この記事の対象:特定技能外国人を雇う受入れ企業の総務・安全衛生担当者、寮や職場の喫煙ルールを決める担当者、登録支援機関の担当者

健康増進法は管理権原者に義務を、労働安全衛生法は事業者に努力義務を課す

職場の受動喫煙防止は、健康増進法と労働安全衛生法の2つで決まります。厚生労働省のガイドラインは、両方で実施する事項を一体的に示しています。

管理権原者とは、施設を管理する立場にあり、喫煙できる場所を決められる人を指します。健康増進法第29条は、正当な理由がなくて、第二種施設では喫煙専用室などの場所以外の屋内で喫煙してはならないと定めています。第二種施設は、第一種施設(学校・病院・行政機関の庁舎など)と喫煙目的施設以外の多数の者が利用する施設で、ガイドラインは一般の事務所や工場、飲食店も含まれるとしています。

労働安全衛生法第68条の2は、事業者は室内またはこれに準ずる環境での労働者の受動喫煙を防止するため、事業者と事業場の実情に応じた適切な措置を講じるよう努めるものとすると定めています。努力義務ですが、ガイドラインは事業者が実施すべき事項を具体的に示しています。条文は国籍で扱いを分けていません。

職場の受動喫煙防止を定める2つの法律
法律対象内容
健康増進法施設の管理権原者など第二種施設(一般の事務所・工場を含む)は原則屋内禁煙。喫煙専用室などは基準と標識が必要
労働安全衛生法第68条の2事業者労働者の受動喫煙を防止する適切な措置を講じる努力義務
ガイドライン(令和元年7月1日基発0701第1号)事業者両法で実施する事項を一体的に示したもの。事業者と管理権原者が異なるときは連携する

事務所や工場は屋内禁煙が原則で、喫煙専用室は3つの基準と標識が要る

ガイドラインは、第二種施設では、技術的基準に適合した室を除き、労働者に施設の屋内で喫煙させないことを求めています。

喫煙専用室の技術的基準は、出入口で室外から室内へ流れ込む空気の気流が毎秒0.2メートル以上であること、壁や天井で区画されていること、たばこの煙が屋外または外部の場所に排気されていることの3つです。喫煙専用室の中で飲食などをすることは認められません。

喫煙専用室の出入口と施設の主たる出入口には標識を掲示します。喫煙専用室の標識には、専ら喫煙できる場所であることと、20歳未満の者の立入りが禁止されていることを記載します。施設の主たる出入口に掲示する喫煙専用室設置施設等の標識(第33条第3項)に違反した場合は、50万円以下の過料の定めがあります(第76条第2号)。

加熱式たばこ(指定たばこ)のみ吸える指定たばこ専用喫煙室は、同じ煙の流出防止の基準を満たす必要があります。こちらは飲食などが認められていますが、事業者は受動喫煙を望まない人が室内で業務や飲食を避けられるよう配慮します。

第二種施設の屋内喫煙場所(ガイドラインの整理)
種類吸えるたばこ室内での飲食必要な標識
喫煙専用室紙巻たばこなど認められない喫煙専用室の出入口と施設の主たる出入口
指定たばこ専用喫煙室加熱式たばこのみ認められている標識の内容はガイドラインと施行規則で確認

20歳未満の労働者は、喫煙専用室に立ち入らせず、職員寮の個室でも措置をとる

健康増進法第33条第5項は、喫煙専用室設置施設等の管理権原者等は、20歳未満の者を喫煙専用室に立ち入らせてはならないと定めています。

ガイドラインは、事業者は20歳未満の労働者を喫煙専用室等に案内してはならず、業務を行わせないようにするとしています。喫煙専用室等の清掃作業も含まれます。20歳未満と思われる者が立ち入ろうとしているときは、管理権原者等への声掛けや年齢確認で立ち入らせないようにします。

健康増進法第40条は、人の居住の用に供する場所などをこの節の規定の適用除外にしています。一方、ガイドラインは、適用除外の場所である宿泊施設の客室(個室)や職員寮の個室、業務車両内などについても、望まない受動喫煙を防止するため、20歳未満の者が喫煙可能な場所に立ち入らないよう措置を講じるとしています。寮の個室の喫煙ルールは、このガイドラインの記載を確認して決めます。

寮の運営の決まりは社宅・寮の規程で確認できます。

  • 20歳未満の労働者がいるかを、生年月日で確認した
  • 喫煙専用室の清掃や点検を20歳未満の労働者に任せていない
  • 喫煙専用室の出入口に、20歳未満の立入禁止を記載した標識がある
  • 職員寮の個室で喫煙を認める場合、20歳未満の者が喫煙可能な場所に立ち入らない措置を決めた

衛生委員会で方針を決め、求人で措置を明示する

ガイドラインは、事業者が衛生委員会・安全衛生委員会などの場を通じて、労働者の意識や意見を把握し、事業場の実情に応じた措置を決めるとしています。

組織的な進め方として、推進計画の策定、担当部署や担当者の指定、労働者の健康管理、標識の掲示、教育や相談対応が挙げられています。受動喫煙防止対策の状況は、衛生委員会等の調査審議事項にします。

労働者の募集と求人の申込みでは、就業の場所での受動喫煙を防止する措置に関する事項を明示します。例として、敷地内や屋内の全面禁煙、原則禁煙で喫煙専用室などを設けていること、屋内で喫煙が可能であることが挙げられています。妊娠している労働者や呼吸器・循環器に疾患がある労働者などには、特に配慮します。

実際の標識や喫煙室の基準の適合、過料の扱いは、管轄の保健所や都道府県労働局に確認してください。当サイトは個別の事案への助言をしません。

衛生委員会などの設置基準は安全衛生管理体制で確認できます。

  • 衛生委員会等で、事業場の受動喫煙防止の方針を議題にした
  • 担当部署または担当者を決めた
  • 求人の申込みや募集の文面に、受動喫煙を防止する措置を明示した
  • 妊娠中の労働者などへの特別な配慮の窓口を決めた

よくある質問

事務所の中に喫煙所を設けてもよいですか?

第二種施設の事務所は原則屋内禁煙です。ガイドラインは、煙の流出を防ぐ技術的基準に適合した喫煙専用室などを除き、労働者に屋内で喫煙させないとしています。

喫煙専用室の技術的基準は何ですか?

ガイドラインは、出入口で室外から室内へ流れ込む気流が毎秒0.2メートル以上、壁や天井などで区画、たばこの煙が屋外または外部の場所に排気されていることの3つを挙げています。

20歳未満の労働者に清掃を任せてもよいですか?

ガイドラインは、20歳未満の労働者を喫煙専用室等に立ち入らせて業務を行わせないとし、清掃作業も含まれるとしています。

労働安全衛生法の受動喫煙防止は義務ですか?

第68条の2は、事業者に適切な措置を講じるよう努めるものとすると定める努力義務です。健康増進法の義務は、管理権原者などに別に課されています。

参照した公的一次資料

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