この記事の対象:特定技能外国人の退職・帰国時の賃金精算を担当する受入れ企業の人事・労務担当者、登録支援機関の担当者
退職日までに払わない賃金には、翌日から遅延利息がつく
賃金の支払の確保等に関する法律(賃確法)第6条は、退職した労働者の賃金を退職日までに支払わなかった事業主に、遅延利息の支払いを義務づけています。
第6条第1項によると、事業主は、事業を退職した労働者の賃金の全部または一部を退職の日までに支払わなかった場合、退職の日の翌日から支払いをする日までの日数に応じて、まだ支払われていない賃金の額に一定の率をかけた金額を遅延利息として支払わなければなりません。退職の日より後に支払期日が来る賃金は、その支払期日が基準になります。
率は、法が「年14.6パーセントを超えない範囲内で政令で定める率」とし、施行令第1条が年14.6パーセントと定めています。条文は労働者の国籍で扱いを分けていないため、帰国した特定技能外国人の賃金にも同じ規定が当てはまるのが基本です。
遅延利息の対象は賃金で、退職手当は除かれています(第6条第1項のかっこ書き)。退職手当の支払いが遅れた場合の扱いは、この条文の対象外です。
| 項目 | 内容 | 確認する条文 |
|---|---|---|
| 対象 | 退職した労働者の賃金(退職手当を除く) | 法第6条第1項 |
| 利息の期間 | 退職の日の翌日から支払いをする日まで(退職の日後に支払期日が来る賃金は、その支払期日) | 法第6条第1項 |
| 利率 | 年14.6パーセント | 施行令第1条 |
| 利息がつかない期間 | 天災地変など、規則が定める事由が続く期間 | 法第6条第2項・施行規則第6条 |
金額の目安:未払い20万円が30日遅れると約2,400円
遅延利息は、未払いの賃金の額に年14.6%をかけ、遅れた日数で日割りして計算するのが基本です。次の数字は、条文の率を使った計算例で、実際の金額は個別の事情で変わります。
たとえば、退職日までに払われなかった賃金が20万円で、30日遅れて支払う場合、20万円に年14.6%をかけた2万9,200円を365日で割り、30日分をかけると2,400円になります。この例は、1年を365日として日割りした目安で、端数処理など細かな扱いは労働基準監督署に確認してください。
金額が小さく見えても、遅延利息は賃金そのものとは別に支払う義務です。退職時に賃金を精算し忘れた、帰国後の振込先が分からないといった場合も、退職日までに払わなければ利息が発生する仕組みです。
具体的な金額の計算や請求の方法は、所轄の労働基準監督署に確認してください。当サイトは個別の事案への助言をしません。
利息がつかない場合:天災地変、破産、争いがあるときなど
支払いの遅れがやむを得ない事由によるときは、その事由が続く期間について、遅延利息の規定は適用されません。事由は施行規則第6条に列挙されています。
施行規則第6条は、やむを得ない事由として、天災地変、事業主が破産手続開始の決定を受けることなど(施行令第2条第1項各号に掲げる事由のいずれかに当たること)、法令の制約により賃金の支払いに充てる資金の確保が困難であること、支払いが遅れている賃金の存否に関して合理的な理由により裁判所または労働委員会で争っていること、そのほか前の各号に準じる事由を挙げています。
事務の遅れや担当者の不在、資金繰りの都合は、この列挙に入っていません。列挙のどれに当たるかは個別に判断されるため、当てはまりそうな場合は労働基準監督署に確認してください。
請求から7日以内に賃金を払う義務(労働基準法第23条)
労働基準法第23条は、労働者が退職した場合に、権利者の請求があれば、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金などの金品を返還するよう求めています。
第23条第1項は、使用者に対し、労働者の死亡または退職の場合に権利者の請求があったときは、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称を問わず労働者の権利に属する金品を返還するよう定めています。賃金や金品に争いがある場合でも、使用者は、異議のない部分を同じ期間内に支払い、または返還します(同条第2項)。
賃確法第6条の遅延利息は、退職日までに払われなかった賃金に対するものです。労働基準法第23条の7日以内の支払い義務とは別の規定なので、退職時の精算では両方を確認します。
帰国する特定技能外国人の場合は、帰国前に最終月の賃金と積立金・保証金などの精算を済ませ、受取方法(本人名義の口座など)を確認しておくと、請求を受けてから慌てずに済みます。
- 退職日までに支払うべき賃金(残業代・手当を含む)の額を確認したか
- 退職日の後に支払期日が来る賃金がある場合、その支払期日を確認したか
- 賃金を退職日までに支払えない場合、遅延利息(年14.6%)が発生することを把握したか
- 積立金・保証金・貯蓄金など、返還が必要な金品がないか確認したか
- 本人から請求があれば7日以内に支払えるよう、受取口座を確認したか
- 支払いの遅れが施行規則第6条の事由に当たるか迷うとき、労働基準監督署に確認したか
よくある質問
退職日までに賃金を払わないと、利息がつきますか?
つきます。賃確法第6条は、退職日までに払われなかった賃金について、退職日の翌日から支払いの日まで、年14.6%の遅延利息を支払うよう事業主に義務づけています(施行令第1条)。
退職金が遅れた場合も、年14.6%の遅延利息がつきますか?
賃確法第6条の対象は賃金で、退職手当は除かれています。退職手当の遅れについては、この条文は適用されません。
帰国した外国人の賃金にも適用されますか?
条文は国籍で分けていないため、基本的には同じ規定が当てはまります。個別の事案は、労働基準監督署に確認してください。
遅延利息がつかないのはどんなときですか?
施行規則第6条が定める事由が続く期間です。事由は、天災地変、事業主の破産手続開始の決定、法令の制約による資金確保の困難、賃金の存否を裁判所や労働委員会で争っていることなどです。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「賃金の支払の確保等に関する法律」第6条(退職労働者の賃金に係る遅延利息)(確認日:2026年10月18日、次回確認:2027年1月23日)
- e-Gov法令検索「賃金の支払の確保等に関する法律施行令」第1条(遅延利息の率)(確認日:2026年10月18日、次回確認:2027年1月24日)
- e-Gov法令検索「賃金の支払の確保等に関する法律施行規則」第6条(遅延利息に係るやむを得ない事由)(確認日:2026年10月18日、次回確認:2027年1月25日)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日、次回確認:2027年1月8日)