この記事の対象:特定技能外国人を雇う企業の人事・労務担当者

事業主の義務は2つ:健診の時間の確保と、指導事項を守れる措置

母性健康管理措置は、男女雇用機会均等法の第17条と第18条が事業主に課す義務です。対象は、妊娠中と出産後1年以内の女性労働者で、国籍や在留資格による区別は条文にありません。

第17条は、女性労働者が母子保健法による保健指導または健康診査を受けるために必要な時間を確保することを義務づけています。時間の取り方は厚生労働省令(施行規則)で定められています。

第18条は、保健指導または健康診査に基づく指導事項を女性労働者が守れるように、勤務時間の変更、勤務の軽減など必要な措置を講じることを義務づけています。措置の具体的な内容は、厚生労働大臣が定める指針に沿って判断します。

女性にやさしい職場づくりナビ(厚生労働省委託)は、事業主が講じる措置を、妊娠中の通勤緩和、妊娠中の休憩に関する措置、妊娠中または出産後の症状等に対応する措置の3つに整理しています。

健診の時間は妊娠週数で変わる:4週・2週・1週に1回

妊娠中は、妊娠23週までは4週に1回、24週から35週までは2週に1回、36週から出産までは1週に1回、受診の時間を確保します。医師または助産師が別の指示をしたときは、その指示に従います。

この間隔は、施行規則第2条の5の表に定められています。出産後1年以内は、医師または助産師が保健指導や健康診査を受けるよう指示したときに限り、その指示どおりに時間を確保します。

施行規則は、確保する間隔を定めています。1回あたりの時間数を一律に決める記載は、確認した範囲にありません。

事業主が一方的に年次有給休暇を使って通院するよう指示することは、厚生労働省のQ&Aで認められないとされています。本人が自ら希望して年次有給休暇を取ることは妨げません。

健診の時間を確保する間隔(施行規則第2条の5)
時期確保する間隔ただし書き
妊娠23週まで4週に1回医師または助産師が異なる指示をしたときはその指示に従う
妊娠24週から35週まで2週に1回同上
妊娠36週から出産まで1週に1回同上
出産後1年以内医師または助産師が指示したときその指示するところによる

母健連絡カードは指示を伝える道具:カードが無くても措置は必要

母健連絡カードは、医師等の指導内容を事業主に的確に伝えるための様式です。提出されたら、事業主は記載内容に応じた適切な措置を講じる必要があります。

措置の例として、厚生労働省の案内は、通勤緩和では時差通勤を30分から60分程度、勤務時間の短縮では1日1時間から2時間程度、休憩では時間の延長・回数の増加・時間帯の変更を挙げています。実際の措置は、カードに書かれた指示の内容に合わせます。

厚生労働省のQ&Aは、カードの提出がなくても、指導内容が明確であれば事業主は必要な措置を講じる必要があるとしています。カードの様式は指針に定められており、女性にやさしい職場づくりナビからダウンロードできるほか、多くの母子健康手帳に様式が載っています。

外国語併記の様式も同サイトで公開されています。

措置の間の賃金は法律に定めがない:不利益な扱いは別に禁止される

健診の時間や短縮した勤務時間を有給にする義務を定めた記載は、確認した範囲にありません。厚生労働省は、有給か無給かは会社の規定によるとし、実際に勤務しなかった時間の賃金は労使で話し合って決めることが望まれるとしています。

均等法第9条第3項は、妊娠、出産、そのほか厚生労働省令で定める事由を理由とする解雇その他の不利益取扱いを禁止しています。厚生労働省のQ&Aは、勤務評価や賞与の査定で、措置による不就労や能率の低下を、私傷病で同じ期間休業した労働者より不利に扱うことは違反としています。

妊娠中と出産後1年以内の解雇は、事業主が妊娠・出産等を理由とする解雇でないことを証明しない限り無効です(第9条第4項)。

措置を講じないとき:助言・指導・勧告、従わなければ公表

厚生労働大臣は、事業主に報告を求め、助言、指導または勧告をすることができます(第35条第1項)。第17条または第18条第1項に違反して勧告を受け、従わなかったときは、その旨が公表されることがあります(第36条)。

20万円以下の過料(第39条)の対象は、第35条第1項による報告をしない、または虚偽の報告をした場合です。措置を講じないこと自体に過料を定める条文は、確認した範囲にありません。

カードに関する問い合わせ先として、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が案内されています。この記事は一般的な制度の整理であり、個別の取扱いについて助言するものではありません。

  • 妊娠中と出産後1年以内の従業員が対象であることを、社内の窓口に周知している
  • 妊娠週数ごとの健診の時間の確保(4週・2週・1週に1回)を、就業規則や運用に反映している
  • 母健連絡カードの提出があったとき、記載内容に応じた措置を講じる担当を決めている
  • カードの提出がなくても、指導内容が明確なときは措置を検討する運用にしている
  • 措置の間の賃金の扱いを、就業規則や賃金規程で確認している
  • 措置の利用を理由に、評価や賞与で不利益に扱っていない

よくある質問

妊娠中の従業員が通院するとき、会社は何回まで休ませる必要がありますか?

妊娠23週までは4週に1回、24週から35週までは2週に1回、36週から出産までは1週に1回、受診の時間を確保します(均等法施行規則第2条の5)。医師または助産師が異なる指示をしたときは、その指示に従います。

母健連絡カードが提出されていなければ、措置を講じなくてよいですか?

厚生労働省のQ&Aは、カードの提出がなくても、指導内容が明確であれば事業主は必要な措置を講じる必要があるとしています。

通院や勤務時間の短縮の間は、給料を払う必要がありますか?

有給にする義務を定めた記載は、確認した範囲にありません。有給か無給かは会社の規定によるとされています。ただし、措置の利用を理由とする不利益な取扱いは禁止されています。

措置を講じないと、どうなりますか?

厚生労働大臣による報告の徴収、助言、指導、勧告の対象になります。勧告に従わないときは、その旨が公表されることがあります(均等法第35条・第36条)。

参照した公的一次資料

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次に確認すること

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