この記事の対象:特定技能外国人の在留期間更新・在留資格変更に関わる受入れ企業の人事担当者、登録支援機関の担当者

許可の根拠:法務大臣が「相当の理由」を認めたときに限る

更新も変更も、申請すれば必ず許可されるものではなく、入管法が「相当の理由があるときに限り」許可できると定めています。

入管法第21条第3項は、在留期間の更新について、法務大臣が提出された文書により更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可できると定めています。第20条第3項も、在留資格の変更について同じ書き方です。

入管庁のガイドラインは、この「相当の理由」があるかどうかの判断が、専ら法務大臣の自由な裁量に委ねられているとしています。申請者の行おうとする活動、在留の状況、在留の必要性などを総合的に勘案して行うと書かれています。

このガイドは制度の説明です。個別の申請が許可されるかどうかは、このサイトでは判断できません。

ガイドラインの8項目:どれが許可の要件で、どれが考慮要素か

ガイドラインは、判断の際に考慮する事項を1から8まで挙げ、その重みを分けて書いています。

1の在留資格該当性は、許可する際に必要な要件です。2の上陸許可基準は、原則として適合していることが求められます。3以下は、相当の理由があるかどうかを判断するときの代表的な考慮要素とされています。

ガイドラインは、3以下の事項にすべて該当する場合でも、すべての事情を総合的に考慮した結果、変更や更新を許可しないこともあると書いています。8項目を満たせば許可が約束されるという意味ではありません。

在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドラインの考慮事項(最終改正令和8年6月)
番号考慮事項ガイドラインの位置づけ
1行おうとする活動が、申請に係る入管法別表の在留資格に該当すること許可する際に必要な要件
2法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること原則として適合が必要
3現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと考慮要素。正当な理由なく行っていない場合は消極的な要素
4素行が不良でないこと考慮要素。良好でない場合は消極的な要素
5独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること考慮要素。世帯単位で認められれば足りる
6雇用・労働条件が適正であること考慮要素。アルバイトを含めて労働関係法規に適合している必要
7納税義務等を履行していること考慮要素。履行していない場合は消極的な要素
8入管法に定める届出等の義務を履行していること考慮要素。中長期在留者が対象

受入れ企業が日頃から確認できる3項目:労働条件・納税等・届出

8項目のうち、受入れ企業の日常の管理と重なるのは、6の雇用・労働条件、7の納税義務等、8の届出です。

6の雇用・労働条件について、ガイドラインは、就労している場合にアルバイトを含めて労働関係法規に適合していることが必要だとしています。労働関係法規違反で勧告等が行われたことが判明した場合は、通常は申請人である外国人に責任はないため、この点を十分に勘案して判断されると書かれています。

7の納税義務等について、ガイドラインは、高額の未納や長期間の未納などが判明した場合で悪質なものは、消極的な要素になるとしています。対象には、国民健康保険料など法令によって納付することとされているものも含まれます。令和8年6月の改正では、この項目の注書きの追記などが行われました。

8の届出について、ガイドラインは、在留カードの記載事項に係る届出、在留カードの有効期間更新申請、再交付申請、返納、所属機関等に関する届出などの義務を履行していることを求めています。

このほか、ガイドラインは、申請時に窓口で健康保険証等の提示を求めていますが、健康保険証等を提示できないことを理由に不許可とすることはないと書いています。

特定技能の変更・更新で確認される納税・保険料の書類は、納税・保険料の書類のガイドで確認できます。

  • 本人の雇用条件が労働関係法規に適合しているか確認した
  • 住民税・国民健康保険料などの納付状況を、本人と確認した
  • 在留カードの記載事項や所属機関に関する届出を、期限内に行った
  • 申請時に窓口へ提示する健康保険証等の準備を本人に案内した

入管庁が公表した不許可事例9件:多くは在留状況の問題

入管庁は令和2年9月に、更新と変更の不許可事例9件を公表しています。いずれも特定技能の事例ではありませんが、判断の考え方が分かります。

公表資料は、「相当の理由」があるかどうかを、申請した外国人の在留状況、在留の必要性、相当性等を総合的に勘案して判断していると説明しています。

9件のうち、事例1・2・4・6・7は、罰金や刑、資格外活動許可を受けない長期間の就労などを理由に、在留状況に問題があるとされたものです。事例5は、更新申請で提出した源泉徴収票上の住所地と届け出た住居地が異なり、調べたところ虚偽申請と分かったものです。

事例3は、在学状況や在留状況に特段の問題はなかったものの、同じ学校の同じ課程でもう一度教育を受けることに合理的な理由が認められなかったものです。事例8と9は、在留を認めるべき事情がないとされた変更申請です。

公表された不許可事例9件の概要(令和2年9月公表)
事例申請の種類不許可とされた理由の要点
1更新(経営・管理)不法就労助長罪で罰金30万円。在留状況に問題
2更新(技術・人文知識・国際業務)児童ポルノに係る行為等を規制する法律の違反で罰金50万円。在留状況に問題
3更新(留学)同一校の同一課程で再度教育を受けることに合理的理由が認められない
4更新(定住者)詐欺・窃盗で懲役2年・執行猶予4年が確定。在留状況に問題
5更新(定住者)住居地について虚偽の申請をしていたことが判明
6変更(日本人の配偶者等から技術・人文知識・国際業務)大麻取締法違反等で執行猶予付き懲役刑。在留状況に問題
7変更(家族滞在から留学)資格外活動許可を受けず風俗営業店で長期間就労。在留状況に問題
8変更(日本人の配偶者等から定住者)在留歴約1年3か月で、離婚の事情や日本社会への定着性から在留を認めるべき事情がない
9変更(技術・人文知識・国際業務から定住者)本人は、より広範で安定した活動を行いたいとして申請。変更を認めるべき事情がないとされた

申請のタイミング:更新の申請時期と、不明点の確認

更新を申請できる時期は、入管庁の手続ページに書かれています。

入管庁の更新許可申請のページによると、申請は在留期間の満了する日以前に行います。6か月以上の在留期間を持つ人は、満了する3か月前から申請できます。

納税や届出に不明な点がある場合は、申請の直前ではなく、余裕のある時期に本人と確認しておくと、書類の準備や窓口への相談に時間を使えます。不許可になったあとの再申請や取れる手段は事情によって異なるため、管轄の出入国在留管理局か、申請取次の資格を持つ行政書士などの専門家に確認してください。

申請を企業の職員が取り次げるかどうかは、申請等取次者のガイドで確認できます。

よくある質問

在留期間の更新を申請すれば、必ず許可されますか?

いいえ。入管法第21条第3項は、法務大臣が更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可できると定めています。ガイドラインの考慮事項にすべて該当しても、総合的な判断で許可されないこともあると書かれています。

健康保険証を出せないと、不許可になりますか?

ガイドラインは、健康保険証等を提示できないことで在留資格の変更や在留期間の更新を不許可とすることはないと書いています。申請時には、マイナポータルの資格情報画面や資格確認書などの提示を求めています。

公表された不許可事例に、特定技能の事例はありますか?

令和2年9月の公表資料の9件は、経営・管理、留学、定住者などの事例で、特定技能の事例は含まれていません。判断の考え方を知る資料として読みます。

住民税や国民健康保険料の未納は、審査に影響しますか?

ガイドラインは、納税義務等を履行していない場合は消極的な要素として評価されるとしています。高額の未納や長期間の未納などで、悪質なものが対象とされています。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

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