この記事の対象:育成就労制度で監理支援機関の許可を検討する団体、外部監査人への就任を検討する専門職

外部監査人はなぜ必要か(監理支援機関の許可基準における位置づけ)

育成就労の外部監査を担う外部監査人の設置は、技能実習の監理団体の許可基準には無かった、育成就労制度で新たに設けられた要件です。

出入国在留管理庁のQ&Aは、技能実習制度より厳格になった許可基準として、外部監査人の設置と債務超過がないことを挙げています。監理支援を行う育成就労実施者は、原則2者以上必要です。

監理支援事業の実務に従事する常勤役職員は、2人以上必要です。さらに、育成就労実施者数を8で割った数と、育成就労外国人数を40で割った数の両方を超える人数を配置します。

出入国在留管理庁の「育成就労制度運用要領のポイント」も、監理支援事業を適正に遂行する能力の要件として、常勤の監理支援責任者の責任の下で業務運営を行うことに加え、外部監査の措置を講じることを法律上の要求事項として挙げています。監理支援機関の中立性を担保する仕組みの一つが外部監査人です。

監査を行う資格・能力の要件

外部監査人になれるのは、法律専門職か、育成就労の知見を有すると個別に認められる者に限られます。

「育成就労制度運用要領のポイント」は、外部監査人が監査を公正かつ適正に遂行できる資格・能力を持つことを求め、具体的には弁護士・社会保険労務士・行政書士の有資格者(これらの法人を含む)、その他育成就労の知見を有する者である必要があるとしています。

「その他育成就労の知見を有する者」には、出入国又は労働に関する法令について高度な知識・経験を有する者(例として、その分野を研究している大学教授等)、および外部監査人向け講習の実施機関として告示され相当の実績がある者(直近2事業年度のいずれかで講習を20回以上実施している非営利法人)が該当するとされています。出入国在留管理庁のQ&Aも、養成講習を受講していることを要件の一つに挙げています。

  • 弁護士・社会保険労務士・行政書士の有資格者(法人を含む)に該当するか確認した
  • 該当しない場合、出入国・労働法令の高度な知識経験者など「育成就労の知見を有する者」に当たるか確認した
  • 外部監査人向け養成講習の受講状況を確認した

独立性の要件(密接な関係・外部性の判断基準)

資格があっても、監理支援機関や監理支援を行う育成就労実施者と一定の関係があれば就任できません。

外部監査人は、監理支援機関の傘下にある育成就労実施者と密接な関係にあってはなりません。過去5年以内に、その育成就労実施者の役職員であった者が該当例として挙げられています。

その育成就労実施者と顧問契約を結ぶ弁護士や、定期・臨時に会費を受け取る法人も、外部監査の公正を害するおそれがある例です。

外部性の観点では、監理支援機関自身の現役又は過去5年以内の役職員も就任できません。ただし、技能実習制度で監理団体が実習実施者に行う定期監査などの監理事業の業務に携わっていなかった非常勤の外部役員(指定外部役員)は、辞任後5年以内でもこの制限に当たらないとされています。

監理支援機関やその役職員・構成員と社会生活において密接な関係を有し外部監査の公正が害されるおそれがある者(監理支援機関から会費の支払いを受けている法人など)も対象外です。監理支援機関自体と顧問契約を結んでいる弁護士等は、この「社会生活において密接な関係」には直ちに該当しないとされています。

就任できない者の早見表(運用要領 第5章第5の10区分)

運用要領は、外部性を担保するため、次の者を外部監査人にできない者として挙げています。

育成就労制度運用要領(令和8年8月版)の第5章第5は、外部監査人になれない者を①から⑩までの区分で示しています。下の表は、その区分を関係先ごとにまとめたものです。

表の「過去5年以内」は、現在の役職員だけでなく、辞めてから5年が経っていない者も含む意味です。個別の候補者が当たるかどうかの判定は、このページでは行いません。

外部監査人になれない者(運用要領 第5章第5・規則第47条)
区分なれない者5年の期間
①②③ 監理支援を受ける育成就労実施者の側監理支援を行う(過去5年以内に行った)育成就労実施者・その役職員・過去5年以内にそれらであった者、およびその配偶者・二親等以内の親族過去5年以内を含む
④ 監理支援機関自身監理支援機関の役職員、過去5年以内にこれらであった者過去5年以内を含む
⑤ 監理支援機関の構成員分野の事業を営む構成員とその役職員、過去5年以内にこれらであった者過去5年以内を含む
⑥ ほかの育成就労実施者監理支援を行う実施者以外の育成就労実施者・その役職員現在のみ
⑦ ほかの監理支援機関他の監理支援機関・その役職員現在のみ
⑧ 送出機関取次ぎを受ける外国の送出機関・その役職員、過去5年以内にこれらであった者過去5年以内を含む
⑨ 欠格事由のある者監理支援機関の許可の欠格事由に当たる法人、役員に④から⑧の者がいる法人、役員関係の欠格事由に当たる個人(欠格事由による)
⑩ その他公正を害するおそれのある者社会生活において密接な関係を有する者、過去に育成就労で不正等を行った者など個別に判断

外部監査の方法(3か月に1回以上の確認・年1回以上の同行)

外部監査人は、事業所ごとに3か月に1回以上の確認と、1年に1回以上の同行監査を行い、結果を書類にして監理支援機関へ提出します。

規則第47条第3項は、外部監査の方法を2つ定めています。1つ目は、監理支援事業を行う各事業所について、3か月に1回以上の頻度で業務の遂行状況を確認し、結果を記載した書類を監理支援機関に提出することです。確認では、責任役員と監理支援責任者から報告を受けるほか、事業所で設備を確認し、帳簿書類などを閲覧します。

2つ目は、監理支援機関が育成就労実施者に対して行う監査に、各事業所につき1年に1回以上同行して、その監査が適正かを確認し、結果を記載した書類を提出することです。運用要領は、初回の同行を5月10日に行った場合、2回目は翌年5月10日までに行う必要があるという例を示しています。

監理支援機関には、外部監査への協力と、指摘された点の改善が求められます。外部監査人には、育成就労外国人の外部通報窓口としての役割も望まれるとされています。

なお、運用要領の第4章にも「3か月に1回以上」の監査の定めがありますが、これは単独型育成就労実施者が受ける監査の話で、監理支援機関の外部監査とは別のものです。

外部監査人に関わる期間・頻度の数値(運用要領 第5章第5・規則第47条)
項目数値内容
事業所ごとの確認3か月に1回以上報告の聴取、設備の確認、帳簿書類の閲覧を行い、結果を書類で提出
監査への同行1年に1回以上監理支援機関が行う育成就労実施者への監査に同行し、結果を書類で提出
講習の修了時期過去3年以内告示で定める外部監査人向けの講習を修了していること
外部性の期間過去5年以内監理支援機関・育成就労実施者などの役職員だった者は就任できない
実績のある講習実施機関直近2事業年度のいずれかで20回以上講習実施機関が「育成就労の知見を有する者」に当たる場合の実績
  • 事業所ごとに3か月に1回以上の確認の予定を組んだ
  • 監理支援機関の監査への年1回以上の同行を予定に入れた
  • 確認と同行の結果を記載した書類を監理支援機関に提出する手順を決めた
  • 講習の修了日から3年以内か確認した

候補者を確認する手順と公式窓口

個々の候補者が要件を満たすかは、資格証明と関係性の両面を一次資料と照らして確認します。

監理支援機関の許可申請に関するよくある問い合わせは外国人技能実習機構ホームページで公開されており、出入国在留管理庁のQ&Aは、許可基準や申請手続について分からないことがあれば同機構のページを確認するよう案内しています。分野別運用方針・告示・運用要領等も同機構のページに集約されています。

このページは外部監査人の要件を整理したものであり、特定の候補者が要件を満たすかどうかの個別判定は行いません。資格証明書、過去5年の役職員歴、顧問契約や会費支払いの有無など、密接な関係の判断材料を揃えたうえで、外国人育成就労機構への許可申請時に確認してください。

よくある質問

外部監査人になれるのはどんな人ですか?

弁護士・社会保険労務士・行政書士の有資格者(法人を含む)、またはその他育成就労の知見を有する者(出入国・労働法令に高度な知識経験を持つ大学教授等、外部監査人講習の実施機関として告示され実績のある非営利法人など)です。養成講習の受講も要件です。

「密接な関係」とはどのような場合を指しますか?

過去5年以内に、監理支援機関傘下の育成就労実施者の役職員であった場合が該当します。その育成就労実施者と顧問契約を結ぶ場合や、定期・臨時に会費を受け取る場合なども含まれます。

監理支援機関と顧問契約を結んでいる弁護士は外部監査人になれませんか?

監理支援機関自体と顧問契約を結んでいるだけでは、直ちに「社会生活において密接な関係」には該当しないとされています。ただし監理支援機関が監理支援を行う個々の育成就労実施者と顧問契約を結んでいる場合は、密接な関係にある者として就任できません。

外部監査人は監理支援機関の役職員でも就任できますか?

現役又は過去5年以内の役職員は原則就任できません。ただし技能実習制度の定期監査業務に携わっていなかった非常勤の外部役員は、辞任後5年以内でも例外として扱われます。

参照した公的一次資料

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