この記事の対象:特定技能外国人を雇う企業の人事・労務担当者

対象は妊産婦:妊娠中と産後1年以内の女性が請求したとき

労働基準法第66条の制限は、妊産婦が請求した場合に働きます。妊産婦とは、妊娠中の女性と産後1年を経過しない女性です(第64条の3第1項)。

特定技能の外国人であっても、労働基準法は同じように適用されます。第3条は、国籍を理由とした賃金・労働時間その他の労働条件の差別的取扱いを禁じています。

制限は本人の請求が前提です。条文には請求の方法の定めがないため、申出の受け方を社内で決めておくときは、労働基準監督署に確認すると安全です。なお、産後8週間は第65条第2項で就業させられない期間で(産後6週間を過ぎた本人の請求と医師の判断がある場合の例外あり)、この記事の制限とは別の規定です。

制限される3つ:法定時間の超過、時間外・休日労働、深夜業

請求があったとき、使用者は、法定労働時間を超える労働、時間外労働、休日労働、深夜業をさせることができません(第66条)。

第1項は変形労働時間制との関係を定めています。1か月・1年・1週間の変形労働時間制(第32条の2・第32条の4・第32条の5)をとっていても、請求があれば、1週40時間と1日8時間(第32条)を超えて働かせることはできません。

第2項は時間外労働と休日労働です。災害等による臨時の必要がある場合の延長(第33条第1項・第3項)や、36協定による延長(第36条第1項)があっても、請求した妊産婦には時間外労働も休日労働もさせられません。第3項は深夜業で、深夜は午後10時から午前5時までです。

厚生労働省の用語辞典は、時間外労働を法定労働時間(1日8時間・1週40時間)を超える労働、休日労働を法定休日の労働と説明しています。

労働基準法第66条の制限(いずれも妊産婦の請求が必要)
項制限される働かせ方他の定めとの関係
第1項1日8時間・1週40時間を超える労働変形労働時間制(第32条の2・第32条の4・第32条の5)があっても制限される
第2項時間外労働・休日労働災害等の臨時の必要(第33条)や36協定(第36条)があっても制限される
第3項深夜業(午後10時から午前5時)請求した妊産婦には深夜業をさせられない
  • 妊産婦かどうか(妊娠中、または産後1年以内)を確認している
  • 請求を受けたら、その日から時間外労働・休日労働・深夜業をさせない勤務に直している
  • 変形労働時間制でも1日8時間・1週40時間を超えない勤務にしている

軽易な業務への転換:妊娠中の女性が請求したとき

使用者は、妊娠中の女性が請求した場合、他の軽易な業務に転換させなければなりません(第65条第3項)。

対象は妊娠中の女性です。第66条のように産後1年以内までは広がっていません。条文は、どの業務が軽易にあたるかを具体的に定めていません。

厚生労働省の用語辞典は、妊娠した女性にとって負担の大きい作業や職場環境の例として、長時間の立ち仕事、前屈み作業、重量物の取り扱い、休憩がとれないこと、職場のにおいなどを挙げています。転換先の業務の選び方で迷うときは、都道府県労働局や労働基準監督署に確認してください。

妊産婦を重量物の取扱いや有害ガスを発散する場所の業務などに就かせることは、請求の有無にかかわらず禁止されています(第64条の3。具体的な業務は女性労働基準規則第2条)。

請求したことを理由にした不利益取扱いは禁止

男女雇用機会均等法第9条第3項は、妊娠・出産に関する事由を理由にした解雇その他の不利益取扱いを禁じています。その事由は厚生労働省令で定められています。

施行規則第2条の2は、その事由に、軽易な業務への転換を請求したこと(第6号)、第66条の請求をしたことや時間外・休日・深夜業をしなかったこと(第7号)などを含めています。請求したことを理由に、解雇、降格、減給をすることはできません。

妊娠中と出産後1年以内の女性に対する解雇は無効です。ただし、事業主が、妊娠・出産等を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りではありません(均等法第9条第4項)。

守らないと罰則:6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金

第66条に違反すると、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になります(第119条第1号)。第65条第3項も同じ号に含まれます。

第41条は、農業・水産業(林業を除く)などの事業に従事する者や、監督・管理の地位にある者などに、労働時間・休憩・休日の規定を適用しないと定めています。第66条の制限がこの適用除外とどう関係するかは、個別の事業や働き方で判断が分かれるため、農業や漁業の受入れ企業は労働基準監督署に確認してください。

請求を受けたときは、勤務をどう変えるかを本人に説明して、双方の認識を合わせます。賃金の扱いは、就業規則や賃金規程の定めに沿って確認してください。

よくある質問

妊産婦の時間外・深夜業の制限は、本人が言わなくても適用されますか?

第66条の制限は、妊産婦が請求した場合に働きます。請求がなければ、この規定による制限は生じません(第66条)。

産後どのくらいの間、制限を請求できますか?

妊産婦は、妊娠中の女性と産後1年を経過しない女性です(第64条の3第1項)。産後1年を経過するまでは、第66条の請求ができます。

軽易な業務への転換は、産後でも請求できますか?

第65条第3項は「妊娠中の女性が請求した場合」と定めており、条文の対象は妊娠中です。産後の就業や勤務については、第66条の請求や母性健康管理措置を確認してください。

変形労働時間制で働いていても制限されますか?

はい。第66条第1項により、妊産婦が請求した場合は、変形労働時間制をとっていても、1週40時間・1日8時間を超えて働かせることはできません。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

この記事の条件を引き継いで、未確認費目を整理する