この記事の対象:育成就労計画の認定申請を準備する企業の経理・総務の担当者、監理支援機関の担当者

何を見られるか:財産的基盤と指導員の数

規則第15条第11号は、指導体制その他の育成就労を継続して行わせる体制が適切に整備されていることを求めます。

運用要領第4章第2節第6(15)は、育成就労を継続して行わせるには、育成就労実施者に一定程度の財産的基盤が必要だとしています。判断は、事業年度末における欠損金の有無、債務超過の有無などから総合的に行われます。

もう1つの観点は指導体制です。育成就労外国人の人数や作業内容に照らして育成就労指導員の数が著しく少ない場合などには、体制を強化し、適切なものにすることが求められます。確認対象の書類は、認定申請書(省令様式第1号、第2号、第3号(1)または第3号(2))、育成就労外国人等に関する申告書(参考様式第1-12号)、直近2事業年度の貸借対照表と損益計算書(または収支計算書)の写しで、債務超過が確認されるときは第三者の評価書が加わります。

決算書類の出し方:税務署に出したもの・設立直後の場合

貸借対照表と損益計算書(収支計算書)は、納税地の所轄税務署長に提出したものの写しが求められます。

損益計算書や収支計算書は、可能な限り事業区分(セグメント)単位で売上額が確認できるものとされています。直近の事業年度の決算は終了しているものの、総会の承認を得ていないため税務署長に提出していない場合は、その決算に係る書類を確実に提出することが確認できる場合に限り、その写しでも差し支えありません。

法人設立直後で直近2事業年度の書類がない場合は、存在するものを提出します。設立後最初の決算期を終了していない法人は、会社法第435条第1項に規定する会社設立時の貸借対照表、または一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第123条第1項(同法第199条で準用する場合を含む)に規定する法人成立時の貸借対照表等を提出します。

継続体制の確認書類(運用要領第4章第2節第6(15))
書類ポイント
育成就労計画認定申請書省令様式第1号、第2号、第3号(1)または第3号(2)
育成就労外国人等に関する申告書参考様式第1-12号
直近2事業年度の貸借対照表と損益計算書(収支計算書)の写し納税地の所轄税務署長に提出したもの。設立直後は存在するものを提出し、最初の決算期前の法人は設立時・成立時の貸借対照表等
債務超過を評価した書面(債務超過が確認される場合のみ)経営評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が、改善の見通しを詳細に評価したもの

債務超過のときの評価書:特に必要な4項目と、認められない例

債務超過が確認されたときは、第三者による改善の見通しの評価書が必要で、特に必要な記載事項が示されています。

運用要領は、評価書が、実施者が安定的継続的に事業を行えることを専門的な知識に基づき評価していることを示すものとして、特に必要な記載事項として次の4つを示しています。債務超過に至った理由、債務超過の改善に向けた具体的かつ効果的な取組み内容、それを踏まえた債務超過の解消見込み時期、評価書の作成日と評価者の職名・氏名です。

「経営に問題はありません。」「経営に問題があるため債務超過となりました。来年までには解消します。」「新たに育成就労外国人を雇用することで経営改善が見込まれます。」のように、債務超過の理由や解消への具体的な取組みが書かれていない評価書は、資料として不十分で認められないと、運用要領は例を挙げています。また、過去に評価書を提出し経営努力を尽くしても債務超過が続き、安定継続的に行わせられる状態への回復が見込まれない実施者は、基準に適合しないものとして育成就労計画が認定されないことがあり得ます。

  • 債務超過に至った理由が具体的に書かれているか
  • 改善に向けた取組みの内容が具体的かつ効果的か
  • 解消見込み時期が書かれているか
  • 評価書に作成日と評価者の職名・氏名があるか

評価者になれる人と、転籍を妨げない義務

評価者は、実施者と関係が構築されていない中小企業診断士、公認会計士、税理士などに限られます。

運用要領は、「経営評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者」を、中小企業診断士、公認会計士、税理士等の資格を有する者のうち、評価対象の実施者との関係が構築されていないと認められる者に限っています。顧問契約等を結んでいる者は、法的な契約が確認できなくても実質的に業務を請け負っていると評価されるものを含めて、評価にあたり間接的に実施者の影響を受けるため適切ではないとされています。

同じ項目には、転籍に関する注意も書かれています。実施者は、育成就労外国人、監理支援機関、転籍先となる実施者から、転籍前までの育成就労計画や渡航に要した航空券の領収書等の写しなどの提供を求められた場合に拒否できません。実施者の変更の申出を拒絶するなどの転籍の妨害行為も認められません。

よくある質問

債務超過だと、育成就労計画は認定されませんか?

債務超過が確認されても直ちに認定されないとは書かれていません。運用要領は、第三者が改善の見通しを詳細に評価した書面の提出を求めています。ただし、経営努力を尽くしても債務超過が続き、回復が見込まれない実施者は、認定されないことがあり得るとしています。

顧問税理士に評価書を書いてもらえますか?

運用要領は、顧問契約等を結んでいる者は適切ではないとしています。評価者は、実施者との関係が構築されていないと認められる中小企業診断士、公認会計士、税理士等に限られます。

設立したばかりで決算書がない場合はどうしますか?

直近2事業年度の書類がない場合は、存在するものを提出します。設立後最初の決算期を終えていない法人は、会社設立時の貸借対照表(会社法第435条第1項)などを提出します。

転籍を希望する外国人から、これまでの計画の写しを求められたら断れますか?

運用要領は、外国人、監理支援機関、転籍先の実施者から転籍前までの育成就労計画や航空券の領収書等の写しの提供を求められた場合、拒否できないとしています。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

この記事の条件を引き継いで、未確認費目を整理する

申請・届出で使う入管庁の参考様式を一覧で比べる

試算ツールは特定技能1号の費用が対象です。育成就労から特定技能1号へ移った後の支援費は「1号特定技能外国人支援の体制」欄に、見積が手元にある費目は「費目別の確認状況」欄に入力します。育成就労の監理支援費や送出し関連の費用は入力欄がありません。