この記事の対象:就業規則に慶弔休暇などの特別休暇を定める、または定めを見直す受入れ企業の人事・労務担当者、登録支援機関の担当者
法律で定める休暇と、会社が決める休暇
厚生労働省のモデル就業規則は、慶弔休暇と病気休暇について、労働基準法上必ず定めなければならないものではないと説明しています。各事業場で必要な期間を具体的に定めるよう求めています。
同じ解説は、不妊治療休暇についても、労働関係法令上必ず定めなければならないものではないとしています。また、制度は労働者の性別や雇用形態にかかわらず取得できるものにするよう求めています。
一方、裁判員を務める場合や、法定の選挙運動期間中に選挙運動を行う場合などで、労働者が必要な時間を請求したときは、労働基準法第7条により、使用者は拒めません。モデル就業規則の解説も、この点を説明しています。
モデル就業規則の慶弔休暇の例は、本人の結婚、妻の出産、配偶者・子・父母の死亡、兄弟姉妹・祖父母・配偶者の父母または兄弟姉妹の死亡を挙げ、日数は空欄です。日数や対象の範囲は、会社が決めます。
法律で定められた年次有給休暇は年次有給休暇のガイドで確認できます。
| 休暇 | 法律で必ず定めるか | 資料の説明 |
|---|---|---|
| 慶弔休暇 | いいえ(必ず定めなければならないものではない) | 各事業場で必要な期間を具体的に定める |
| 病気休暇 | いいえ(同上) | 私的な負傷または疾病の療養が対象の例 |
| 不妊治療休暇 | いいえ | 性別や雇用形態にかかわらず取得できるものとする |
| 裁判員等のための休暇 | 請求された時間は拒めない(労働基準法第7条) | 必要な日数・時間を与える例 |
慶弔休暇など法定外休暇を就業規則に定める事項と賃金の扱い
労働基準法第89条は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に、就業規則の作成と届出を義務づけています。就業規則に必ず記載する事項の一つが「休暇」です。
同条第1号は、始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇などを挙げています。休暇を会社が設ける場合は、取得できる条件や日数を就業規則に書くことになります。作成や変更の際は、第90条により、過半数組合または過半数代表者の意見を聴き、その意見を記した書面を届出に添えます。
モデル就業規則の「休暇等の賃金」の例は、年次有給休暇の期間には通常の賃金を支払うとし、産前産後休業から裁判員等のための休暇までは、「無給」か「通常の賃金を支払うこと」のどちらかを選ぶ形です。特別休暇を有給にするか無給にするかは、会社が就業規則で決めます。
有給か無給かが書かれていないと、取得した本人が賃金の扱いを確認できません。賃金の扱いは、雇用契約書や労働条件通知書の内容とあわせて確認します。
就業規則の作成・届出・周知の手続は就業規則の届出のガイドで確認できます。
特別休暇は年5日の年休から差し引けない
厚生労働省のリーフレットは、会社が独自に設ける有給の特別休暇を取得した日数は、使用者が時季指定すべき年5日の年次有給休暇から控除できないと説明しています。
同じリーフレットは、特別休暇を労働日に変更して、その日に年次有給休暇を時季指定することを望ましくない取扱いとしています。
また、年次有給休暇の年5日の義務化を契機に特別休暇を廃止して、年次有給休暇に振り替えることは、法改正の趣旨に沿わないとしています。特別休暇などの労働条件の変更は、労働者と使用者が合意して行うことが原則です。労働契約法第8条も、労働者と使用者はその合意により労働条件を変更できると定めています。
なお、リーフレットの対象は、法定の年次有給休暇の日数を上乗せして付与するものを除く有給の特別休暇です。自社の休暇がこれに当たるかは、労働基準監督署などで確認してください。
年5日の取得義務の全体は年次有給休暇のガイドで確認できます。
| 場面 | リーフレットの説明 |
|---|---|
| 特別休暇を取得した日数 | 年5日の時季指定から控除できない |
| 特別休暇の日に年休を時季指定する | 望ましくない取扱い |
| 特別休暇を廃止して年休に振り替える | 法改正の趣旨に沿わない。変更は合意が原則 |
国籍を理由にした差別の禁止と、特定技能の確認点
労働基準法第3条は、使用者が労働者の国籍、信条、社会的身分を理由に、賃金、労働時間その他の労働条件について差別的取扱いをしてはならないと定めています。
慶弔休暇や病気休暇の対象、日数、賃金の扱いを就業規則で決めたら、特定技能外国人にも同じ規定が適用されるかを確認します。国籍を理由に別の扱いにすることは、第3条が禁じる差別的取扱いに当たり得ます。
第3条が対象にするのは賃金、労働時間その他の労働条件で、休暇の日数や休暇中の賃金の扱いもこれに含まれます。
一時帰国を希望されたときの休暇の扱いは、別のガイドで整理しています。
一時帰国の休暇の扱いは一時帰国と休暇のガイドで確認できます。
- 慶弔休暇・病気休暇の対象と日数を、就業規則に書いた
- 休暇中の賃金を有給にするか無給にするかを決めて明記した
- 特別休暇を年5日の年次有給休暇に数えていない
- 特定技能外国人にも日本人と同じ規定を適用している
- 休暇の変更は、労働者との合意と就業規則の変更手続を踏んでいる
よくある質問
慶弔休暇は、法律で必ず与えなければなりませんか?
厚生労働省のモデル就業規則は、慶弔休暇について、労働基準法上必ず定めなければならないものではないとしています。設ける場合は、日数や対象を会社が決め、就業規則に書きます。
特別休暇を取った日は、年5日の年次有給休暇に数えられますか?
厚生労働省のリーフレットは、会社が独自に設ける有給の特別休暇を取得した日数は、使用者が時季指定すべき年5日の年次有給休暇から控除できないとしています。
特別休暇を廃止して、年次有給休暇に振り替えられますか?
リーフレットは、特別休暇の廃止による年次有給休暇への振替を、法改正の趣旨に沿わないとし、労働条件の変更は労働者と使用者の合意が原則としています。変更の手続は、労働基準監督署などに確認してください。
外国人だけ、慶弔休暇の日数を変えてもよいですか?
労働基準法第3条は、国籍を理由にした労働条件の差別的取扱いを禁じています。就業規則の休暇の規定は、特定技能外国人にも同じように適用されるかを確認します。
参照した公的一次資料
- 厚生労働省「モデル就業規則」令和7年12月版(確認日:2026年10月17日、次回確認:2027年1月17日)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日、次回確認:2027年1月8日)
- 厚生労働省「年次有給休暇の時季指定義務と特別休暇」リーフレット(確認日:2026年10月17日、次回確認:2027年1月17日)
- 厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」(東京労働局掲載)(確認日:2026年10月13日、次回確認:2027年4月13日)
- e-Gov法令検索「労働契約法」(確認日:2026年10月13日、次回確認:2027年4月13日)