか?
運用要領の帰国旅費の規定は、育成就労の終了後に特定技能1号への変更を希望せず帰国を希望する場合に、全額を負担することを求めるものです。個別の扱いは分野を所管する省庁や外国人育成就労機構に確認してください。
参照した公的一次資料
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度 運用要領 ~関係者の皆さまへ~」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日、次回確認:2027年1月3日)
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度 運用要領 第4章(育成就労計画の認定)」(確認日:2026年10月10日、次回確認:2027年2月10日)
- 外国人技能実習機構「育成就労制度運用要領 第5章 監理支援機関の許可等」(確認日:2026年9月24日、次回確認:2026年12月24日)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度運用要領のポイント」(確認日:2026年9月7日、次回確認:2026年12月7日)
次に確認すること
試算ツールは特定技能1号の費用が対象です。育成就労から特定技能1号へ移った後の支援費は「1号特定技能外国人支援の体制」欄に、見積が手元にある費目は「費目別の確認状況」欄に入力します。育成就労の監理支援費や送出し関連の費用は入力欄がありません。